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捌
〜音の国〜
初兎「ないちゃん、みつば連れてきた」
ないこ「ナイス!」
ほとけ「でもさ、これでどうすんの?変装はしたけど多分気付かれるよ」
黒服の男の正体は、初兎だった。
実はないこは、みつばを音の国に連れ戻す計画を立てていたのだ。とはいえ結婚式当日に実行する予定ではなかった。実行日がたまたま2人の結婚式だっただけの話だ。
計画としては、みつばを睡眠薬で眠らせて城から連れ出し、外に待機している猫車に乗せて音の国に運ぶ・・・という手筈だった。しかしまさかの結婚式当日で、焦った初兎は睡眠薬を吸わせるのを忘れ、外に出たときに慌てて眠らせたのだ。あの時のみつばの悲鳴はそういうことだ。
みつばはすっかり眠っていた。
ないこ「みつばを人質に・・・ってまぁ言い方悪いか。でもこれでかなめ総統も同盟を組んでくれるはず」
LAN「流石に妹を捕虜にされれば、かなめ様も考え直すでしょう」
みつばは城内の小屋に閉じ込められ、ないこはかなめに文書を送った。
かなめ「なん・・・だと!?」
かなめはないこが寄越した文書を読み、怒りで拳を振るわせた。
結婚式当日に新婦が誘拐、さらにそれを脅しに使われたのだ。黙っていられるはずもない。
しの「僕のせいだ・・・。僕が助けられれば」
しのは泣いて悲しんだ。
猶予はなんと5日。それまでに同盟を組むか決めなければならないのだ。
音の国は同盟国で、賽の国、星の国、奏の国の3国がくっついた大国。下手に逆らえば、みつばがどうなるかわからない。
かなめ「一体どうすればいいんだ・・・」
かなめは頭を抱えるしかなかった・・・。
みつば「嘘・・・。5日間しかないの!?」
みつばはこっそり話を聞き、我慢ならなくなった。
みつば「とにかく、これは飲んじゃダメね」
目の前に置いてある紅茶。一見すれば普通だが、色彩感覚が人一倍優れているみつばは、色が微妙に違うことを見抜いていた。後で調べると、紅茶には幻覚剤が入っていたことが判明した。
みつば「どうしてここまでするの・・・!?」
みつばは音の国を逃げ出そうと決めた。