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長いストーリー(1話だけ)
百合
『桃源暗鬼』創作ストーリー:世界が止まる、その一秒前に
♡あらすじ♡
百合「今日から編入することになった、昨夜百合です!よろしく♪」
黒板の前に立つ少女の声は、酷く冷ややかで、どこか達観していた。本土から離れた隔離集落――羅刹学園。鬼の血を引く者が集まるその教室の最前列で…
四季「へぇ、強そうな奴じゃん」
と目を輝かせ、隣の皇后崎迅は興味なさげに頬杖をついている。
担任のダノッチが気怠そうに口を開いた。
ダノッチ「昨夜、お前の席はあそこ、窓際の一番後ろだ。……それと、お前たちの血蝕解放の訓練、さっそく午後から合同で行う。足を引っ張るなよ」
百合「はーい」
百合は短く答え、教室の視線を浴びながら自分の席へと歩く。ガタリと椅子を引いて座ると、すぐにガラス窓の向こうの空を見つめた。
午後、訓練場。新入りの実力を測るため、無陀野の指示で四季、迅、そして百合の3人での模擬戦が始まった。
二人の卓越した戦闘センス。一瞬で間合いを詰められるその刹那、百合は自身の掌を噛みちぎり、溢れ出た血を虚空へと向けた。
百合「――血蝕解放」
世界から、音が消えた。四季が放った弾丸が空中で静止し、の踏み込んだ足が床スレスレで固定される。風の動きも、チリの舞う速度さえもゼロになる。ただ、百合の意識と、彼女の仲間である四季たちだけがその「静止した時間」の中に置き去りにされていた。
四季&迅「な、なんだこれ!? 動きが止まってる……!?」
時間を止められたのは世界であり、仲間には効かない特性。驚愕する四季の声を余所に、百合は自らの血で漆黒のナイフを形成する。
百合(一分、いや、三十秒で決める……!)
静止した時間の中を滑るように動き、百合は四季と迅の背後に回り込み、ナイフの刃先を二人の首筋へと突きつけた。そこで、世界が再び動き出す。
ダノッチ「――そこまで」
無陀野の鋭い声が響くと同時に、百合のナイフが消滅した。
直後、百合の身体が激しく揺れる。能力の代償。目から、口から、そして頭から、生々しい血がボタボタと床に滴り落ちた。激しい頭痛が彼女の思考を焼き切ろうとする。
四季「おい、大丈夫かよ!?」
四季が慌てて駆け寄ろうとするが、百合はそれを手で制した。視界が急速に白く染まっていく。意識が遠のく限界の淵で、彼女の身体が自然と動いた。
ふらふらとした足取りで歩き、訓練場の壁際にある大きな窓へと辿り着く。そして、ガツン、と鈍い音を立てて、窓ガラスに額と肩を預けるようにして寄りかかった。
窓の冷たさが、燃えるように熱い頭を少しだけ冷やしてくれる。血に染まった顔のまま、窓の外をじっと見つめる百合の後ろ姿に、が呆れたように、しかしどこか戦慄を隠せない声で呟いた
迅「……時間停止に、血のナイフか。とんでもねぇ化け物が転校してきたな」
窓に寄りかかったまま、百合は静かに目を閉じる。羅刹学園での、彼女の血みどろの戦いは始まったばかりだった。
今回は……1219文字でした!それでは、ばいびー!