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気掛かり3
「はぁいそれではここからはフィールドスタンプラリーなのでグループごとに分かれてください!解散」
私たちの学年は、歴史記念館に行くことになった。
旧石器時代から鎌倉時代までの数カ所をグループで周りきる、というのが午前の活動だった。
「沙子ちゃーん、お弁当何?」
「ねぇねぇ、このキーホルダー、どこで買ったの?」
結由は遠足に全く関係のないことばかり聞いてくる。実のところ、私は優等生に見られているだけで内心は結由のような性格に憧れている。
「お弁当はね、サンドイッチだよ〜」
「このキーホルダーは東小学校の隣の雑貨屋さんに売ってた!」
結由と何気ない会話で弾んでいた時に、重要なことを思い出した。柴谷だ。柴谷はちゃんと橘たちとやってるかな?
「市橋さんもこの歴史漫画読んでるんですかっ?」
「うん読んでるよー。全巻制覇まで後少しなんだぁ。」
柴谷はなぜかカタコトな敬語だが、ちゃんと馴染めているようだ。
「え〜なにそれ。俺はそんな漫画読む気ないぜ?市橋と柴谷は勉強好きなのか?」
橘と市橋をグループにいれてよかった。
「沙子ちゃん、何見てるの?あ、もしかして市橋のこと好き?」
やっばちょっと気にしすぎた!?
「なによ〜!私は柴谷がクラスに馴染めてるかチェックしてただけじゃん。」
「つまんないのっ。それよりさ、早く行かなきゃ終わらないよ。」
開始地点から100mも歩いていない場所でずっと話していたのだ。
「ちょっと!男子たち!早く旧石器時代コーナー行くよっ!」
「あの、女子たちも喋ってたじゃないですか、」
柴谷…?そんなこと言うタイプだったっけ?
「そうだそうだ!こっちはちゃんと歴史の話してたぞ?」
「橘、お前は読んでないんだろっ。」
「旧石器時代にはたしか、磨製石器が普及されて…」
柴谷…?
「ちがうよぉ打製石器でしょ!」
ずるっ。_(:3 」∠)_コケッ
何か説明してくれると思ったら間違ってるし…!
ほんと不器用なんだから。
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そして何とか時間ギリギリに間に合った。
柴谷…ちょっとはなじめたかなー?
読んでくれてありがとう!
第四話はちょっと沙子が調子に乗って…?