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嘘はこの町の掟違反#3
「おお..」
私は思わず声が出て後ずさりした。彼女がそこまで考えていると分からなかったし、あまりにも真剣すぎる瞳で見てくるので驚いた。
「あ...突然ごめんなさい。でも、つきもこの町はおかしいと思っているんだよね?だったら...」
「でも町から逃げるのは賛成する。なんだか危険だし」
そう言うと彼女の曇っていた顔がパァァと晴れた。(なんだかわかりやすい子だな...なんか犬みたいに尻尾振ってるみたいで可愛い)
「ではまた明日...!図書室で会いましょう!」
「ええ..また明日ね」
そう言うと彼女は私と反対方向の家へ向かっていった。なんだかこんなふうに帰るのは初めてだな..少し胸のあたりが暖かくなった。
「ハッ..」
私は紫色に染まり、星が見えてきた夜空を見て急いで家に帰った。毎日通っているはずの道、途中にある果樹園、風に揺れる金色のススキ。今日はなんだか目に見えるものがいつもと違う気がした。
“昔々、村の北の神社に土地神様が祀られていました。その土地神様は、ある時気まぐれで街まで降りてきました。すると、町の人々は土地神様をもてなしました。いい気分で神社まで帰ろうとしたところ、町の人々が話しているのが聞こえました。
「土地神様なんてちょろいものだぜこれで今年もうちは豊作だな」
「土地神様なんて所詮ただのにんげんだろ笑」「そうそう笑笑」
その話を聞いて土地神様は誰も信じられなくなり、この村に呪をかけました。そして......”
...そして、どうなったんだっけ...?昔、本で読んだことがある。でもたしかあの本って去年長によって回収されたんだ。なんでだろう
ていうかもうこんな時間っ、急がなきゃ!朝ごはんのパンをくわえて
「行ってきます!」
私は学校への道を急いだ。幸い遅刻にはならなかった。良かった...
下駄箱を出ると長がいつの間にか目の前に立っていた。
「あなた...集会で倒れた生徒ですね?もう怪我は癒えましたか?」
覗き込んでくるように長は私の近くによった。
「集会ではすいませんでした。傷はもう大丈夫です。」
本当は怖くてたまらない。はやいことこの場を去らなければ...
「ではこれで」
とこの場を去ろうとした。しかし長に右手を捕まれた。頬に汗がつたる
「さすが、神憑きの娘さんですね。よくできている子です。」
「え?」
思わず声が出た。”カミツキ”ってなんだろう?しかもなぜ私?昨日のみかとの会話が聞こえてた?行動が読めない
「何でもありません。授業、がんばってくださいね?つきさん。」
そう言うと長は目の前から消えた。危ない...心臓が飛び出るかと思った
気になることがたくさんありすぎる...早くみかに会いたい...
「キーンコーンカーンコーン」
授業開始5分前のチャイムがなった。その前に授業だ。私は教室への足を急がせた。