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僕は記憶を取り戻すために一週間を何度も繰り返す#1
ファスナー
僕は戦っていた。金属と金属がぶつかり合う音が僕の耳元で聞こえる。僕の腕には三本の刃がついたクローブレードがはめられていた。二本のダガーを握った相手がこちらに迫って来る。相手はダガーを僕に突き立てる。そこでクローブレードを体の前に持っていき相手の攻撃を防ぐ。その時、相手が後ろへ飛ぶ。砂ぼこりがたち相手の姿がよく見えない。すると目の前に二本のダガーが飛び込んでくる。僕はそれをクローブレードで弾き飛ばし前進する。その間にもダガーが何本も飛んでくる。僕はそれらをことごとくクローブレードで打ち落とす。そして相手が僕の視界に飛び込んでくる。僕はクローブレードを振り上げる。しかしその時には僕の首から上と首から下は切り離されていた・・・・・・・・・・
僕の前にはある少女が立っていた。その少女は僕の前に黒いトランクケースを置く。そしてどこかへ歩き去って行く。僕はそのトランクケースを開ける。そこには一枚の手紙と携帯食料、三本の刃がついたクローブレードが入っていた。その手紙には地図が張り付けてあった。地図の横に小さく文字が書いてある。あなたは一週間しか記憶を維持できません。なので今からはこの手紙に書いてある行動だけをとってください。この地図に印がしてある場所がありますね。そこに向かってください。そこに向かうことだけを考えてください。手紙にはこう書いてあった。僕には記憶が無かった。思い出したくても何も思い出せない。この手紙に従うべきなのか。この手紙を持ってきた女はいったい誰だったのか。考えているとなんだか馬鹿らしくなってきた。僕の記憶は一週間しか維持できない、この内容はおそらく本当なのだろう。実際今の僕には記憶が無いわけだから。でもどうして僕は一週間しか記憶を維持できないのだろう。もちろん考えても思い出せるわけがない。記憶が無いのだから。よし決めた。この手紙を破り捨てよう。そしてこの地図など気にせずどこか別の場所へ行こう。なんとなくそれがいい気がしたから。 ビリビリ 僕は手紙を破いた。小さな破片と化した手紙をその辺にまき散らす。そして食料だけを持って僕はその場所から立ち去った。しばらく歩いて道を進むが一向にどこかにつく兆しはない。もしかしてこの先には何もないのではと思ったがそんなの考えるだけ無駄だ。僕に行くべき場所などないのだから。それからも僕はひたすら道を進んだ。しかしどこかにたどり着くことは決してなかった。歩き始めて六日が経過した。今になってようやく気付く。手紙破り捨てたけど明日になったら記憶なくなるじゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・僕は急いで来た道を戻った。それが無駄なことだと頭では理解していたが戻らずにはいられなかった。一時間・・・二時間・・・三時間・・・時は待たない。時間が止まることを祈ったがそんなんことが起きるわけがない。そして残り一時間となった。ひたすら道を戻ったが戻れたのはせいぜい三分の一いや四分の一程度だろう。明日からの僕どうするんだろう。記憶が無い状態でこんなわけのわからない場所に放り出されて、なんのヒントも無しに・・・・
でもどうでもいいか・・・明日の自分はもう今の僕とは別の人だし・・・残り三十秒・・・・・・・
僕の目の前に何かが現れた。そいつはナイフのような物を両手に持っていた。あれ・・・こいつ、どこかで見た気がするぞ・・・その時、僕の首から上と首から下は切り離されていた・・・・・・・・・
僕の前にはある少女が立っていた。その少女は僕の前に黒いトランクケースを置く。そしてどこかへ歩き去って行く。僕はそのトランクケースを開ける。そこには一枚の手紙と携帯食料、三本の刃がついたクローブレードが入っていた。その手紙には地図が張り付けてあった。地図の横に小さく文字が書いてある。あなたは一週間しか記憶を維持できません。なので今からはこの手紙に書いてある行動だけをとってください。この地図に印がしてある場所がありますね。そこに向かってください。そこに向かうことだけを考えてください。手紙にはこう書いてあった。僕には記憶が無かった。思い出したくても何も思い出せない。そこで僕は前回とは思考を変えて手紙に従って見ることにした。前回?前回って何のことだ?まあいいや。とにかくこの手紙に書いてある通りの行動をとろう。僕は地図をしっかりと眺めた。今自分がいる位置からどんどん北に進めばいいらしい。僕は手紙をトランクケースに片付けてクローブレードを腕にはめて北へ向かった。目的地に向かっている時とあるものに目が止まる。
それは、何かの破片だった。僕はそれを拾い上げる。なんでこんなもの拾ったんだろう。拾わずにはいられなかった。それは今の自分を救う鍵になる気がした。トランクケースを開け破片を入れる。そしてまた北へ歩き出す。しばらく歩くと高い塔のようなものが見えてきた。トランクケースを開け手紙に張り付けてある地図を必死に眺める。地図にはこんな塔のことは載っていなかった。本来であればこの塔を無視して北へ進むべきなのだろう。僕は塔へと向かっていた。塔の中は少し薄暗かった。入ってすぐの場所に死体が転がっている。そんなことは気にしてもしょうがない。急いで先に進まなくては。僕は階段を探す。しかし階段は見つからない。仕方がないので引き返して別の道を探すとしよう。今来た道を戻っていると違和感を感じる。こんな場所来た覚えがない。僕は知らない場所に立っていた。そこには先程探していた階段があった。僕は階段を上がっていった。その先には死体が転がっていた。それは入り口でみた死体と同じ顔をしていた。その横にもう一つ死体が転がっている。それも同じ顔だ。ここはクローン人間を作る研究でもしていたのだろうか。少しいや、かなり気味が悪い。僕は少し小走りで階段を探す。しかしいっこうに見つかる気配はない。僕はもしかしたらと思い来た道を戻って行く。すると案の定階段が現れた。その階段の先にはだだっ広い空間が広がっていた。そこには5体以上の死体が転がっていた。もちろん同じ顔の。僕は気配を感じる。クローブレードを構え周囲を警戒する。その時、斜め左前から何かが突っ込んでくる。僕は後ろに大きく飛び退く。そこには人?がいた。そいつは四足走行で僕に突っ込んでる。クローブレードを思い切り振りかぶる。そして振り下ろす。しかし何の手応えも感じない。すると真後ろから何かが飛んでくる気配を感じる。僕は右に飛び退く。それからクローブレードを腕から外し気配がした方向に投げつける。しかしそれは何にも当たらない。僕は走ってクローブレードの回収に向かう。しかし敵はそれを許さない。そいつは僕の右肩に飛び乗ってくる。僕はそれを振り払おうとするが敵はなかなか落ちない。敵は僕の右肩を喰い始めた。グチャグチグチュグチャ。あまりの激痛に叫び声をあげ床に転がりのたうち回る。敵はまだ僕を喰い続ける。僕の右腕はすでに無かった。もう痛みをあまり感じなくなっていた。グチャグチグチュグチャ。もう恐怖心も無くなっていた。僕は死ぬんだ。その時の僕は極めて冷静だった。グチャグチグチュグチャ。グチャグチグチュグチャ。グチャグチグチュグチャ。