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校庭は海辺のにおい。
私は、海に行ったことがなかった。
田舎に住んでいるので、
海も近くなかったから、行く機会もほとんどなかった。
私の周りにも海に行った人はほとんどいなかった。
中学生になってもまだ、海に行くお金は貯まらなかった。
でも、私は海が大好きだ。
魚がいるところ、砂浜や海辺の近くはキラキラと輝いているのが好き。
でもそれは全て、写真や情報だ。
私はこの目で、この体で経験したいのだ。
今日は転校生が来る日。
教室に入ると騒がしくて、女子たちに私の席が勝手に座られていた。
「あ、ごめんね、椎奈ちゃん。」
「あ、いや、大丈夫だよ。ごめん。」
私は気まずくて謝ってしまった。
しばらく話し声が静かになっていたが、
ドッと笑い声が起きて、また大きな声で話し始めた。
こういう空気が好きだ。
誰が何を話してるのかわからないけど、
聞いてるだけで何故か落ち着ける。
そっと耳をすまして聞いていた。
チャイムと同時に担任の先生が来て、
さっきの女子たちも話題を切り上げて自分の席に座った。
「前に伝えた通り、今日は転校生が来ています。」
先生の合図ともに転校生が入ってきた。
「神奈川の江ノ島から来ました。竹永颯太です。これからよろしくお願いします。」
教室全体が一瞬ざわついた。
理由はすぐなら分かった。
顔がモデル並みに、綺麗だった。
ただ、私はそんなことはどうでも良かった。
江ノ島から来た。
私の頭の中はこの言葉がずっとループしていた。
江ノ島は私が一番好きな海だ。
海に行く時は絶対に江ノ島に行きたいと思っていた。
話したい。
海のことでたくさん話したい。
だけど、一日中誰かに話しかけられっぱなしで、話しかけられなかった。
彼はずっとニコニコしていたけど、次第に疲れた笑顔を見せるようになった。
誰かが話し終わると、次は誰かが話しかけた。
それの繰り返しで大変そうだった。
私はしょうがないと思っていた。
いつか、話しかけられると思って我慢をした。
今日は高校に入って初めて、
他校の剣道部での合同があった。
電車で他校の体育館まで向かった。
今の高校は前の中学よりかは都会だった。
だけどその高校に向かうにつれて、
前の中学の通学路に入って行った。
広前高校に着いて、体育館へ向かった。
練習が始まった。
私の高校と広前高校とは練習が違くて、広前高校の方がストイックだった。
私は途中貧血を起こして休んでいた。
私は剣道の竹刀がバチンと当たる音が好きだ。
元々生活音を聞くのが好きだったけど、
興味本位で入った剣道部は竹刀がバチンと当たる音がとても気に入った。
体育座りで竹刀の音を聞いていた。
「沢城さん?」
急に自分の名前を呼ばれでびっくりした。
「え、ごめんなさい。誰ですか?」
見覚えのある顔だが、名前が思い出せなかった。
その人は汗だくで顔が真っ赤だった。
「えっと、中学の頃同じクラスだった、竹永颯太。覚えてないかな。」
そうだ、竹永くんだ。
「あ、竹永くん。久しぶり。」
「中学ぶりだね。あんまり話さなかったけど、覚えてたんだ。」
覚えていなかった罪悪感に苛まれたけど、
竹永くんの笑顔で徐々に消えた。
「竹永くんは、バスケ部?」
「そうそう。さっき休憩入ったんだ。」
だから汗だくだったんだと納得した。
「そうだ、メール交換しようよ。」
思い出したように言われたので、私はリュックからスマホを出した。
「ありがとう。それじゃ、俺練習行ってくる。」
「うん、頑張って。」
私たちの会話は、これが最初だった。
メールのやり取りをしていたら、
颯太と仲が良くなった。
本当は、誰かに話しかけられるのが怖いこと、自分のことを理解してくれる人がいないこと。
私は全部を聞いて、ゆっくり話してあげた。
そういうこともあって、よく会うようになったり、遊ぶようになったりした。
そして、今日は江ノ島に行く。
待ち合わせの駅で私は待っていた。
水色のポロシャツに、白の薄いジャケットを羽織って、紺色のスカートを履いてきた。
「おまたせ。」
「颯太。全然待ってないよ。」
颯太は私のことをまじまじと見た。
「椎奈。めっちゃ楽しみ?」
颯太は少しニヤついて聞いてきた。
「え?めっちゃ楽しみだよ。」
「だろうな、顔がもう楽しそう。」
「楽しみじゃないわけないよ、すんごい楽しみ。早く行こう。」
私はとても楽しみだった。
スマホの充電はバッチリ。
写真を撮る準備もちゃんと出来ている。
電車に乗って、私は外を眺めた。
「江ノ島ってどんなとこなの。」
少し眠そうな颯太に聞いてみる。
「えー、なんだろ。サーフィンやってる人とか、あとたこせんべいが美味しくて、あと海の近くはやっぱお店がいっぱいあるんだよ。」
懐かしそうな顔で颯太は話した。
江ノ島についた時、私は最高に興奮していた。
「すごい、クラゲだ。ぷかぷかしてる。えっ?光った?颯太、今光ったよね?」
「おい、落ち着けよ。まだ時間あるだろ。」
颯太は嬉しそうに笑っていた。
私は江ノ島の街並みに釘付けだった。
海辺につく頃には私は心臓が破裂しそうなほど、感動していた。
「すごいすごい!綺麗!颯太見て、すごい素敵じゃない?」
颯太はニコニコしながら答えた。
「そうだね。もうちょっと近くに行ってみよう。」
海の近くに行って私は海に触った。
すごい。少し温かいけど、入ったら冷たそう。
「なんかしょっぱい匂いがする。海の匂い?」
「海の潮だね。」
「なんか、中学の時の校庭の匂いに似てる。」
漠然とそう感じた。
体育の時間で、持久走をやった時にこの匂いがした。
「たしかに。してたかもしれない。」
「してたよ、してた。不思議や匂いだと思ってたけど、この匂いと全く同じだよ。」
結局真相は分からなかったけど、私は海をたくさん楽しんだ。
手に海の水を乗せては、海に戻していた。
帰る前に夕日を見ようということになった。
ピンポンという卓球の漫画に、「この星の一等賞なりたいの、俺は」というセリフがあって、その聖地に向かった。
「すごい、ピンポンで見た場所だ。」
私はぴょんぴょん跳ねて写真を撮った。
夕日をゆっくりと眺めた。
「江ノ島、すごい楽しかった。」
私は満足していた。
もう、今死んでもいいくらい。
「そっか、良かった。」
颯太は私に散々付き合わされたので、疲れた顔をしていた。
でも満足げな顔をしている。
「颯太は、江ノ島好き?」
急に颯太は真剣な顔になった。
「どうだろう。普通かな。」
少し間を開けてぽつりと言った。
「江ノ島より、椎奈の方が好き。」
「え?」
海の音と、人の声で聞こえなかった。
「ごめん、聞こえなかった。もう一度言って。」
「いや、なんでもない。江ノ島、好きだよ。」
また颯太は笑っていたけど、疲れた笑顔だった。
あの顔だ。
中学の時に毎日していた、あの顔。
本当は、江ノ島のことは好きではないのかもしれない。
「颯太?なんで泣いてるの。」
颯太は泣いていた。
顔を少し歪ませて泣いていた。
颯太の顔は綺麗だったけど、泣き顔は似合わなかった。
「椎奈も、なんで泣いてるんだよ。」
「え?」
目元を触ると、湿っていた。
あれ、なんで私、泣いてるんだろ。
涙が止まらなかった。
私と颯太は泣いた。
私は必死に泣くのをやめたかった。
校庭のあのにおいがずっとしていたけど、
私にはどうでもよかった。
颯太に泣くのをやめてほしい。
颯太に泣き顔は全く似合わない。
颯太は笑っている顔が一番素敵だ。
海より、素敵だ。
砂浜に涙が落ちた。
砂浜は涙を吸い込んで、滲んで、消えた。
だけど、涙は止まらなかった。
私のポロシャツに涙が滲んだ。
その涙は、砂浜のように滲んで消えたりせず、染み付いて離さなかった。
ゐわのだよぉうう
小説投稿するたびにあとがきで本性が見え始めてるねやばいねやばいよ
小説は真面目(?)だからあとがきで壊れてしまうのかもしれない
あ言っとくけど鈍足は進んで、マス…汗
いやでも少しずつ書いてますけども
今描いてる小説でも3個書いてて、
それで短編も書いてますからね
一生終わんないよー宿題も終わんないよー
真面目にやばいので頑張るしかない
ちなみに部活終わりは2時間くらい寝て時間無駄にしてるせいでもありますよね
ゐわのは頭悪いですね帰ってきたら宿題をするか小説を書けってことですよ
そして寝るのは夜だけなんですお昼寝なんかしちゃダメですなんで18時にお昼寝するんですかね!?
なんか情緒不安定ですが大丈夫です…
マジで無理無理出してから私が頭おかしいことバレ始めそう!
とにかく私は鈍足を書いてきます
読んでくれてありがとうございました!