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初めて会った日
「ねえ、覚えてる?初めて会った日。」
夜の公園のブランコに座ってそう言った君。
「お前はここの苗木のそばでうずくまっていたよな。すげえ白い体で、びっくりしたよ。」
懐かしい思い出だな
「どうしたんだ?って聞いたら、腹減ったみたいな感じでこっち見たから、買った食パンあげたら喜んでたよ。」
あの食べ物は美味かった。まだ味は覚えている
「それから一緒に住むために一緒に暮らせるマンション探したり、ご飯買ったりとか大変だったよ。」
あの苦労は大変だったな。でもいいところが見つかって良かった。
その後も思い出話に花を咲かせていると、
「おいお前よぉ、ちょっといいかい?w」
柄が悪そうな男たちが集まってきた。
「…なんですか?」
「少しでいいからさ、金貸してくんね?」
「知らない人に貸すお金はありません。」
図々しいとはこのことだ。
「あ"あ?なんだとごらぁ!」
いきなり大声を出して、リーダー的な男はこちらに向かってきた。周りの男はニヤニヤするだけで助けもしない。
ー守らなければ…!ー
そう思い、そいつの足に無我夢中で噛みついた
「あ?!なんだこいつ!」
そう言って振り払おうとするが、なかなか離れない。
僕が守る。そう言う意志を感じた。
しかし、
「おらぁぁ!」
振り払われてしまい、体が地面を転がった。
どこかにぶつけたのであろう、そこらかしこから血が流れている。
「やめろぉぉぉぉぉ!」
そう言って飛び出し、そいつを殴った。
「いっ、てぇ…クソ野郎が…!」
そう言って一発殴られた。もう一発殴られた
その時、
「なんだ君たち!」
突如巡回していたのであろう警官若い警官と年配警官二人がが飛び出してきた。
「お前たちは恐喝、暴行、カツアゲの常習犯だな!署までご同行願おうか!」
そう言って若い警官ががチンピラたちを連れて行った。
「怪我はないかい?」
年配警官が近づいてきて、そう尋ねた。
「…左頬と右目の近くを殴られました。」
「念の為、救急車を呼ぶね。」
そう言って、年配警官は電話をし始めた。
だが、自分の怪我より吹っ飛ばされたあいつが心配だった。
「お前…!」
そこらかしこが切れて、恐ろしいほどの血が流れている。
「まだ死ぬな!ユキ!ユキィー!」
ー笑って…今までありがとう。ー
毛並みが白く、たくさんの愛情を注がれた愛犬「ユキ」は、その命の灯火を静かに消した。