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焦らし
いきなりはじまりいきなり終わる。焦らし責め
執拗に男の手によって嬲られた秘所はとうに限界を迎えていた。
のけ反った喉からだらだらと汗が流れ落ちる。カチカチに硬化した肉粒もうねるような悦楽の入り口も、過度に濡らしているというに渇きを訴えている。
どこもかしこも汁まみれ汗まみれの女体が微かに身じろぐたび、苦しげな呼吸が死にかけのように通り過ぎた。
「おねが、い……しま、す……イか、せて……くだ、さ」
ずっと喉を絞って喘いでいたせいか、懇願にすら濁点のような力みが乗る。
「もう……イき、たいぃ……ゆるしてぇっ……」
彼女は咎められるべき罪など犯していない。だが確かに許しを乞うている。涙すら目尻に愛らしく浮かべて、透明な化粧をつるんと飾る。
「限界、なんです……」
嗚咽が聞こえる。裸体の汗に涙が混じる。そこでようやく男は口を開き、だが、嗜虐的な口角は崩さないままだった。
「関係ないな」
男の手は彼女を救い出すつもりはなかった。
何度聞いたとて飽きない懇願。自らの股間は屹立を越えて怒張すらしていたが、これで彼女を叩いてやるつもりすらなかった。仮に限界を迎えたのだとしたら、それを扱いて彼女の身体にかけてやるのみ。
「お前の意志は関係ない」
馬鹿になっているこの女の頭でも分かるように、もう一度。彼女の表情が絶望めいて桃色に染まる。
そうだ、桃色だ。性感を嬲られていれば嫌でも花の色に染まるのだ。たとえ泣きじゃくり始めたとしても。
「……あ~、たまんね」
小さく呟いて、男は雌汁がまだたんと絡む指で、再び肉粒へと触れる。そこは勃起しきったペニスとよく似ていた。
裏筋のような場所を指の腹で擽ってやるとビクビクと女の身体が跳ねる。蟻が登っていくように優しく。だが、執拗に。
「ぁ゛、あ、うぐうぅ……!」
獣のような唸り声。しつこいと唸っている声。にもかかわらず女は脚を閉じることができない。自分で触れることすらもかなわない。拘束具が金属の音を立てている。彼女の奥歯も口の中で似たような音を出していた。
「ほーら」男の指が念入りにクリトリスを撫でる。今度はすぐに離すわけでもなく、中指で上下に往復する。
「このままだと……」下から上へ擦る。
「ちゃんとイけるかな」しゅっしゅと磨き回していく。
「ぁひっ、ぉ゛ッ、お゛~~~~ッ!!♡」
女の声が歓喜に上がった。シームレスに続く快楽は確かに女の絶頂を煽る。今イけたなら何度連続でオーガズムを迎えることだろう。アクメ顔は? 唾液の量は? 発情無様腰振りの強さは? ヒクつくときの子宮の蠢きは……? イきたい、今度こそイかせてくれるかもしれない。イけそう、あともうちょっと……! 今イったら絶対ヤバい。でもヤバくてもいいから辛いの終わってほしい……! 互いの妄想が淫らに交錯する。
「……まあ、このままイかせてやるか。そろそろ可哀想だし」
淫らな想像があまりに加速したせいか、彼女の想像と共鳴したからか。彼の手が止まることはなかった。
女は今も男がうっかり擦り続けてイかせてくれないだろうかと画策しているらしく、声が絶頂の準備をするものへと変わっている。
切なげに、だが嬉しげに。やっと再会できた飼い主に甘える子犬のように腰をヘコつかせている。金属のリードが過度なじゃれつきを良しとしないが、それでも女は幸せそうだった。
「ほら、お礼」
「ひゃあっん! ありがとうございます、ありがとうございます……!」
「そうそう、いい子だ」
男の手が女の尻たぶを軽く叱咤すると、何度も感謝の言葉を繰り返す。単純な言葉だが男を満足させるには充分で、彼は太い指の腹をクリトリスへ当てる。
「ぁひイッ!」
押し込める力を軽く籠めるだけで女は歓喜の声を上げた。大人しく腰を突き出し股を開く様は従順と言えよう。
莢に隠れた肉の塊は可哀想なまでにぷっくりと膨れ上がっていて、まるで熱病を患っているようだった。
「遠慮するなよ、もう意地悪はしないから」
耳打ちするや否や、雌の淫汁を薬剤に見立てて患部に塗りたくる。初めは比較的鈍感な側面を中指と人差し指で挟み、丁寧に揺すっていく。
「お薬」はたっぷり効き目があったらしく、女は露出した舌から微量の泡を吹いて奥歯を震わせる。それからこの女の弱点……裏筋と亀頭のようになっている下部や先端の尖りを、細やかな動きで磨いてやった。
「ひっ、お゛、ぉ゛、ぃ゛うぅ~~っ!!」
呻きとも叫びともとれぬ声が響く。拘束具の根元がはち切れんばかりに暴れ狂う。
だが激しいのは音だけだと男は知っている。むしろその暴れっぷりがちょうどいいのだ。だからこそ、縛り付けてまで何度も何度も預けたのだから。この女が、自らこの愚かな部位をいじり倒し勝手に絶頂してしまわぬように。
確か皮と露出部の境目も弱かったはず。
男は口角を引き上げながらたっぷりと濡らした病の本格的な治療にかかる。病などと自らをごまかしながら、絶妙に厚ぼったく膨らんだ箇所をさすった。
空いている片手で女の尻を撫でる。絶頂期が近いせいか筋肉が硬く引き絞られている。
「イけよ」男の囁きに、女は喉を舌を狂わせながら答える。
「あ、あ゛、イきますぅ!」
この鎖が外れていたら、女はどんな行動に出ていただろうか。抱きついているのだろうな、と男は考える。考えながらもクリトリスを擦る手は止めない。何せ絶頂がもうすぐだったのだ。
「イけよ、馬鹿女!」
「ッああ゛ぁ~~!!!」
罵倒をされたにもかかわらず、彼女はアノニマスの中に果て狂う。
解放に向かう涙混じりの絶叫が部屋いっぱいに広がった。
「ほら、ほらほらほら、気持ちいいんだろ? お前は焦らされてぐっちゃぐちゃにされたいマゾだもんな?」
「あ゛、あぅ、あ゛ッ」
絶頂の間際も言葉で指で攻め立てられる。イきっぱなしの突起が磨かれ、淫靡な熱が溶け終わらない。今にもどろどろに溶け落ちなのに形を保っている。今の女は舐めても無くならない飴玉そのものだった。
無くならない飴玉が食べられてしまえばどうなるかなど、予想は容易い。
口の中に放り込まれたが最後、舌や粘膜にしつこく舐り倒されるのだ。口の持ち主が味に飽きて吐き出すまで。
危うく全年齢のレーティングで公開するところでした