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アクアの不協和音事変!?
「__歌?」
「えぇ、そうよ」
ミヤコが放った言葉に、アクアが怪訝な顔をする。
「アクアも少しずつ人気が出てきてるし、歌を一つくらい出してもいいでしょ?」
「……まぁ、そうか」
アクアは納得した様に、頷く。
「アナタたちはどう思う?」
とミヤコがルビー、かな、MEMに問う。
「お兄ちゃんの歌っ?! 聞きたい聞きたい〜!」と、ルビー。
「まぁ、いいんじゃない?」と、言いつつも滅茶苦茶気になっている、かな。
「折角いい声してるんだし、活かさないと勿体ないよね!」と、MEM。
「ふふ……。そう言うと思って、楽曲は既に用意してあるわ!」
「「「おぉーっ!!」」」
三人が歓声を上げる。
「いや早ぇな」とツッコんでいるのは、アクアだけだった。
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一旦曲を聴き込んで、歌詞やリズムを覚えるところから始まった。
「どう、アクア?」と訊くミヤコに、「まぁ大体覚えた」と淡々と返すアクア。
「お兄ちゃんっ、歌ってみてよ! 早く聞きたい〜!」
ルビーの言葉に頷いたMEMが、
「じゃあ、アクたんの歌まで〜? 5! 4!」
とカウントダウンを始める。
「は? ちょ__」
「3! 2!」
「……はぁ」
諦念を滲ませるアクアにも構わず、続ける。
アクアは覚悟を決めた様に、マイクを構えた。
「1! 0〜っ!!」
次の瞬間聞こえてきたのは__。
「さぁー! こぉーえ〜うぉーあ〜げ〜て〜ぇえええええ__っ」
「「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ?!?!」」」」
__この世のものとは思えない、地獄の様な不協和音だった。
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「何あれ?! 何ぃっ?!」「耳が……鼓膜がっ!」「声、裏返りすぎだよぉ!!」「想像以上ね……」
「…………今、わかった」
アクアは一息おき、告げる。
「……俺は、どうやら音痴らしい」
「「「「はぁああああっ?!」」」」
「あんたねぇっ! 今の今まで気づかないとかありえないんだけど!」
「これは要練習だねぇ……」
「お兄ちゃんってそんな音痴だったんだ……知らなかった」
「私も知らなかったわ……」
ミヤコはため息を吐く。そして、あることに気がついた。
「__歌の練習、しないといけないわね……アクア」
「え? いや、こんな悪魔の声で歌っちゃ駄目でしょ!」
「甚大な被害が出ますよ社長!」
「でもね……」
反対の声を、ミヤコが制する。
「……もう、歌用意しちゃったし…………」
「「「っ!!」」」
息を呑む三人。
「……という訳だ。俺の練習に付き合ってくれ」
「「「私たちを殺す気ぃっ?!」」」
その後一週間、毎日事務所からは悲鳴が響き続けたとか……。
【推しの子】二次創作です〜。
そういえば、ゴローせんせって歌下手だったよな……。
って感じで思いつきました。