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夜の帰り道
夜の帰り道は、怖い。
季節はあっという間に秋。
まだまだ照りつける日差しは強いが、暗くなる時間は早く、秋を感じる。
--- 部活終わり ---
部活が終わり、急いでみんな校門に向かう。
私は、大体いつも一緒に帰っている男子に声をかけようとした、が同じ部活の仲のいい女子に話しかけられたから、その子と一緒に変えることにした。その女子は言った。
「男子にしれっと声かけて一緒に帰ろうとしてるんでしょ?きもっ」
私はなんとも言えない気持ちになった。おそらく不定性(気持ちなどで自認する性が変わる、Xジェンダーの一種)の私は大体一緒に帰っているのもあって当たり前のように話しかけて帰ろうとした。
でも、それが気持ち悪いのだろうか?
気を取り直して、その女子と一緒に帰っていた。途中で別れて一人で帰った。
――怖い。
数ヶ月前、不審者に話しかけられた私はそれ以降一人で帰るのが苦手になった。
真っ暗な夜道のどこから不審者が現れるかなんて分からない。
――怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
車が通るたび、誘拐されないか不安になる。人が通るたびに不審者かもしれないと思う。
誰かと一緒じゃないと怖い。
誰でもいいから一緒に帰ってほしい。
だから、私は男子でも話しかける。
――なんでそれが気持ち悪いの?
ふと、顔を上げると家についていた。
何事もなくてよかった。
そう思って家に入った。