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剪定のカルテット
ティーテーブルを挟み、若き公女**エレナ**は、国母たる王妃**マリアンヌ**と対峙していた。
「 エレナ。庭師という仕事は、本当に素敵だと思わない……? 」
王妃の声音は、蜜のように甘く、でも…どこか冷ややかだった。
「 庭師はね、自分の子供を育てるように、深い愛を注いで花を育てるの。 」
「 ……でもね。もし、その愛しい我が子の横に、もっと美しく奔放な花が咲いてしまったらどうかしら? 」
「 輝く我が子が、その花のせいで霞んで、汚く見えてしまうでしょう? 」
王妃の冷徹な視線が、エレナを射抜く。
「だから、優秀な庭師は、余計な花を**消す**のよ」
「 ……すぐに、でございますか? 」
エレナは怯むことなく、まっすぐに王妃を見つめ返した。
「 いいえ、まさか。すぐに消すなんて野蛮なことは言わないわ。 」
「 少しずつ、気づかれないように間引いていくの。そうやって、本当に残すべき美しい大輪だけを、完璧に育てていくのよ。……意味が、分かって? 」
エレナは静かに目を伏せ、深く息を吸い込んだ。そして、ゆっくりと顔を上げた時、その瞳にはいささかの迷いもなかった。
「 ――はい。王妃陛下のおっしゃることは、痛いほどよく分かりました 」
エレナは立ち上がり、自身の胸元に飾られた一輪の青い花にそっと手を添える。
「 ですが、不調法な私めにも、どうしても命に代えて守りたい花がございます。踏みにじられ、間引かれるのを、ただ黙って見ているわけにはまいりません 」
王妃の眉がピクリと跳ねる。
「 それならば、私は**新たな庭師**になりましょう。我が庭を荒らす剪定バサミを拒み、守るべき花のために、私自身の庭を開く庭師に 」