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9話~絶望と希望と絶望と~
ルシフェル→ルシファー
グロいですよぉ。
─火炎竜視点─
火炎竜「ボカロファン、死んじゃった…?」
時間稼ぎするといってからどの位経っただろうか。名前を呼んでみても彼女の声は聞こえなかった。
藍生『あと4人か…』
胡橙音『ライさんは戻らないのかな…?』
火炎竜「からくるを倒すとかしないと無理なんじゃないかなぁ?」
堕天使『無理だな…能力もまともに使えないのに。』
火炎竜「そっかぁ…」
確かにボカロファンも能力が制限されていた。じゃあ僕と胡橙音と藍生も制限されてるのかな。
胡橙音「私も少ししか使えないや。」
藍生「俺は多分制限されてないけど攻撃出来ないし、マップ早く覚えるぐらいだな」
マップ覚えられるの普通に強くない…?
堕天使『あ、藍生。プールにはまだ来るな。合流したらまとめて殺されるかもしれない。』
藍生『了解。2人行動は殺されるからな。例外もあるけど。』
そういえば、クレン、赤斗、零桜、黎夜、ボカロファンの5人は誰かと行動を共にして殺され、ライと黄詠璃はからくるに狂わされた。胡橙音は生きてるけど、2人行動は危険だ。
胡橙音『私は奏者さんに助けて貰ったから生きてるだけだよ?』
火炎竜「生きてて良かったよほんと…」
堕天使『先に私が見てくるからどこかで隠れててくれ。もし私が死んだりしたらプールのカラダを回収して欲しい。』
藍生『分かった。』
火炎竜「不吉なこと言わないでよもぉ…」
胡橙音『本当にありそうなのが怖いよ…』
─堕天使視点─
堕天使「プールはこっち…だよな?」
外は嫌な寒気がして、月明かりも弱く、暗い。
道なりに進むとプールと、隣接しているプール用具の倉庫、更衣室があった。幸い、奏龍もしえるもからくるも、狂ったライもいない。
堕天使「敵4人もいるのか…」
プールにいないとしたら、校舎に全員いるわけだ。どこで遭遇してもおかしくない。
胡橙音『はぁ、怖い…』
胡橙音がため息をつく。最初は16人もいたが、今は狂わされたライも含めて5人しか生存者がいない。不安にもなるだろう。
堕天使「カラダ…プールの中にはない。」
火炎竜『あったらあったで取りにくいよ…』
堕天使「そうだけどさ。」
こんだけ鬼畜だからまさかと思ってざっと見てみたが、なさそうだ。なくてよかった。
堕天使「更衣室には…あった!左腕見つけた。」
火炎竜『ナイス~!』
胡橙音『4つ目!』
藍生『よかった…持ってくとき気をつけろよ?』
2人の嬉しそうな声と、藍生の注意が聞こえた。
堕天使「分かった。そっちも気をつけ………!?」
更衣室から出ると目の前にに、少し俯いたライがいた。
咄嗟に足を動かして逃げた。
賭博師「………|拘束鎖《バインドチェーン》。」
堕天使「くっ…!?」
ライが|拘束鎖《バインドチェーン》を放ってきた。心なしか普段より鎖の速さが上がっている。からくるが強化でもしたのだろうか。
躱せてはいるが、捕まると肌で感じ、左腕を投げ出した。
堕天使「うわっ…!?はな、せ…!」
予想通り、無数の鎖で逃げ道が塞がれ捕まった。
ジャラッ
ライが鎖で身動きできない私を持ち上げる。
そしてそのまま、
ドボンッ
ライに頭を掴まれて、プールに落とされた。鎖に縛られていて、ライにも押さえつけられて抵抗出来ない。服や羽に水がしみこみ、どんどん重くなっていく。ライは私の頭と首を掴む力をどんどん強めていった。
鼻や口から水が流れ込んでくる。息が吸えない。苦しい。
賭博師「ハは…あハハはハはハ!!」
体内の空気が水に置き換わる中、私が最期にみたのは
目がダークターコイズ色の狂気に染まり、狂って笑うライだった。
─賭博師視点─
あれ、ここは…プール?
俺は確か、黄詠璃と音楽室へ入って、カラダを見つけてその後…
……その後、何したっけ?
賭博師「って…」
段々目に情報が入ってきた。俺は“何か”を鎖で縛って掴んで、プールに入れていた。“何か”は人の形をしていて、黒い羽が生えていた。
…………?黒い羽、人型、冷たくなっている…
賭博師「うわあぁぁァァァ!?ルシフェル?ルシフェル!」
俺がつかんでいたのはルシフェルの首と頭だった。彼はもう息をしておらず、光のない目がこちらを見ていた。そして、鎖が体中に巻き付いている。俺の|魔力《マナ》は少し減っていた。
賭博師「まさか……俺がルシフェルを……?」
本当なのか?俺はこの手でルシフェルを溺死させたのか?
奏龍「`現実から目を背けないで?`」
賭博師「!?」
押し潰されそうな威圧感、ハスキーボイス。奏龍だ。声を聞いた瞬間直ぐに振り返った。
賭博師「現実って…本当なのか…?俺はルシフェルを殺したのか?」
奏龍「聞かなくても、状況で分かるでしょ?」
嫌だ。信じたくない。
奏龍「あんなに楽しそうに溺れさせてたのに…」
賭博師「嘘だ……嘘だ……」
奏龍「ルシファー苦しそうだったよ?話しかけたらいきなり首掴まれて、プールに落とされて…」
賭博師「やめ…ろ……もう…話すな…」
奏龍「仲間を殺しておいて、目を背けるなんて。
`最低だね。人でなし。`」
奏龍の話していることは事実。でもまだ体は現実を受け入れることを拒んでいて、でも目の情報がこれは現実だ、目を背けるなと言っているようで。
震えてうずくまっていると、奏龍はいきなり俺の首輪の鎖を掴んで引っ張ってきた。
賭博師「がァッ…!?」
奏龍「`罪を認めない悪い子には、制裁が必要だね?`」
息が苦しい。息をしても空気はあまり入ってこない。その間に奏龍は俺の身体をいつのまにかあった巨大な十字架に縛り付け、手を釘で打ち付けて固定した。
賭博師「あ゙ぁッ…!」
いつの間にか首輪から手が離れていた。俺の手からは釘を打ったところから血が垂れて、プールサイドに吸われていった。
奏龍「からくる、あとは頼んだ。」
賭博師「から…くる……アイツか…?」
からくる「合っテるヨ!多分!」
目の前にはマルーン色のボサボサの髪にダークターコイズの目をした少年─からくるがいた。何するつもりだ?
からくる「ライサン!`苦しイケド我慢シテね!`」
パシャッ
賭博師「うわっ…!?……水?」
からくるはふわっと浮かぶと俺に透明な液体をかけてきた。
からくる「`水じャナいよ?`」
そういうからくるの手には、火がついたライターがあり、俺の体に近づけていた。
まさか。
賭博師「**`あ゙…があああぁぁァアッッ!!!`**」
からくるがライターで火をつけた瞬間、俺の体は瞬く間に炎に包まれた。さっきの透明な液体は灯油だったのだろう。
服と皮膚が燃えて、混ざって体に張り付く。髪が燃えて硫黄の匂いが漂い、激痛で叫べば熱い空気が器官を流れて肺を焼き、さらに激痛が走る。段々声帯も焼け、声が出なくなっていった。
賭博師「ア゙ぁ……ぁ…」
体が焦げて火が弱まり始めてきたころ、次は腹に切り裂かれるような痛みが走った。
賭博師「はぁ゛っ…!?」
からくる「痛いでシょ?特性ナイフダよ!」
何度も何度も腹を切り付けられ、温かく鉄の匂いがする液と中身が漏れ出る感覚がした。
額を刺されたあたりで、いしきが、とおのいて…
─藍生視点─
藍生「ルシファー!ライ!」
2人の名前を呼んでも、反応は無い。奏龍でも来たのか、ライがルシファーを殺し、ライが狂って自殺したのか。どっちにしろ2人とも死んだのに変わりは無い。
藍生「しばらく隠れてからプールに行った方が良いな。」
胡橙音『もうやだよぉ……』
火炎竜『早く終わって……』
胡橙音とガルーダの泣きそうな声が聞こえる。直接死体を見ていなくても、トランシーバーからも人の叫び声や肉を切る音は聞こえてくる。グロテスクに耐性がないとキツいだろう。
藍生「2人とも落ち着け。大丈夫だ。2人は生き残れるから。」
胡橙音『藍生は…?』
藍生「体力は温存できているけど、どうだろうな。まぁ努力はするわ。」
火炎竜『…よろしくね?』
藍生「あぁ。」
俺はというと、何故か自分でも驚く位冷静だ。いいことなのかもしれないが、俺自身は自分の感覚が壊れているようで、冷静な自分にかえって嫌気が差していた。
藍生「今からプールに行ってみる。」
火炎竜『気をつけてね。』
藍生「分かった。そっちもな。」
それだけ言ってから、プールの方を向き、歩いて行った。
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藍生「……うわぁ…」
目の前は地獄絵図だった。プールには浮かぶ水死体と、十字架に磔にされ、黒焦げで腹、額から血や腸が垂れている死体があった。鉄の匂いに混ざってかすかに硫黄の匂いがする。そういえば、髪は燃えると硫黄の匂いがするんだっけ。
藍生「燃えてそんなに時間はたってなさそうだな…水死体はルシファーで、磔にされてるのは、ライか…?」
水死体は直ぐに分かったが、磔の方は最初誰かなんて分からなかった。しかし首輪でライの死体なんだと分かった。あの時ルシファー一緒にプールに行っていたら、俺も今頃…
藍生「左腕、ちゃんと納めるからな。」
目的の左腕はプールサイドに落ちていた。ルシファーが咄嗟に投げ出したのだろうか。回収されていなくて良かった。
藍生「よし、行こう。」
第一体育館とプールはさほど距離が離れていない。少し早足で移動する。
藍生「左腕は回収したから置きに行く。」
火炎竜『ナイスー!気を付けてね』
胡橙音『後は右足…!』
希望が見えてきた。位置は分かるから左足もそろそろ見つけられるだろう。
藍生「…油断禁物だな。」
奏龍「`そうだね~♪`」
藍生「はぁっ………!?…い゙ッ!?」
奏龍の声が聞こえたと思ったら、左腕の二の腕に切り裂かれるような痛みが走った。見ると、俺の腕の肉が少し削ぎ落とされていた。
奏龍「まだまだいくよ!」
ザクッ
藍生「ゔ……」
また、左腕の肉が削ぎ落とされた。痛いし、それで走るスピードも落ちるけど、止まるわけにはいかない。無理矢理にでもカラダを納めてやる。
奏龍「あんまいいリアクションしないな~…残念。」
藍生「こんぐらいで止まるわけねーだろ…!」
奏龍「へぇ……それじゃあ、`どこまで耐えられるのかな`?」
藍生「はぁ………はァ゙……」
最初に攻撃されてからどの位経っただろう。奏龍はあれからも俺の体の肉を削ぎ落とし、おかげで両腕と左目は無くなった。今は口で左腕を咥えて運んでいる。
ザクッ
藍生「ぅぁ゙……」
今は足の肉が削がれていて、両足とももう皮膚はあまり残っていない。腕の断面も足も、空気にさらされて焼けるように痛む。
顔を上げると、第1体育館は目の前だった。なるべく急いで棺桶に向かい、左腕を納めた。
藍生「ふぅ………」
一気に解放された気がした瞬間、足首付近が切り裂かれ、俺はその場に倒れ込んだ。
藍生「うぐっ……!」
奏龍「まさか納めちゃうなんてねぇ…」
藍生「……今度こそ、俺のこと殺すん…だろ?」
奏龍「うん!アキレス腱切ったから、これでもう動けないよ~`好き放題出来るね!`」
相変わらず、狂ってやがる。
そして奏龍は俺の体を食べ始めた。既に体中痛くて、慣れてきていたからか、腹を切られたり嚙み千切られてもそこまで痛いとは思わなかった。
奏龍「……蒼羅君の方が美味しいな…可食部少ないや」
藍生「そうかよ…」
感想なんて求めてない。痛いから早く殺してくれ。ただただそう願うばかりだ。
奏龍「それに全然叫ばないね。本当に人間?痛覚ある?」
藍生「人間だよ…痛覚あるよ……。殺るんなら、さっさと殺ってくれ…」
奏龍「それじゃ、`頭失礼~♪`」
奏龍は俺の額を切って開けた。
藍生「うぅ……ァ゙…!?」
肉を越えて頭蓋骨まで切られ、額の穴から血や汁が垂れている。
奏龍「`最後は脳みそいただくね?`」
こいつは俺の脳を食うつもりらしい。頭に手を入れられ、脳が引き抜かれる。
藍生「う、あ……?んぁ…¿」
そこで、俺の意識は途切れた。
胡橙音、ガルーダ。絶対生き残れよ。