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3話 乱れる送球、乱れる気持ち。
まえがき
こんにちは!coco☆bayです😊
急にアイデア降ってきて、朝5時にBL小説書いてるプロ野球ファン…
何してんの私🤣
「颯〜、トバさんとメシ行ったってマジ?」
廊下ですれ違いざまに、ピッチャー陣の先輩が軽口を叩いた。
「え? あぁ……この前、たまたまっすよ。ブルペンで捕ってもらった後に、『行くか』って」
「いいな〜、トバさんに可愛がられて」
その会話を、ロッカーの奥で聞いていた小園健太の手が、無意識に止まった。
——また、戸柱さんかよ。
別に、颯が誰と飯に行こうが、どうでもいいはずだった。
だけど最近、やけに多い。「トバさんと〜」という会話。
笑って話す颯の横顔。
「憧れてる」って言いながら、目が真っ直ぐで、ちょっと切なげで。
そして、そんな話を聞くたびに、小園の胸の奥がきゅうっ、と痛む。
胸が締め付けられるような、お腹が痛くなるような、そんな感じ。
その痛みの名前が、だんだん分かってきてしまった。
「……おれさ、お前のそういうとこ、ほんとズルいと思う」
そう言った日の夜が、頭から離れない。
あの時はまだ、「気になってきたな」くらいだった。
けど今はもう、違う。
完全に、自分は颯を見てしまっている。
グラウンドで走る姿。
ベンチで真剣な顔してノートに何か書いてる後ろ姿。
練習後、アイスを嬉しそうに選ぶくだらない瞬間でさえも。
全部、目で追ってしまう。
そして今、また——
「健太、これ見て。トバさんが教えてくれた握り、めっちゃいいよ」
颯が隣でスマホを見せてくる。
何の気なしに差し出された距離。ほんの10センチくらい。
けど、その距離が息苦しい。
香るシャンプー、少し濡れた髪、近すぎる睫毛の影。
「……へぇ。よかったな」
なんとか笑って答えるけど、喉が乾いて、手に持っていた水をぐっと飲み干した。
「トバさんのこと、ほんと尊敬してるんだな」
「うん。……うん、たぶん、そう」
颯の声が、少しだけ曇った気がした。
——“たぶん”。
その言葉が、希望みたいに聞こえてしまった自分がいた。
(やばい)
小園健太は、ようやくハッキリと理解した。
おれは、颯のことが好きなんだ。
好きになってしまった。
片想いの相談を受けていたはずなのに、
いつの間にか、自分が片想いしていた。
そしてもっと厄介なことに、その気持ちは、日に日に大きくなっている。
——―いやいやいや、男のおれが男の颯に恋なんて。そんなのおかしい。
だっておれゲイじゃないし、普通に彼女いたことあるし(フィクションです)。
……今すぐにでも、「お前、トバさんなんかやめとけよ」って言いたい。
「俺の方を見てほしい」って叫びたい。
でもそれを言ったら、きっと関係が壊れる。
颯と仲良くしていたい。颯に悲しい思い、させたくない。裏切りたくない。
颯と気軽に話せなくなるくらいなら―――
⋯⋯⋯結ばれる可能性が、100%じゃないなら。
なら、このままの関係の方がいい。
“颯のただの友達”のままでいいよ、別に。
あとがき
最近、タメ口を開放しました。
短編カフェを始めて、はや1ヶ月ちょっと。
これからも頑張っていきます!!!