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奇病患者が送る一ヶ月 十七日目
重要なのだけ書く、という素晴らしい事に気がついた((((
どうでもいいかもしれんが、スマホに切り替えてからアザイ先生の漢字が出てこんくて困る
あと誤字多くなるかもやけど許してくれメンス
警報のような音がけたたましく院内に響いた。
まだ早朝だと言うのに、俺達の間でそんな言葉が出てくる訳もなく、
緊迫した空気の中、俺は医務室を飛び出した。
そこにいたのは、二人…いや、一人と一つという方が正しい。
今にも泣きそうな程真っ青な顔をした晃が、
力の入っていない冬華の体を抱きかかえていた。
---
「不運だったっすよね…。」
菱沼は静かにそう言った。
不運だった、確かに俺達はそう言う事しかできない。
失った命が戻るはずないのだから。
今朝、冬華が息を引き取っていた。
死亡推定時刻は、大まかではあるが、夜明け前だと判断。
原因はただの薬の過剰摂取だった。
どうして、ここまでして問題が増えていくのか…。
俺は頭を抱える。
こういうものを事前に防ぐには、
患者の全てを縛らなければいけない。
食事の時間も遊びの時間も、薬を服用する時間さえも。
俺はあくまでも自由でいてほしかった。
でもその考えかいけなかったのだろうか。
どうしたらいいんだ?
どうしたら彼女達を救える?
もう《《アレ》》しかないのか?
なんで、なんでだ、どうして俺がこんな___…
「元気出して。」
ふと声が聞こえ我に返る。
目線を落とすと、そこには不安そうな顔をしたグミが俺の白衣を引っ張っていた。
「……あぁ…、そう、だよな。俺がしっかりしないと……。」
「ねぇ、大丈夫?今日は休んで良いんだよ?」
「え、な…なんだよ急に…。シエルらしくねぇな…。いつもは仕事しろって言ってる癖にどうした?変なものでも食ったか?」
俺は動揺が拭いきれないままそんなことを言うと、菱沼とシエルは互いに目を合わせて罰が悪そうな顔をする。
すると、さっきまで面倒くさそうに聞いていた黶伊が大きなため息を吐いた。
「君は毎朝自分を鏡で見ないのかい?」
「え、…へ?」
「君のその目だよ。翠ちゃんを除いた全員が、心配してることぐらい把握してくれ。」
「目…?そんな俺、疲れた目、してるか?」
「正しくは、目元の隈だね。どんどん酷くなっている。もう少し君は自分の事を理解してほしい。正直言って、倒れたりでもされたら面倒だ。」
「………ッ!」
まさかそんなに言われるまで酷いとは、思ってもいなかった。
グミは話が分からなかなったのか、気まずくなったのか、扉を開けたまま医務室を出た。
「ちょ、そんな言い方…!」
「誰も言わないからだろう?馬鹿らしい。仲良しごっこは勘弁願いたいね。」
「だから…!」
「いッ…!!!」
「は?灰山サン?ちょ、大丈夫っすか!?」
猛烈な頭の痛みが襲ってくる。
まるで誰かに締め付けられているような、かと思えばズキズキとするような痛み。
くっそ、いてぇ…!もう何も考えたくない…!
これまでも何度か頭痛はあったが、今までとじゃ比にならないぐらいだ。
「だ…__!?___!!」
「_____!!!!そ___!」
皆の声が聞こえない。
何か言ってるのは分かるのに、何も聞こえない。
視界さえもぼやけてきた。
いくら薬の副作用でも、こんな酷い事あったか…?
普通なら慣れてくるはず、…あー駄目だ、頭が回らなくなってきた。
死ぬのか?こんなとこで、?
あぁ…、もういっそ…このまま……___…
---
晃がここに来たのは三年程前だっただろうか。
有名なミュージカルの子役として華やいでいた人生を、
奇病という得体の知れない何かによって塗りつぶされた彼。
当然当時の彼は、そんなこともあり酷く落ち込んでいた。
何せ声を出すことを許されず、治療法は声帯の切除。
もう一度舞台にたつことを望む彼にとって、それは致命的であった。
当然彼も断固拒否って訳で、俺もそれに何か言う事はなかったが…、
どう声をかけるべきか分からなかった事をよく覚えている。
そんな時に彼に光を与えたのが冬華だった。
病院という慣れない生活の中、彼女が真っ先に話しかけてくれたそうだ。
そんな状態で話しかけてくれたら、そりゃあ惚れるのも無理もない。
それからは、いつ見ても晃は冬華と一緒にいたな。
三年間と言う時間は、この子達からしたら長かっただろう。
その長い関係が、途絶えたのだ。
それがどれだけ辛い事か、俺もよく分かる。
全てが分かる訳ではないが、俺も、何度も失ってきた。
あの日の線香花火が今や懐かしいとさえ思う。
冬華は、限られた命の中、輝けただろうか。
彼女の明るい笑顔が脳裏にちらついてやまない。
…本当に楽しかったのかな…?
彼女は、最期まで自身の奇病の事を話さなかった。
そんな患者は少なくはないが、そんな患者ほど命に関わるものが多い。
それの自覚をしたくないから言わないのか、はたまた諦めているからなのか、俺には知る由もないのだろう。
もしも生きていたら、彼女は…、いや、やめよう。
こんなの虚しいだけだ。
もうこんな思いをするのはごめんだった。
なら俺のすべきことは決まりきっている。
誰かを救うためには、誰かが犠牲になる。
それがこの世界の|理《ことわり》か何かなのだろう。
腹を括れ、俺。
俺にはもう、この病院以外何も残っていない。
家族も、友達も、恋人も、何もかも、…
もう…、
…遅いんだよ。
---
ふと、目が覚める。どれぐらい寝ていたのか、空はもう茜色に染まっていた。
重い体を起こし、いつもの癖で目を擦る。
「やっと起きたっすか…。もう目が覚めないかと思ったっすよ…!」
菱沼が本当に安心したようなため息をついた。
「ハハ…、ゴキブリみてぇな生命力だな…俺。」
どうやらここは医務室のソファのようだ。
あぁ…まぁ俺の部屋ベッドがねぇから運べなかったんだろうな…。
辺りを見回すが、シエルも黶伊もいなかった。
「今日はもう、休んで下さいっす。」
「…やだ。」
「わがまま言わないっす!」
まるで子供扱いだな…。俺これでも年上なんだけど。
「じゃあ、晃にだけ会いに行っていいか?ホント頼む!一生のお願い!!」
俺がお願いと言わんばかりに手を合わせると、菱沼は頭を乱暴に掻いた。
「分かったっす。でもそれが終わったらすぐ休めっす。」
流石菱沼、押しに弱いな。
---
「晃!」
俺がそう声をかけると、晃はいつもより無理しているような顔で振り向いた。
『センセー!たおれたって聞いたけど大丈夫だったの?』
紙に書かれた文はいつもと変わらない口調。
「おう、大したことねぇよ。心配してくれてありがとな。」
そう言ってギュッと抱きしめると、嬉しそうなのに泣きそうな、変な顔をしている。
人は、誰かに触れると安心するそうだ。
人の体温、言葉、匂い、全てが安心材料。
医者は、患者を安心させるのも仕事のうちだ。
誰かがそう言っていた。
なら俺は、やはり医者なんて向いていなかったのだろう。
「晃、もしも奇病が治るなら、どんな形でも治したいか?」
俺の言葉に彼はどういうこと、と問うような顔をする。
「彼女がいなくなった今でも、彼女にお前の声を聞かせることができなくても、お前はお前の奇病を治したいか?」
そう言い直すと、彼の体は少しだけ震えている気がした。
「難しく考えなくてもいいよ。脅したかった訳じゃない。ただお前が望むことを、俺にも聞かせてほしい。」
10秒ほど沈黙が流れ、次第に晃が頷いた。
その答えに俺はホッとする。
そっか、それだけを言い俺は立ち上がる。
白衣のポケットに入った錠剤の瓶を取り出し、
そこから薄紫色の錠剤を1つ晃に渡す。
「治したかったら、これ飲んで。」
「その錠剤って…!」
菱沼が最後まで言葉を言う前に、晃はわざわざ後ろを向いて錠剤を飲んだ。
その瞬間晃は力を失ったように倒れてしまった。
「おわ、薬効くの早いな…!」
俺がそう言って、晃の体を起こすと、菱沼はとびっきりでかい声で言った。
「いや!何、睡眠薬なんて飲ませてるんすか!?」
「そうしねぇと、怪しいんだよ。」
「怪しいって…」
「んな事より、ほら。この紙に、起きたら医務室に来いって書いて、晃の部屋に置いてきてくれ。ついでに晃もベッドに寝かせてきて。」
「はぁ!?」
「じゃあ、俺は言われた通り、休もうかなー。」
「あ、ちょ!!」
菱沼は慌てたように晃を抱きかかえる。
ま、あとは言った通りにやってくれるだろう。
…もう取り返しはつかないぞ、俺。
█が██ま█、
あと13日。
そういやここの医者仕事多くないって思ったそこのあなた!!()
ここでの仕事言っちゃおうかね!
それは……
患者の経過観察を毎日書いてまとめてます
え?意外としょうもない?
ばッ、おま、分かってねぇなぁ!
こういうコツコツしたのが大切ってもんよ?
いつ誰が死ぬか分かんねえんだから!(((
次はこの後日の話やね!
多分これからも誰かが死ぬ日とか重点的に書くと思うよ?
うん!精神的苦痛半端ねえ!鬱回続く!
てか元々考えてた内容からめちゃ変わりそー笑