公開中
シックス・ラバーズ 第4話
体育祭が、始まった。
---
「さあ、クラス対抗選抜リレー!白組、アンカーにバトンが渡りました!」
「いっけー!百々音!」
百々音「まっかせてー!」
「赤組、青組が懸命に追いかけますが、届きません!1位は白組です!」
俺(ふん…………やっぱ百々音さんは俺とは違う。)
運動神経も良いし、みんなの人気者。
俺とは、住む世界が違う。
---
俺「――――よいしょっと。これで全部だな。」
百々音「はあ……校庭と倉庫何往復したんだろ………」
俺「……やっぱ百々音さんはすごいな。リレーのアンカーまで任されて。俺は、全然運動できないし……」
百々音「そんなことないよ……!!〈俺〉は、誰よりも真面目で、体育祭の仕事だって一生懸命やってて………尊敬しちゃうな……だから、私も〈俺〉に負けないように精一杯準備頑張ったんだ!えへへ。」
尊敬―――――
そんなこと言われたのは、生まれて初めてだ。
この俺に尊敬できるところなんてあるのかと思っていた。
運動、勉強、器用さ、リーダーシップ、
俺より優れてる人なんていくらでもいる。
俺「どうして、俺なんか………」
百々音「〈俺〉はさ、なんか他の男子とは違うって言うか………私、〈俺〉と一緒に過ごしていたときがとても楽しかった!……私ね――――〈俺〉のこと…………大好きだよっ!!」
――――はっ???
突然の言葉に、俺の脳は思考停止した。
好き………??
好き…………??
《《大好き》》…………!?!?!?
俺「――――あ、アレか?あの、『友達として好き』的な……」
百々音「違うよ?友達以上にだいす…………」
俺「あーーっ!!そうだっ!俺、用事あったんだった!帰るね!じゃ、じゃあな!お疲れ!また学校でーっ!」
俺は、その続きを聞きたくなくて、逃げるようにして帰った。
今、こうして走っている時にもし50m走や100m走のタイムを計っていたら、おそらく自己ベストを更新できるだろう。
百々音「―――あっ!待ってよーっ!………もう、〈俺〉ったら…………」
百々音「………ようし。決めた。〈俺〉を絶対、ぜぇーったい、振り向かせて見せるんだから!!」
この頃からかもしれない。
俺の、平凡で普通な高校生活が狂い出したのは………………
つづく