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全ての世界が狂した時 第7話
目が覚める。
体が、変だ。
鏡に映った自分の姿を見て、俺は絶句する。
「───え?」
そこには、小学生の頃の自分がいた。
どういうことだ?
主はループを行う素振りを見せなかった。
それどころか、ラスも悪鬼に戻ったという報告を俺にしてきて、それで…
あの時、主だって目を見開いていた。
主さえ知らない所で起きたループ。
そして小学生になっている俺の体。
何が、どうなっているんだ?
『必ず、俺は紫雲を元に戻すよ』
誰かの声が、聞こえた気がした。
あぁ…ガク───かな。
今更の話だ。
今更戻ることなんてできない。
いや、‘許されない’
そうなる前に俺が全ての運命を変える必要がある。
悠餓と紗英、屑洟と孌朱、氷夜と黒雪を合わせてはいけない。
一度会えば必ず惹かれあってしまう運命だから。
紗英の場合でしっかりと判明した。
悠餓と一線を超えないように、てこと紗英が付き合っていたが、結局運命は変わらなかった。
おかしい。
何かがおかしい。
俺の知らない所で、主の知らない所で、必ず何かが起きている。
────爽か、おとか……?
いや、違う。
これは───
全てがガクの仕業だ。
一から全てをアイツが出来るとは到底考えられないが、現状はそれを信じるしかない。
とりあえず───
「俺は今何年生だ…?」
---
自分のランドセルに入っていた教科書を見て、小6だということ、そして、自分が通っているのは、ループが始まる前の小学校。
全ての始まりに戻っていた。
「紫雲‼︎なんで今日迎えにきてくれなかったの?」
後ろから、元気な声が聞こえた。
黒雪、だ。
「僕ね、ようやく昨日の模試で紫雲と同じ中学の合格判定でA貰えたんだ‼︎」
これで一緒の学校に通えるね‼︎
と、笑顔で俺にそう言ってきた。
あぁ────
違う。
ダメだ。
‘そうじゃない’
「紫雲───?」
なるほど。
そういうことか、ガク。色々と────
やってくれたなぁ
「ねぇ、紫雲?大丈夫?」
なら、俺が変えればいいんだ。
君に変えられた分全部を。
「なぁ黒雪───」
純粋な顔で俺を見てきた黒雪の目を覗き込んで、俺は呟いた。
「お前は、鬼だ」
呆然とした顔の黒雪の目が、闇に染まって行く。
俺にない、いつも身に付いているような鎖。
それはきっと主でさえ記憶を無くしているからだ。
なにせループする前───
俺が鬼になる前のはずなのだから。
「俺が新しく素晴らしい世界を作ってあげるよ」
全ては、アイツのために───