旅する兎と僕の声

ある日、僕は声を何者かに取られた。 そのことを書いて家族に伝えても、誰も僕を信じてくれない。 家の近くの森を歩いていると、少し開けた所に人と家のようなものが見えた。 「昨日までこんな所なかったのにな、急に、、、、え？」 何故か出なかった僕の声がここに入った瞬間、話せるようになったのだ。 驚いていると、家から兎のような耳の生えた男の人が出てきた。 「あ、こんにちは、、？」 声をかけると、男の人は少し驚いたような素振りをしながら 「こんにちは、人間のボウヤなんて、珍しなぁ。」 と、言った。人間が、珍しい、、？どういう、、、 「うちの名前は「旅兎」、通称｜旅する兎《トラベルラヴィット》って呼ばれてるらしいねんけど、、」 「それより、僕の声が、さっきまで出せなかったのに出せるようになってるんだけど、どうい事？！」 そう問いかけたけど、「旅兎」は答えなかった。だが、ここから一歩でも出てしまうと 声が消えてしまうような気がした。 ーーーーーーーーー2話に続くーーーーーーーーー