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ネットワーク
奏「ここって…脱衣所?」
瑞希「うん、アルターエゴに用があるんだよね」
奏「え?…瑞希…前にもう用はないって…」
瑞希「用がないなんて言ってないよ。役目は終わったって言っただけ」
瑞希「それに、アルターエゴから頼まれたんだよ。人を集めてほしいってね」
奏「私たちに…頼みを…?」
瑞希「そう。とりあえず、パソコンを起動させようか」
寧々「来てくれたんだね」
寧々「えっと…集まったのは暁山さんと宵崎さんの2人?」
--- 2人じゃ足りなかったかな? ---
寧々「ううん、2人いれば十分だよ」
--- ボクたちに頼みたいことって何? ---
寧々「えっと、あのね…」
寧々「私を…インターネットが接続できる場所に連れて行ってほしいんだ」
瑞希「………え?」
私と瑞希は、同時に顔を合わせる
でもそれはたった数秒。
瑞希はすぐ、キーボードに手を添えた
--- どうして? ---
寧々「うん…みんな、言ってたよね」
寧々「私の役目はもう終わりって…」
寧々「これで私のやることはもうないなんて…」
寧々「そんなの、嫌なの…」
寧々「私もみんなの役に立ちたいの」
寧々「みんながここから出られるように…」
寧々「だからお願い………」
奏「でも…!そんなことしたら、絶対黒幕に気づかれる…」
奏「自殺行為だよ…」
寧々「危険なのは、わかってる」
寧々「怖いけど…大丈夫」
寧々「みんなのことを思うと、大丈夫だって思える」
寧々「人工知能が何を言ってるんだって思うよね」
寧々「でも、ほんとなんだよ」
寧々「みんなの為なら、怖くない」
私はいつのまにか、その声に聞き入っていた
だって、あまりにも必死で、健気で、儚げだったから
瑞希「…ねぇ奏、奏は前に言ってたよね」
瑞希「人間とプログラムの差ってなんなんだろうって」
奏「………うん」
瑞希「アルターエゴと話してると、確かに分からなくなってくる…」
瑞希「ボクにも、その答えはわからない」
瑞希「それは、アルターエゴ自身もわからないかもしれない」
瑞希「でも、これだけは言えるよ」
瑞希「アルターエゴは、ボク達の仲間…」
奏「瑞希……」
瑞希「本当はもう、無理をさせたくなかった」
瑞希「これ以上危険なことをしたら、絶対に黒幕に気付かれるから…」
瑞希「…でも……」
瑞希「やってもらおう、奏。アルターエゴをネットワークに繋ぐって事を…」
奏「…………」
瑞希「仲間だからこそ、アルターエゴの気持ちを汲んであげたいんだ」
瑞希「仲間と一緒に戦いたいって、彼女の気持ちをね」
瑞希「それに、もし奏がアルターエゴの立場だったら…この状況で何もせずいられる?」
瑞希「みんなが一生懸命戦ってるのに、それを横目に、何もしないでいられる?」
奏「それは………」
寧々「…だ、大丈夫?もしかして揉めてるの…?」
寧々「でも、私のことは心配しないで」
寧々「私は、自分のことを信じたい」
寧々「私ならできるって、そう信じたいんだ」
寧々「だから、私にやらせて…!」
奏「………」
瑞希「それに、あの場所なら黒幕にも気づかれないかもしれない…」
奏「あの場所…?」
瑞希「思い出して。脱衣所以外にもあったはずだよ。監視カメラが設置されてない部屋…」
奏「あ…2階の隠し部屋?」
瑞希「うん、それに、あそこならネットワークも繋げる」
瑞希「ケーブルがあったからねれ
瑞希「…でも、黒幕がネットワークを管理してるかもしれない…」
瑞希「それに、隠し部屋に入っていく姿も見られる…」
奏「廊下には、監視カメラがあるからね…」
瑞希「それでも、彼女にやらせてあげるべきだと思う…だって、」
瑞希「新しい手掛かりを得る方法は、それしかないから…」
奏「瑞希………」
奏「だったら…アルターエゴは、私に運ばせてほしい」
奏「服の中に隠して運ぶ。これなら絶対見つからないでしょ?」
瑞希「…!ありがとう…!じゃあ、よろしくね!」
瑞希「…早速、はじめよっか」
瑞希「少し窮屈かもしれないけど、アルターエゴには少し我慢してもらってね…」