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神に聞いた
やがて俺は自分の死を受け入れ始めた。それは抗えない運命のようなものに感じられた。俺は最後に、神に話しかけたかった。
俺はもう一度勇気を振り絞る。そして俺は神に声をかけた。
神に呼びかけると神は驚いてこちらを向いた。俺はその神の姿を見て嬉しかったが、やはり神は自分を認識していない。それが分かったが、俺は神のそばに行きたかった。そこで俺は考えた。どうにかして神をこの空間に連れてこれないかを。
しかしどうやってもそれは無理そうだと諦めかけていたが、俺は思いついた。神に俺を認知させてやろうと。
俺はそう思いつくとすぐに行動に移った。まず俺は神の前に行く。神はまだ驚いて固まっていた。
「こんにちわ」
俺は神に挨拶をした。しかし返事はない。そこでまた考える。俺は神の肩を叩こうとした。しかしすり抜けてしまう。俺はそれを予想していたので次の作戦に移る。俺は神の頭を撫でようとした。これも駄目だったが、俺は諦めない。俺は神の頭に手を置いた。神の頭はとても小さく俺の手の中にすっぽりと収まるほどだった。そしてそのまま撫でていると、次第に反応が返ってくるようになる。
そして神は笑顔になりながら言う。
「あれ?君なんで私に触れられるんだい?君は一体・・・?」
俺はそれを聞くと「神様のおかげなんです」と言い、説明をしようとした。
しかし神の「ちょっと待ってくれるかい?君の話が先だ」という言葉によって止められる。俺は少し戸惑ったが「分かりました」と言った。そして俺は自分のことを全て話すと、神は涙を流しながら俺のことを抱きしめてきた。そして「辛かったろう」と呟く。
俺も泣いてしまった。今までの苦労が報われたような気がしたのだ。
しばらくして俺は神と手を繋ぎながら話を始めた。これからのことについてを。「神様、今更こんなことを言うのもなんだけど、この世界を守ってくれませんか?」
俺は真剣な眼差しでそう聞いた。すると「ああ、約束しよう」と即答してくれた。俺は「本当にありがとう」と礼を言うと、「いやいや、こちらこそだよ」と言われた。
その後、俺たちはこの世界の現状をお互いに確認し合ったが大体の事は把握できた。俺は神から聞いたことを整理し終えたところで一つ質問をしてみることにする。
「あの、女神様?」
「うん?なんだい?」
「あの、この世界には俺みたいな人っていないの?」
そう聞いたのはなぜなのかは自分でもよく分からなかったけど、俺は聞いてみたいと思った。
「ああ、今のところはいないと思うよ」
神の言葉を聞いて少しだけホッとしたが、少し引っかかるところがあった。俺は続けて聞いてみた。「じゃあ・・・もし・・・もしもだけど、いるとしたら、どういう人たちなの?」
俺は緊張しながらそう言った。すると神は優しい声で俺に向かって答える。「そうじゃな・・・例えば、いじめられっ子とか・・・引きこもり・・・ニート・・・とかかのう」
俺は「へえ」とだけ答えた。
そして俺が思っていることが正しければ俺と同じ境遇のものがいるということなのだ。少しだけ希望が持てるような気がした。俺がそんなことを考えていると神が俺の方を向いて話しかけてくる。
「まあ、お主の思う通りじゃよ」
そう言われて俺は驚いたがすぐに冷静さを取り戻した。そして「やっぱりですか」と言うと、神は続ける。
そこから神が言う話は本当だと感じた。俺は信じられなかった。でも信じるしかなかった。
その話の内容を聞いていくうちに俺はどんどんその現実が本当のようにしか考えられなくなっていった。