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女神様に出会いました。
女神様に出会いました。
桃色に少し黄金混じりの長い髪、優しいピンク色の目、いちごが取り入れられた白く包み込むようなドレス。
まさしく女神様だと思いました。
私は今日から貴女に仕える、しがない一装飾家でした。
初めて入った宮殿は、資料で見るよりも何倍も輝いていました。
その中でも存在感を放つ、…というより、存在感を着こなした貴女を見かけました。
貴女は平等な愛情を下さりました。
驚くほど感情的で、誰もが嫌った少女に手を差し伸べました。
暴言をさも当然かのようの吐く少女に手を差し伸べました。
何度も何度も私を殴った少女にも手を差し伸べました。
もはや、その少女を守っていたように見えました。
…少しだけ悔しく感じました。
女神様は言いました。
「人にやさしくすると、その優しさがいずれ返ってくるから」と。
パステルな高い塔の上で、貴女はそう言いました。
「やはり貴女は女神様だ」と、口から出ていたのを思い出しました。
貴女は当然のごとく苦笑いしましたが、そんなところもまた女神様でした。
そんなある日、女神様は言いました。
「10分後にまた来ます」
そう言った貴女は、席を立ちました。
貴女は私のことが嫌いなのではと、不安がよぎりました。
私と二人じゃ駄目ですか。
私は今日、貴女に花束を用意していました。
淡い桃色の薔薇5本と黄色のチューリップにサクラソウにリナリアに…
………貴女らしいと踏んだ花たちでした。
いや、綺麗で美しく、かつ優しすぎる貴女のための花束でした。
服もあなたを思って悩みに悩んで着替えました。
貴女をずっと待っていました。
きっと貴女ならこの戦争でさえどうにかできてしまうと信じて。
…
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無常にも時は流れて行きました。
流れていってしまいました。
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桃色だったテーブルにオレンジが差し込んできました。
10分はこんなにも長かった事を考えさせられました。
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私を嘲笑うかのように吹く秋の風は、
どこか火薬が混ざっているように感じました。
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…今だから自供できます。
私は、送り込まれてきたスパイでした。
しかも、女神様の暗殺を命じられました。
でも、できませんでした。
今までの信頼を打ち切ってでも、裏切ってでも貴女に尽くしたいと思いました。
あの日、貴女が爆死したと聞きました。
何度も聞き直しました。
文字通り、爆発して死んだ、と。
なんでも、私とのティータイムをほっぽって宮殿を飛び出し、民を守りに最前線に向かったとの事でした。
貴女はずっとみんなの素敵な女神様でした。
仲間のピンチに訪れる、みんなが憧れる女神様でした。
優しい心と思いやりを持って、選択の責任をみんなに押し付けているようにも見えて、中立的で、守りたいものだけ守って。
そんなそんな、最低で最高なみんなの女神様でした。
……貴女は、勇気を出した私と一緒にはいてくれませんでした。
私と話しているときも、きっとずっと遠くを見ていたのでしょう?
また私は涙を流しました。
伝えられず泣いていたのに、想いを伝えようとした瞬間に機会を奪われました。
報われない恋というのはとっくにわかりきっていましたが…
殻にこもるように布団に潜り込んでしまいました。
それよりも、故郷に帰る準備、しないと……
途端`かち`、という音が聞こえました。
死ぬと直感しました。
きっとこの国のへのトドメでしょう。
役立たずの私を巻き込んで。
私は最期愛しい人の名前を呟き、大きな音に包ま______
StrawberryFashionと女神様は名乗っていました。