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Tale.モネ&千夜
神無月
「愛してるよ。」
リラが産まれた。
リラが微笑むと心が暖かくなった。
リラのしたいことならなんでもしてあげたいと思った。
お父さんは居ないけれど、お母さんと3人、平和に暮らしていた。
リラはどんどん成長していって、知らぬうちに私の背を越していた。
あの小さく柔らかかったリラが、大きくて。
私は自分の気持ちに気付かぬフリをしていた。
家族を壊したくなかったから。
お母さんが死んだ。
リラは狂ってしまった。
男が取引を持ちかけてきて、私はそれに乗った。
「99人の命と1人の血縁者の存在」
リラとお母さんを助けられるなら、なんてこと無かった。
姉として、相応しくない思いを抱いてしまった私にできる、せめてもの償い。
私は、ただリラが笑ってくれるならそれで良かった。
狂ったリラは、私を恋愛的な意味で好きだと思い込んでいるみたいだった。
……チャンスだと思った。
1年。私に与えられた猶予。
どうせ消え去って無くなってしまう命だ。
……最期くらい、私の最愛に愛されたって、いいよね?
---
寿斗が産まれた。
寿斗が泣くと胸が締め付けられた。
寿斗の為ならなんだってできると思った。
思えば、その時から俺は寿斗に恋をしていたのかもしれない。
寿斗はどんどん成長していた。
俺の真似をするようになって、俺の後ろを着いてくる寿斗が堪らなく愛おしくて。
純粋な、曇りのない瞳で俺を見る。
寿斗は俺のこの穢れた感情になんて気が付かなくていいんだ。
家族を壊したくないから、俺はこの感情を心の奥底に沈めた。
母さんが死んだ。
寿斗は狂ってしまった。
男が取引を持ちかけてきて、俺はそれに乗った。
「99人の命と1人の血縁者の存在」
寿斗と母さんを助けられるなら、なんてこと無かった。
兄として、相応しくない思いを抱いてしまった俺にできる、唯一の親孝行。
俺は、ただ寿斗が幸せなら、それで良かった。
狂った寿斗は、俺を恋愛的な意味で好きだと思い込んでいるようだった。
……正直、血の気が引いた。
1年。俺に与えられた猶予。
いずれ消え去る俺に、そんな特別な感情は向けるものではない。
……俺はその日から、あえて寿斗と距離を置いた。
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ようやく、ようやく成し遂げた。
あと1人。「血縁者の存在」。
あとは自分を殺せば、それで全てが元通りになる。
……ならば、最後に。
誰も咎めやしない、ふたりきりの世界で……。
「リラの唇だけは奪えない。きっと、リラにはいつか必ず、本当の最愛が現れるから。」
『本物の指輪は買わなかった。幼いあの子は、きっと将来すてきな人と巡り会うから。』
きみの行く末を傍で見届けられないのは寂しいけど、大丈夫。
きみが笑って、泣いて、怒って。いつものように、変わらない日々を過ごしてくれるならば。
--- 「リラ」 ---
--- 『寿斗』 ---
--- 「『……1人の男の子として───愛してた。』」 ---
……なんてね。