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水彩デイズ #1
すず
「颯太!起きなさい!」
この声で僕は目覚めた。いつもと同じ部屋。窓から朝日が差し込む。
僕はベッドからドアの方へ進み、ドアを開けて、階段を降りる。
そして、階段を降り切ったら右に進む。リビングに入り、椅子に座る。
椅子に座ると母親が朝食を出す。これもいつも通り。
ささっと朝食を食べ、忘れ物がないかチェックをする。玄関に向かい、外へ出る。
「お母さん、学校行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!颯太」
いつもの通学路を歩いているといきなり友達の悠馬から声をかけられた。
「よっ!颯太。今日お前眠そうだな。ちゃんと寝たか?」
「いつも通り寝たけど」
確かに、いつも通り寝たけど眠たいような気もする。
「そういう悠馬も眠そうだぞ」
「俺はいつも寝不足だから」
いつの間にか歩いていたら学校の門の前についていた。
「あ!桜木くんと星野くん!」
「おはよう、白石さん」
白石さんとは、僕のクラスの実行委員だ。頭もよく、身長も高く、誰もが好きなような人。
僕も白石さんのことが好きだ。
「今日1時間目小テストだけど桜木くんと星野くん大丈夫?」
「俺は頑張っても10点しか取れねぇわ。じゃ、俺先に教室行っとくな!」
なぜ悠馬は先に行くのだろう?と思いながらいたら白石さんが近づいてきた。
「ね!桜木くんってさ、好きな人とかいるの?」
「えっ…ぼ…僕は…」
好きな人本人の前では流石に好きな人は言えなかった。
「いるんでしょ?」
「い…いるけど誰かは言わないよ!」
「もしかして私も知ってる人?」
白石さんが距離を詰めてきている。
「えっ……いや……そ…そろそろチャイムなるから教室行こ!」
僕は走り出した。
「待ってよ〜!まだ答え聞いてないのに〜」
白石さんは僕が走る運動場を走って追いかけてくる。
(もしかして…白石さんも僕のことが…そんなわけないよね)
「桜木くん走るの遅いね」
横から声が聞こえた。
「し…白石さん!?」
「あれ?桜木くん知らなかった?私走るの早いんだよ」
僕は校舎に急いで入ると悠馬が待っていた。
「お二人さんやっときたか。なんの話してたんだよ〜?もしかして恋バナ?」
少し後に、白石さんも校舎に入ってきた。
「あ、星野くんいたんだ。」
「三人で教室まで行こうぜ!」
白石さんを真ん中に、僕たちは4階建ての校舎の3階まで上がる。
「もうずっと登ってたらこの階段なれるよな」
悠馬がサラッと言った。確かに、僕もそう思う。僕たちは今中学2年生。
今は新学期が始まってから1ヶ月ほど経った。
「今日さ、一緒にお弁当食べない?」
急に白石さんが言った。
「な…なんで?」
「桜木くんの弁当っていつも美味しそうじゃん。今日はどんな感じかな…って思って」
「俺も一緒に食べていいか?」
悠馬が強引に入ってくる。
「星野くんもいいよ〜」
教室に入るといつも通り賑わっていた。
実は、僕と白石さんの席は隣なのだ。悠馬は僕の後ろ。
チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
「今から小テストを始めたいんだが先に出欠をとるぞー。桜木ー、白石ー、星野ー………」
小さな声で悠馬が話しかけてきた。
「なあなあ颯太、あの先生ってさヅラらしいぜw」
こういう話をする時の悠馬は無視しといて……前を向く。
「森ー、森ー、今日森休みか?」
「なんか入院してるみたいですよ」
「入院?森怪我したのか?」
「それは知らないけど…」
クラスメイトが森について話し始める。
「森って昨日学校来てた気がするんだけど」
「確かに、昨日元気で来てたよな」
「もしかして事故にでも遭ったのかな…?」
「全員静かに!」
先生のこの声で一気に静まった。
「じゃあ今から1時間目の小テストを始める!」
先生がテスト用紙を一人一人配る。
「では、時間は30分だ。初め!!」
カリカリとシャーペンの音がたくさん聞こえる。白石さん…は余裕だろう。
僕は50点取れるかどうか…という感じの難しさだった。事前に聞いて予習してないのも悪いけど。
こんなこと考えている間にどんどん時間は過ぎる。悠馬はちゃんと解けてるだろうか。
残り…20分ほどだと思う。やばい、全然解けない。
「テストやめ!回収だ!」
先生の声が教室に響きわたる。やっぱりラストスパートは頑張らないといけないな…
「颯太!お前…どれくらい書けた?」
「ん…?あ、悠馬か。僕は50点ギリギリいけたかな…って感じかな」
「俺はね数問しか解けなかったぜ。俺トイレ行ってくるわ」
「あ、オッケー」
話す人がいないと暇だな。やっぱり教室は話声で賑わってるからな…なんか気まずい。
「ねぇねぇ、桜木くん!」
「あ、白石さんどうしたの?」
「実はさ、ちょっと手伝って欲しいことあって…」
「別に…いいけど…」
はっきり言えば、僕は『いいよ』としか答えられなかった。好きな人の頼みは断れない。