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カエルを潰した今日この頃
岡田 勇作
私は安心した。
しかし、それと同時に「潰して、殺してしまった本人ではなく、見ず知らずの人が土に埋めた。責任をその人に負わせている。」そんな罪悪感が私の背中をさらに押し潰した。
「おや。どうしたかね。顔色が悪くなってきているが。」
高齢者は言う。
「いえ。お構いなく。走ってきたもので。」私は罪悪感と謎の安心で板挟みになりながら家に帰った。
21時37分。
家にやっと着いた。
外はもう暗く肌寒い。
私はこの前に調理した肉じゃがを食べ、風呂に入った。
罪悪感でいっぱいになりながらも布団に入った。
2時13分。
少しばかり夢を見た。
目の前には潰したであろう緑のカエルがいた。
「お前に潰された。私には家族がいた。狩りは私しかできない。そしてもうあっちにはいないで私と同じここにいるだろう。」
私はカエルが喋ったことに驚いた。
「お前は私と私の2人の家族を殺したのだ。お前は海の渦と一緒になるが良い。」
私は息ができなかった。
ヒュー。ヒュー。
音を立てて微かな息しかできなかった。
2時15分。
目を覚ました私は深く息を吸う。
「この夢はなんだったのだろうか。」
私はそう言い、もう一度寝た。
6時30分。
朝にやることをやり、スーツを着る。
「相変わらずひどい顔だ。」
目には薄くクマがあり、頬に子供の頃に着いた傷が消えずにある。
私は愛用の、カエルを踏んだ愛用の靴を履く。
私の今日の仕事は、いろんな家をまわって契約をとる事だ。
最近はドアに「契約お断り。」そう書いた紙が貼られる家をよく見る。
後輩はその貼り紙関係なく、営業に吹っ掛ける。
その都度、追い出される。
「いや。最近の家はどれもこれも、営業お断りって。」
後輩は言う。
「はは。しょうがないだろ。」
私は返事をする。
後輩は何かを感じたようにこう言った。
「先輩。なにか悩みがあるんじゃないですか。」
「君は私についての事はすぐにわかるな。そうだな。最近カエルを踏み潰してな。
それも特に好きな緑のカエルを殺したんだ。」
私はそう言葉をこぼした。
「おお。よくあるやつですね。やっぱり、罪悪感がのしかかってる感じですか。」
「ああ。そうなんだ。」
「よくありますよね。そういうの。でも考えすぎたら、それはそれで、先輩の首を絞めるだけです。」
私はその言葉に返事ができなかった。
「ま。なんでもいいでは無いですか。さ。帰りましょうか。」
私と後輩は会社に戻った。
私の考えてるこの話の最後は多分、後味悪いです。