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番外編
10月31日、といえばハロウィンだ。
三鷹「なんで、殺し屋が集まってハロウィンパーティするわけ?」
如月「会費集められて金欠なりそうなんだけど〜」
黒宮「最近金ないのか」
如月「うん。だから、BMW売りたいんだよね〜」
三鷹「それで、その吸血鬼スタイルになったの?」
如月「三鷹ちゃんの仮装、めっちゃ似合ってるよ〜」
三鷹「こういうの、本職だから」
ゴスロリ風の衣装に猫耳と魔女帽、ホウキまで揃っている。
元が美人なだけあって、テレビの中にいらっしゃいそうだ。
如月「どうでもいいけどさ…。…宮ちゃんのそれ、何?笑」
黒宮「ゴースト」
如月「っ…!!」
声にならない悲鳴をあげてうずくまる如月。
笑い死ぬ一歩手前。
三鷹「まあ、なんというか…クロミヤちゃんの天然っぷりが極まった感じだね…」
真っ白なシーツは、切るのが勿体無いからか、黒いガムテープで目を張り付けてある。
当たり前だが、前が見えないので如月のドラキュラ風衣装のベルトを括り付けて歩けるようにしているらしい。ツッコミどころしかない。如月のズボンがずり落ちそうになっているのは気のせいだろうか。
当然、如月がしゃがんだことでシーツは取れている。黒宮はどこに目があるか、シーツを手繰って探しているところだ。
三鷹「あ、そういえば、柳澤さんも仮装してなかったっけ」
如月「そう…ぜー…ぜー…無理やりやらせてみた笑 んぐっ」
柳澤「ちょっとこっちに来い…」
地を這うような低い声。
濃い灰色の狼男に仮装した柳澤に引きずられ、如月は行ってしまった。
黒宮「シーツ…」
一緒に黒宮の衣装も行ってしまった。
三鷹「…ヒイラギ、生きて帰ってくるよね?」
黒宮「多分」
三鷹はそっと如月が消えた方角へ手を合わせた。
湖畔「御魂さん…助けてください…」
付箋を額に貼り付け、中華風衣装を身につけた湖畔がやってきた。
半泣きで、衣装には赤い手形が付いている。
三鷹「誰かに虐められたの?」
湖畔「椿さんが…」
黒宮「あの人、ハロウィンとなるとやけに張り切るからな…」
ずっ…ずっ…と妙な音が聞こえてきた。
見れば、大きなテレビがこちらにやってくる。古いブラウン管のものだろうか。
三鷹「……無視しましょ」
椿「無視するの酷くない?昔っからずっと僕のこと嫌ってるけどさあ、なんか理由とかあるわけ?」
長い前髪、白いワンピース。それにテレビとくれば…。
ラジカセから音楽が流れ始めた。
椿はゴソゴソとテレビに潜り込む。
黒宮「ずいぶん古いネタだな」
三鷹「貞子の仮装なんて、30の男がするもんじゃないでしょ」
湖畔「もうやめてくださいよぉ…」
椿「来る〜、きっと来る〜♪」
三鷹「自分で歌うの!?」
黒宮「歌詞が違う」
本来の歌詞は『Oooh きっと来る きっと来る』らしいが、多くの日本人には『来る きっと来る きっと来る』と聞こえるようだ。
椿「ユル…サナイ……」
ずるずるとテレビから這い出し、凄い勢いでこちらに向かってきた。
三鷹「怖いんだけど!」
黒宮「気色悪さもある」
椿「ひっど。てか、黒宮、仮装は?」
黒宮「如月さんに持って行かれた」
椿「ふうん。御魂の仮装も似合ってるよ〜。ちょっと情報量多すぎる気がするけど、若いしそれぐらいいいんじゃない?」
三鷹「上から目線やめて」
ホウキでつついてテレビの中に戻そうとしている。
椿「あのね、僕は虫でもゴミでもないんだよ?」
三鷹「≒で結ばれてるわ」
椿「中学校一年生の数学の知識を披露しなくてもいいよ?あっ、待って、カツラとれる。これ高かったんだけど」
三鷹「じゃあこのホウキごとあげるわ」
長い黒髪のカツラが絡まったホウキを投げ捨て、三鷹は奥へ進む。
形ばかりに仮装した壮年男性たちがBMWに乗り、バズーカを持った着物の女装男性にペコペコ頭を下げている。コント集団に見えなくも、ない。
三鷹「社長…」
黒宮「あの人もブレないな」
如月「宮ちゃーん。シーツありがと〜」
額から血を垂れ流した如月がやってきた。
三鷹「アンタ、どうして怪我してんの?」
如月「えっとねー、柳澤さんに怒られてて、逃げたくなっちゃってさー。で、このシーツ被って、人の間すり抜けて逃げたら、テーブルの角にぶつけた」
黒宮の顔が強張った。
如月「でー、痛いなーってシーツ脱いだら、ベルト踏んで転けて、ワイングラス刺さっちゃった笑」
三鷹「アンタ、意外と不運だよね」
黒宮「吸血鬼っぽくなっていいんじゃないのか」
シーツに血痕がないことを確認し、またシーツを被る黒宮。
見慣れてくるといっそ可愛らしいと言えなくもない。
如月「三鷹ちゃん、寒くない?」
自然な動作で三鷹にマントをかけた。
三鷹「きッ………ありがと」
如月「その間、何!?」
黒宮「手慣れてるな」
三鷹「さすがヒモ」
如月「褒め言葉!?」
三鷹「ところで、この仮装大会、審査はどうやるの?」
如月「いっつも、審査員が適当に歩いて、1番インパクトあるやつが優勝だったと思うけど…。椿かな」
三鷹「ガチ勢」
如月もあの貞子を見たのだろうか。
黒宮「社長もだいぶインパクトが…」
如月「え、見たの!?」
三鷹「ミスマッチ感が1番高かったと思う」
如月「BMW貰えないんなら帰ろ」
三鷹「子供?」
黒宮「バイト探しに行くのか?」
如月「行くわけないじゃん笑」
三鷹「じゃ、ハローワークに行きましょ」
黒宮「血は拭っておけよ」
如月「ちょっ、行くの!?やめてよ、働きたくないんだけど!!!!」
三鷹「自立しろヒモ野郎」
ハロウィンの仮装大会!
私もやりたいよ…
リクエスト、できたらください…ネタ切れですw