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いじめの教室①まっていたもの
いじめ注意!
「ねえ、柚月もそう思うでしょ?」
瑠璃香は私に問う。でも、答えたくない…。
「そ、そうなの…かな?」
私は曖昧な答えを告げた。
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「おはようございまs」
**ばしゃあ**
私の制服や顔に、上から水が勢いよく降りかかる。ポタポタと水が制服や肩まで伸ばした髪の毛からたれる。
「えへへ〜★実験大成功!」
「朝から一生懸命準備した甲斐あったねー」
あー、そういうことね。ドアを開けたら水が上からかかってくる。そういうやつね。
「でも、まさか実験体が夕凪なんて哀れなもんねー」
「……クスクス」
クラスメート全員が笑う。私にとって、ここにいる全員は敵だ。
私は|輪奈越 夕凪《わなこし ゆうな》!珍しい苗字でしょう。
今年の春、|竿葉芽《さおはめ》中学校に入学した。中高一貫!私立!受験頑張った!
そこで始まったのはキラッキラの青春…のはずだった。
最初の方は“勉強もできて苗字も珍しいすごいエリート”ともてはやされたが、
鼻にかけることなく颯爽としていた。
まあ、勉強できるのは事実。そ受験も首席で入学したし、定期テストも学年1位をキープしていた。
そのことに対し、よく思わない生徒が発生した。クラスのギャル系グループの一員である。
そのグループはキラキラした雰囲気がただよい、美人な子が多い。男子とも仲良くしている。
リーダーは瑠璃香で、強気でいじめっ子。少しでも逆らったら精神的に殺されるらしい。
だから、みんな瑠璃香を避けていた。私も極力避けるようにした。しかし…
いじめのターゲットにされてしまったのだ。そこからは大変だった。
こうやって水をかけられたり、物を隠されたり、陰口を言われたり、SNSに盗撮写真をアップしたり、
合成で作った私が万引きしている動画をクラスメートに見せたり(もちろんやっていない)。
いつのまにか、クラスメート全員が私をいじめる状態になってしまった。
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授業が終わった。部活も休みだったため、家に帰ることにした。
この時間は落ち着く。みんな部活だからいじめっ子は私をいじめることはできないのd
「えい!」
聞き慣れた声がした。トンっと背中を押された感覚がした。バランスを崩して前倒れになった。
そのまま倒れたら、道路だ。しかも、車通りの多い車道。
そのときも、ちょうど………
**どんっ**
何かがぶつかった。ひどい激痛がした。
「部活抜け出した甲斐あったねw」
「これで気楽に学校行けるー」
「あーグロい。こんなのみてられないわ」
いじめっ子の声がした。
ああ、これが私の死に方か。
「おい!なにやってるんだ!」
大人の声がした。
「とりあえず通報だ!目撃者なんだろう、瑠璃香さん、通報して!」
「は、はい!」
うっわ猫被り。もういいや。もう、私なんて………
そこで意識が遠のいた。激痛も消えていった。
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「…ん」
私は起きた。ここ…病院?
た、助かったんだ!!
「瑠璃香さん?」
…え?私は夕凪ですけど?
きょとんとする私。とりあえずまわりをみる。
ここは…学校の保健室?で、話しかけたのは保健の先生だ!
「先生!私、一体なにが…」
「…え?瑠璃香さん書道部でしょ?書道中いきなり倒れたのよ」
私は鏡を見る。あ、あれ?これ、見覚えのあるいじめっ子の顔。もしかしてこれ…
「入れ替わってる?!」