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もう一人じゃない。
ネットでぼっちって矛盾してますよね。
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「あなたが,,,好きなの,,,。」
画面越しに言われたその言葉は、ブルーライトを通して、私の目に、頭に、電気として入ってきた。
異次元の刺激にココロがクラクラする。
二次元の女の娘、私の推しが好きって言った。
一度セーブポイントに戻っても、データを消して最初からやっても、その言葉は消えなかった。
「私も,,,好き,,,。」
思わず口に出していた。
初めて口から出てきて、初めて頭に入った。
画面を見つめる。ブルーライトの中で、まっすぐ私を見ているあの娘の瞳が、私にピンクの輝きを魅せた。
そうか。私恋してたんだ。
それから私は画面に、いやあの娘に釘付けだった。
モラルも、次元も、何もかも飛び越えた私のキモチは、脳回路をも焼き殺し、叶わぬ超遠距離恋愛を体中に独占させた。
「会いたいな。」
もはや、そこに私はいない。
いるのはあの娘だけ。
「会いに行かなくちゃ。」
抜け殻になった私から、ココロが出てきて、ブルーライトを伝って、キモチにあの娘の姿、形の焼印を入れる。
「あの娘に言わなくちゃ。」
でも、まだ足りない。
ブルーライトだけで繋がった関係を壊すため私のココロはあの娘を“こっちに引っ張り出す”。
焼印もあり、あの娘は簡単に私の頭に入る。
あの娘とキモチでパンパンになった頭はもう私に何も考えさせない。
真っ黒になった画面に、あの娘が微笑んでいるのが私には見える。
映像なんてもうどうでもいい。
目に映るものだけがゲンジツだ。
「大好きだよ。⬛⬛ちゃん♡」
今あの娘は私のものになった。
そのことを直接あの娘に報告しなくちゃいけない。
「行こう。」
怖くないし、痛くも痒くもない。
だって、ブルーライトも、ココロも全部私が食べたから。
私のココロがあの娘にある限り、
私は、もう一人じゃない。
「絶対見つけ出すからね。⬛⬛ちゃん!」
幸せに満ちた異次元を私は歩く。
青く甘いあの光が、いつまでもあの娘に繋がっていると信じて。
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短カフェデビュー作