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阿相 華恋の相談室! ➀ジェンダー
「なんか足りない!なんか足りないよぅ!」
ここは星空街の喫茶店「プラネタリウム」。天井に夜空の絵が描いてある。
その日は、月に一度の会議だった。
「なんか足りないんだって!みんなも考えてよ!」
店長が、この喫茶店には何かが足りない、と言い出した。
まぁ、そうだろう。完璧なんて、ないんだから。
とは思ったものの、スペースはあるし、何か追加してもいいかもしれない。
何だろう?
「は~い。お悩み相談室TEKINA☆の作りません?三階は塾なんですし、受験の悩みとかあるんじゃないですか?」
アルバイト、やるじゃないか。いや、その前にいつもそんなTEKINA☆とか言うイメージないぞ?どうした?
でも実際、一階と二階は喫茶店、三階は塾。
このアルバイトも、部活してないから、塾の時間までアルバイトをしてる。
あ、いい。こういうのではないか、足りないもの。
「あ、それイイネ!じゃあ、相談相手、誰にする?」
「…」
「…」
「…」
しーん。誰もやりたくないらしい。じゃあ、私…やろうかなぁ…
「私、やります。」
「おっ、助かるよ!じゃあ、悩みは聞かれたくない人もいるだろうし、個室作ろう!」
聞かれたくない人もいるだろうしじゃなくてみんな聞かれたくないだろ!
ってわけで、喫茶プラネタリウムに、お悩み相談室ができた。
今日からかぁ、お悩み相談室!
相談室を作るための3日間の工事期間を終え、いよいよ相談室が始まるらしい。
相談室は朝7時から夕方5時までで、そのあとホールの手伝いをする。
アルバイトが三階の塾に行くのが5時だからだ。
よし。
喫茶店の扉を開け、会談で二階へ。
えまってめっちゃ綺麗!
え、めっちゃこの相談室可愛い!
木でできた、窓がないドア。プレートがかかっていて、裏返すと相談中になる。
わぁい、テンション上がるぅ!
私はドアを開け、相談室に入る。
チリン、とドアに着いた鈴?ベル?のかわいらしい音が鳴る。
中は入ってまっすぐに相談者の席が、
右の奥に相談相手の椅子がある。
相談相手のほうには、ドアを開けて右の切れ込みみたいなところから入る。
相談者と相談相手の椅子の間にはテーブルがある。
相談者は、飲み物を頼むことができる…と、店長が言っていた。
テーブルにこの相談室の使い方の説明書が置いてある。
『相談相手の人は、椅子の背中側にある、相談室用エレベーターを使います。
これの使い方は、注文票にオーダーを書き、金庫のようなエレベーターの番号〇〇〇〇に番号を合わせます。合わせると、鍵が開きます。
開けて、注文票を入れてから扉を閉めると、下の厨房に着くようになっています。
厨房からその注文の品と、✔のついた注文票が返ってくるようになっています。
帰ってきたときは勝手に扉が開くので、背中を怪我しないように気を付けて使って下さい。
オイオイ、怪我しないようにって…
絶対怪我するように作られてるような感じじゃん!w
やっぱひどいわ、店長。
…でも、ここまでの工事を3日で終わらせたのはすごい。
頑張って慣れていこう。
私は説明書をカバンに入れた。
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しばらくして、相談室のドアについたベル(ベルっぽいからベルにする!)がなる。
「こんにちは!」
とりま挨拶。挨拶大事!
「…こんにちは。」
「飲み物どうしますか?」
「あ、カフェラテでお願いします…。」
ショートカットの、パーカーを着た女の子。
年齢は、中学生くらいだろうか。
「ここって、最近できたんですか…?」
私が話かけなきゃいけないはずなのに、その前に質問された。
「そうなんです。この喫茶店は10年ほど前からあるんですけど、相談室は…今日からで。」
答えながら注文票にカフェラテと書き入れる。
「そうなんですね…」
「そうなんです。一回のテーブルに比べて、こっちのほうがはるかにきれいでしょう?」
と言いながらエレベーターに注文票を入れる。
「お名前は?」
「えっと、あの…悠、って言います…」
「悠?いい名前だね。私なんて華恋で「恋」って入ってるのに全然彼氏できないのよw(元カレ消と別れてもう3年w)。」
ばーん!
「ったぁ…」
はい、背中、怪我しました。
「はい…カフェラテ…。」
うう。言われたとおりに怪我しましたよ。
これ絶対怪我をすることで商品が届きました、って気づくようになってるんじゃないの⁉
ゑ、ひどくない⁉
「…今日は…どうしたの?」
背中をさすりながら言う。
「あの…ジェンダー、って、わかってもらえると思いますか…?」
ジェンダー。
ジェンダーって悩む人多いよな…
「それは…私にはわからない。」
「そう、ですか…。」
「**でも**、それはあくまでも私の感想。わかってもらえたらいいけど、わかってもらえなかったらいじめにもつながったりする。別に、男としていきたい、女としていきたいって思うのは、変なことではないから、気にしなくていいと思うよ。」
悠が今までどんなことで悩んだりしていたかは、私にはわからない。でも、気にしたからといっていいことはあるかわかんないし、男装をしてもいいし。
「そう、ですか…。じゃあ、どうすればいいですか?」
「…………気にしな~い、気にしな~い!…w好きなようにしたらいいし、墓場まで持っていくも、誰かに言うも、悠次第だから。」
「そうなんですかね…?」
「うん!あ、よければ私があんまりはかなかった、でも結構`色褪せちゃった`、捨てようか売ろうか迷ってた長ズボン、あげようか?(売れないかもって思うから)」
「あ、遠慮しときます…。」←正解
うん、笑ってくれなかった☆
「今、中学生くらい?高校では制服ズボン選んだらいいんじゃない?」
「………まだ小学生です…。」
「じゃあ、中学!w」
ちょっとだけ、最初より話してくれるようになったかな…?(うん?かわんなくね?)
もし少しでも救われたと思ってくれていたら嬉しいな!
「ありがとうございました。…また、来るかもです。」
「うん!いつでも待ってるよ~!」
はぃぃぃぃぃ!
消兎君、見てるかな⁉
出来たよ!
ジェンダー!
またいつでも待ってるよ⁉(ガチ)
ではまた!ばいちゃ~