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〚天使〛〚悪魔〛注意報。
テレビ〈今日は〚天使〛〚悪魔〛注意報が発令されています〉
テレビ〈天使悪魔注意報とは、その人の思いや言動によって、〚天使〛または〚悪魔〛が訪れるかもしれないという注意報です〉
「天使悪魔注意報?」
朝、ニュースを見て私はそう、呟いた。
天使なら来てほしいけど、悪魔だったら最悪だと思った。
私が今、1番望ましいのは、いつもと同じように、
何事も無く1日を終えることだ。
今日は月曜日、学校の日だ。
そして私は、友達の家へ行き、一緒に高校へと向かった。
「天使悪魔注意報?何それ笑」
今朝ニュースで見た、天使悪魔注意報のことを友達に話した。
まぁ、こういう反応になるだろう。
「天使悪魔注意報ってね、その人の思いと言動によって、天使か悪魔が訪れるんだって」
それを聞いた友達は「天使と悪魔なんていない」と笑いながら言った。
ただ、私が見たのは全国放送の有名な朝のニュース番組だ。
デマを流すことはないと思うけれど……。
「もし天使が訪れたら、どうしてもらう?」
友達がこう、聞いてきた。
たしかに、朝ニュースを見てからそんなの考えなかった。
まぁ、私が願うのは……
「湊くんと付き合えたらなー……なんて笑」
湊くんは、私の好きな人。
学校で人気ってほどでもないけど、まぁ湊くんを好きな女子は何人か知っている。
つまり、ライバルがいる……。私は争いが嫌いだから、
告白するということは中々できずにいた。
向こうから告白してもらえないかな~なんて願ってばかり。
……今回も、天使が訪れたら湊くんと付き合えることを''願って''るけどね笑
「湊くんねー、まぁ頑張れ!」
「うん、ありがと笑」
ま、私には無理、か笑
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授業終わり
「湊くん、今日って時間ある~?」
あの子は湊くんを好きな陽菜ちゃんだ。
陽キャで可愛くて、皆から人気なんだよな~……
陰キャで地味女子の私とは正反対だ。
「あー、うん、いいよ!」
え、み、湊くん今OKした……?
お、落ち着け、告白にOKした訳じゃない。
でもきっと今日陽菜ちゃん告るよな……
成功しそう。やっぱ私なんか無理なんだ。
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「湊くん、こっち来てもらっていい?」
帰り際、陽菜ちゃんの声が聞こえた。
そうだ、今日湊くんのこと呼び出してたな。
きっと告白だろうな……。
なんて思いながら、学校を出た。
「悔しくないの?」
どこからか声が聞こえた。
「あ、あなたって、?」
そう聞くと…
「天使。今日ニュース見たでしょ?天使が来たの」
て、天使…?
たしかに今日、〚天使〛〚悪魔〛注意報発令されてるけど……
まさかホントに来るとは……。
友達が見たら驚くだろうなー…
なんて想像をしていると、天使が声をかけてきた。
「陽菜ちゃん、きっと告白して成功するよ。」
嫌だ、湊くんを好きな私にとって、
湊くんに彼女ができることは言うまでもなく、悲しい出来事…
「失恋」だった。
「い、やだ。」
私は、「湊くんが幸せになるならそれでいい……」
ってタイプの女子ではない。
自分の恋を叶えたい、けれど行動に移さないタイプ。
「でしょ?じゃあさ、止めに行こう。告白。」
天使にそう言われた瞬間、私は息を吞んだ。
陰キャで願ってばかりの私には、とても勇気のいる行動だったからだ。
告白を止めるだなんて、ドラマでありそうな展開、
私なんかにできるわけがない。
それに、ただの邪魔者になって湊くんに嫌われたら、
それこそ最悪だ。
「何悩んでるの。時間ないの、ほら行くよ!」
天使に急かされて、陽菜ちゃんと湊くんの後をついていった。
屋上に来た。
いよいよその時が来る……と思うと、
体が震えてくる。
「湊くん、私と付き合って下さい」
告白を止めようと、一歩踏み出した。
その時だった。
体が空を舞った感覚がした。
上を見ると、|天使《悪魔》がこちらを見て笑っていた…。
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テレビ〈今日も天使悪魔注意報が発令されています。天使だと思ったら悪魔だったという場合もありますので、気を付けて下さい。悪魔は人の命を取るほど危険です〉