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ペリドットのとどけ
peku
軍パロで4流のお話です。
zm視点です。
--- たまにはこんな休日もありなのかもしれへん ---
朝、だれかがドアをノックする。コンコンコン、と軽快な音が弾む。
「あ゛ぁ、だれやこんな朝っぱらから。」
俺は今日はゆっくりと休む予定だったから、予想だにしていなかった目覚めに、ついしゃがれたダミ声がこぼれる。
あからさまに不機嫌を相手に伝えるかのごとく、俺はドンドンと階段を大きな音を出して歩いた。そして、玄関の扉の前につく。ちらり、とドアスコープを覗いて見えたのは、相棒とも呼べるほど仲のいい友人。薄いミルクティーベージュの髪は心地よい風に当たりさらさらとなびいている。彼のチャームポイントともとらえられる白銀の瞳は不安そうに、しかしまっすぐとこちらを見ていた。
「…エミさん!?」と驚いてしまう。だって彼は一昨日に戦争と甘いものが大好きな、それでいてこの個性豊かな幹部を取りまとめる黒い総統から南方の国の大学の教授として一週間ほど滞在して来いと言われていたはず。ついでにその国にある軍事基地の資料室の爆破も。
ガチャ!とドアを開けると目の前の紳士の皮をかぶった爆弾魔はにこりと微笑む。
「ゾムさん!あぁ、よかった。俺てっきりおらんかと…。」と胸をなでおろす友人を横目に俺は聞く。「エミさん、グルッペンから任務頼まれてたんとちゃうか?」というと彼は
「あぁ、その件なんやけどグルッペンさんがもう次の戦争のためのシナリオはできたから帰ってきていいゾ、って言われたんよ。」という。
「あぁ~、なるほどなぁ。ま、グルッペンならやりかねんわな。それに昨日心做しか、うきうきしてた気がするわぁ。」と俺は言う。
「それで今日は急遽休みになってしまったから、ゾムさんのお家を訪ねたんよ。でも、気ぃ悪くしてない?」と彼は聞いてきた。
「ん-、まエミさんやから許したるわ。」と返すと、エーミールは微笑んだ。そして、なにかふ、と思い出したのか急にガサゴソと自分のカバンを漁った。
「そうそう!ゾムさんに渡したいものがあったんよ!これ!」と彼が見せたのは淡い光を放つ緑色の石。
「ペリドット?」と俺は聞く。
「ええ!あちらの国で見つけたんです。ゾムさんの瞳とおんなじ色やったから、つい買ってしまったんよ。とても小さいものやけど、よかったらドッグタグにでもつけてほしいなぁって。」と彼は言う。
じっと石をみていると、光が乱反射してあたりに緑色の半影が広がり、神秘的だ。
「んふ。そうやったんか。ありがとな!じゃ、あとで兄さんにでも加工してもらうな!」と俺は小さな石をもらう。
「こちらこそ、喜んでもらえてよかったわぁ。」と返された。
そのあと、エーミールはトントンに呼び出されて帰っていった。
俺は、また明日。といい背中が見えなくなるまで見送った。
あしたにでも、兄さんに加工してもらうか。なくしたら困るしな。
最後まで見てくださってありがとうございます!