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奴隷天使#2
《1番》と書かれた扉に鍵を差し込み回すと、かちり、と音がした。
扉を開ける。その扉は、猛獣でも閉じ込めているのかと思うほど重くて頑丈だった。
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重い扉をかけると、扉の外見とは裏腹に、きれいな部屋だった。
「やあ。遅かったね、君。」
そう、声をかけられた方を向くと、想像の通りの『天使』がいた。
違う点があるとすれば、『天使の輪』がないことだろう。
「…ずいぶんと偉そうな天使だな ボソッ」
と思わずつぶやいてしまった。
「…そう。ごめんね、ボクのクセなんだ」
ふつうに謝ってきたということは、悪い奴?ではないんだろう。
「それでだけどね、ボクを選んでくれるよね?」
いきなりの謎の問いかけ。選ぶ、ということ、つまり白衣の男が言っていた『奴隷天使』を選ぶということなのだろう。
「えっと…まだ対面したばかりだし、何も知らないから、選んでと言われても…」
そういうと、天使は少し驚いた顔をしたが、
「そうか、まだ《|面接《ご挨拶》》がまだだったね。」
そういった途端、雰囲気が少し変わった気がした。
さっきの冷たい態度から、心を許してくれたような―
「はじめまして。ボクは《一番の天使》。全知全能とまではいかないけれど、ほとんどの知識は持っている賢い奴隷天使」
賢い奴隷天使―
…白衣の男が言っていたことは、『賢い奴隷天使』を選べ、だったっけ?
いやでも、奴隷なら賢いほうがいいのだろうか?そもそも奴隷ってなんの奴隷…?
そう、考え込んでいると
「何を怪訝そうな顔をしているの?まさかボクが挨拶もできないような天使だと思っていたの?」
と、少し怒ったような顔をした。
表情がころころ変わるなぁ―
さっきは無表情で、ちょっと笑顔になったと思ったら怒って。
「…不思議だなぁ」
「え?」
「なんでもない…」
「そう。」
その天使は落ち着いた表情で、不思議な問いかけをしてきた。
「じゃあ聞くけど、奴隷天使の働きを知ってる?」
そんなの自分が知るわけ無いだろうと、首を傾げた。
「…いや、しらない」
ボソッというと更に不思議な表情をされた。
「え、知らないの?じゃあ何で選ぶ『|役職《ポスト》』になったのかな。この役職につく人は、このことを知ってるはずなのに。キミ、意外と出来損ない?」
と、きれいな顔して煽られた(気がした。)
大体、好きで『役職』?とやらに選ばれたわけじゃないし、急にここに来たからここがどこかも何をしているのかもしらない。
だから、何もわからない。
「いや…自分は、なんでここに来たのかも役職?とやらに選ばれたのかもしらないし―」
「ふーん。まあ関係ないや。まあどっちにしろキミが知らなきゃいけないことだから。」
知らなきゃいけないこと…とはなんだろうか。
「知らなきゃいけないこと…?」
と、聞き返すと
「あっそう。本当に知らないんだ。」
呆れたような顔をされたが、結局は説明してくれた。
「奴隷天使とは、人間のために働いて、その犠牲によって世界に幸せをもたらす。そして、問題を解決する。それが奴隷天使。」
よくわからない。
人間のために働いて、世界に幸せをもたらす―?
「絶対わかってないよね」
「ばれた。」
天使とは、人の心でも読めるのだろうか?
「まあいいや。君たち人間の『|セカイ《ワールド》』は、たくさんの問題が起こっているでしょう?環境問題とかね」
なぜ、天使がそれを知っているかは疑問だが、
「う、うん」
「その問題を、解決するための奴隷。それが奴隷天使。」
「…わかった?」
とまぁご丁寧に説明してくれた。
つまりは、自分たちの世界の社会問題や環境問題を解決してくれる天使、それが奴隷天使っていうことなんだろう。
「多分わかった。説明してくれてありがとう」
と、何気なく言ったらとても驚いた顔をされた。
「天使にありがとうなんて言うなんて、キミ変わってるね。でも」
「〝絶対〟に解決できるわけではない。頼りすぎたら世界のバランスが崩れてしまう。」
と、少し念を押された。
言い方が少し威厳のあるような言い方に変わった―気がした。
「そう。わかった。」
少しの間沈黙が続いた。
「あとはね、『奴隷天使』の階級についてと、―」
と、色々説明された。
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「最後に、面接時間は『10時間』なの。だから、あと8時間。」
と言われたときに、はっとなった。
(やばい寝てたかも…)
と思ったときにはもう遅かった。
「キミ…さっき寝てたよね?」
バレてしまった。やばい天使を怒らせたらどうなるかわからない―
「まあいいや。説明を長々としていたボクが悪いもんね。でもあの説明を全てしないといけないから。」
キレられると思ったら、すんなり許してくれた。
「ごめんなさい…」
と口頭で謝っておいた。
というかもう2時間も経っていたのか―時間の流れって早いなぁ
と考え込んでいると、
「ま、説明はこれで終わり。キミが寝てたときの説明はキミの|『海馬』《キオク》に入れておいたから。」
と、言われたときに、確かに記憶に説明された事項が入っていた。
天使って不思議なこともできるんだなぁ―
と思っていたのもつかの間、
「あとは、質問だけ。」
「えっ、質問…?ってなに?」
一瞬阿呆になってしまった。
質問とは、何をすればいいのだろう?
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《質問》
▫ここはどこ?◀
▫奴隷天使を選んだあと、自分はどうなる?
▫キミは名前はないの?
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急に、目の前にバーが出てきた。
これは、見覚えがある―
「ゲームの…選択画面―?」
終わり方中途半端ですいません()
これからもよろしくお願いします!