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1 始まりは突然に・・・
なおきり「ポピーちゃーん♪今日も綺麗だねぇ」
カラフルピーチシェアハウスの植物担当、なおきりは、いつものように温室にこもっていた。
なおきり「あっ、庭の水やりもしないと・・・」
一通り世話を終えて、なおきりは外に出た。お気に入りのジョウロを手に、門のそばの花壇に向かった・・・のだが。
なおきり「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」
じゃぱぱ「なお兄・・・。いやほんと何してくれちゃってるんですか」
なおきり「すいません・・・放っておけなかったんですぅ・・・」
医務室のベッドに、ベージュ色の髪の少女が寝ていた。
さっき門のそばに倒れていたのだ。なおきりはその少女に驚いて、悲鳴をあげていたというわけだった。
るな「目を覚ましました!」
じゃぱぱ「よかった!君、名前は⁉︎」
?「私の・・・名前?『さくら』です」
さくらは医務室をくるくると見渡す。見たことがないものばかりなのか、ベッドを抜け出して部屋の色んなものを見て回っていた。
じゃぱぱ「さくらさん、君はどこから来たの?」
さくら「わからない、です。自分の名前と年齢以外の記憶が、全部すっ飛んじゃってて」
じゃぱぱ「記憶喪失か・・・。よかったら、ここに住む?」
さくら「いいの?」
じゃぱぱ「まぁしょうがないからね・・・。思い出すまでここにいていいぞ」
さくら「ありがとうございます!」
そうして、さくらはシェアハウスの一室を借りて過ごすようになった。
そして数日が経ち、じゃぱぱ達にとって一番忙しい時期がやってきた。
そう、『夏コラ』だ。
カラフルピーチのスタッフとして手伝っていたさくらも、例外なく仕事に追われた。
記憶を取り戻す暇などない。
えと「さくらちゃん!ごめん、それ持ってきてもらえる⁉︎」
さくら「あ、これ?いいよ!」
たっつん「さくら!すまんこっち手伝ってくれ〜!」
さくら「はい!ちょっと待っててください!」
さくらはさまざまなメンバーに呼ばれ、せわしなく働いた。
じゃぱぱ「さくらさん、ありがとう。休んできていいよ!」
さくら「あ、はい!わかりました!」
さくらはお気に入りの場所____図書館に行った。
さくら「疲れた〜」
さくらは椅子に座るなり、大きく伸びをして机に突っ伏した。
暇だったため何か読もうと思い、机にたまたま置いてあった本を手に取った。
さくら「宇宙図鑑かぁ。なんか運命的なものを感じるな」
ぺらり、と表紙をめくり、適当にページをペラペラと選んでいると、ある星座が目に止まった。
さくら「乙女座・・・?」
無意識にそのページを開き、詳しく読んでみる。
説明には特に気になることはない。気になったのは、写真の方だった。
さくら「ヒメユリ、ちゃん・・・」
不意にその名前が口から溢れ、涙が溢れた。
さくら「あ・・・ああああああ・・・。全部、思い出した・・・。何もかも、全部・・・っ!」
忘れていた記憶は、悲しく残酷で、残虐であった。
さくらのキャラデザ
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