公開中
1.不気味な町、不気味な人
「このブレスレットは、絶対に壊しちゃだめよ。」
そう、1年前に死んだ婆ちゃんから言われていた。結局、なんで壊しちゃだめなのかとかなんで俺に渡したのかとか、そういうのは聞けずに終わってしまった。
午後11時30分。やっと仕事が終わって帰っている途中だった。
「ねえ、お兄さん。」
黒い服を着た不気味な男にとても強い力で腕を掴まれた。
「なっ!やめろっ!!」
その不気味な手を振り払った瞬間、パンっっとブレスレットがちぎれてしまった。
「あ…。」
不気味な男は二ヤりと笑った。
「ヒヒ。待ってるね。**|宮脇颯人《みやわきはやと》**くん。」
気づけばその男はいなくなっていた。
「なんなんだよ、いったい…。しかも待ってるって…。何を?」
壊れたブレスレットを拾って家に帰ろうと思った瞬間、真夏のはずなのに寒気が襲った。鳥肌が止まらない。
「…は?」
--- 今、俺がいるのは____ ---
--- 不気味な人形が並ぶ気持ちが悪い町だった。 ---
一部の人形には糸のようなものがついていた。
「なんだこれ?」
糸に触ってみようとしたその時。
「**触るなっ!!!!!!!!**」
「え?」
そこには白い白衣を着た人が険しい顔で立っていた。
「ここは危ない!まずついてこい!」
薄暗い地下の実験室のような場所につれていかれた。
「あのー…。いったいここは…?」
「俺は|斎藤涼雅《さいとうりょうが》だ。お前は?」
完全スルーだった。
「あ、えっと宮脇颯人です…。」
「夜はむやみに外に出るな。お前、今生きて帰ってこれただけ奇跡だからな?」
「人形がたくさん置いてあったんですけど、あれは…?」
「全部人間だよ。《《元々は》》、な。」
「元々?あの、本当にいったいここは?」
「俺は研究に戻れ。お前は寝ろ。」
何故かこの町の正体は教えてくれなかった。