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ミッションへ
もくもくした雲の上。周りには今あったばかりの、これから戦友となる人々。
そして、目の前には絵に描いたかのようなTHE・仙人っぽいひとがいる。
仙人(?)がいう。
「ミッションのおおまかな内容はそれぞれに仕向けた天使から聞いているな。それぞれ与えられた色があるはずじゃ。」
持っていた杖でなっちゃんを指す。
「お前は赤」
隣りにいたひびきっちは緑。
りんりんは紫。
叶人は橙。
そして、私は青。
たしかあのおっさんに刺さっていたのは紫だったはず。
ということは、おっさんを刺したあとりんりんのもとに向かったのか…少しりんりんが可哀想になる。
「この短剣は魔力がこもっている、という内容は聞いているな。すべての短剣に共通しているのは、長さが伸縮自在なこと、異空間へと繋がる事ができることじゃ。」
あれ?ひとりでに動いて人を刺しまわるのは?
「ひとりでに動くという魔力は、誰かを殺すと同時に無くなるようになっている。」
便利なような不便なような。
というか、共通しているとわざわざ言ったということは、共通していないこともあるというのか。
「それぞれの短剣には|各々《おのおの》の能力がある。…が、それは剣の持ち主によって変わる。」
つまり、今知ることはできないんだな。
さっきから心の声が仙人に聞こえているような気がするのはなんでなんだ?
「一応これでも仙人じゃから、心は読もうと思えば読める。」
怖。
「短剣の説明はこれぐらいじゃ。何か質問はないか?ないな。ではミッションの説明を行う。」
「ミッションは、短剣をすべて回収することじゃ。残っている色はピンク、黄色、黄緑、水色、茶色じゃ。これから回収してもらうこの5つは、どれもまだひとりでに動く魔力はこもったままじゃから、気をつけること。」
んなもん気をつけようがあるかいな。
「そして、今から新たに転生してもらう『外身』を紹介しよう。まずは波橋月雫。」
は、ハイぃ!
「お前は|新田澪華《にったみおか》、中1じゃ。」
同じノリでなっちゃんは|波根遥河《はねはるか》・中2。
ひびきっちは|藤本紡久《ふじもとつむぐ》・高1。
りんりんは|木下雫《きのしたしずく》・中3。
叶人は|長谷川大希《はせがわだいき》・小6だった。
みんな年齢設定は同じなようで安心した。学校とかも困らなさそうだ。
「外身はわかったな?この5人は超田舎の小中高一貫校に通っている。家は澪華、雫、大希が隣同士で、道路を挟んだ向かい側に紡久と遥河が暮らしていることになっている。親の顔や家族構成、人間関係等々は後で天使にきいてくれ。」
「そして重要なのはここからじゃ。このミッションを達成したとき…」
全員が息をゴクリと飲む。
バタリと仙人が倒れる。
背中に刺さっていたのは、茶色の短剣だった。
いや、天界まで短剣は行くんかい。