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milkcarton
小学校の頃やっていた、懐かしいものをテーマに書きました。
なんか書いている途中によく分からなくなってきてしまったので、おかしな部分もあるかと思いますが、よろしくお願いします。
お昼時、時刻は12頃。
給食の時間になると、お腹を空かせた子ども達は早く早くと給食当番に配膳を急かしたり、今日の給食のレーズンパン最悪ーなどと文句を垂れたり、色々な景色が見える。
普通の少年、ユウマは机の上に置かれた牛乳パックをじっと見つめる。ユウマたちの間で流行っている勝負があって、それは、牛乳パックの下の面に書かれた数字が大きい方が勝ち、というルール。
「おーい、ユウマ!今日こそ勝ってみろよー!」フミヤが腕を組んでニヤリ。
「えー絶対今日も負ける気がするてー!」とユウマは答える。
教室の一角では、タケシ、カズマ、リョウ、そして他の数人の友達も集まっている。数字勝負はちょっとしたイベントになっていた。
「俺今回絶対一番数字大きい自信あるわ。」タケシが得意げに言う。
「ガチで?」
「今回俺弱いんよなー。いやー」
「でもユウマには勝てるっしょリョウ」
「それはそうやなw」
「なー俺最下位固定されてるのなんなん!今回は勝てるかもしれないじゃん」
「いやー今回も俺が勝つんで」
「いや絶対俺!」
「あ、ユウト来た!おら全員数字見せろ」
「ちょっとまてて!」
「はよー!」
「今回の数字俺も弱いかも…」
「全員揃ったか?いくぞ」
『せーの!』
数字を見せ合う__すると案の定、ユウマは|0《・》だった。
「うわー、また0ー!!」ユウマは大きな声を出して悔しがる。
「0って……ww弱すぎ!!」文が茶化す。
「なんかお前昨日もゼロだったくね?wwよっわww」
「え、まじかユウマww」
「運なさすぎるてww」
友達は皆そろって大笑いをしていた。
「うっせー!次は100出すしー」
「いや100はでなくね?」
「ww」
こんな風に、ユウマはくだらない日々を過ごしていた。
次の日も、この勝負は続く。
「おら今日も勝負しようぜー!」
『せーの!』
そして、また、ユウマの牛乳パックの数字は0と印刷されていた。
全員、しばし沈黙。
そのあと、どっと爆笑が響き渡る。
「まじかよ、またかよ!運悪すぎるてーw」
「wwよっわww」
「ユウマえぐすぎwww」
「えww0固定wwさすがに可哀想wwどんまいw」
その時は、ユウマは友達の輪の中心に入っているようで、うれしかった。
でも、それはあることをきっかけに変わってしまった。
「あ、皆おはよう!」
いつものように朝、下駄箱で友達に挨拶をする。
「あ、0じゃん!!wおはよーw」
「あー悪運マン!!w」
「え?…なにそれ」
「お前のあだ名!」
「俺が付けたww」
「てか悪運がうつるてー!」
「確かにwwこっち来んな!!ww」
それは確かに、集団でユウマを馬鹿にしているような。いやしている言葉だった。その心無い言葉達にユウマの小さい心は少しづつひび割れていく。
「気に入っただろ?w」
「えっ…」
「……うん。気に入ったよ!」
僕は咄嗟に返事をしてしまい。本当は嫌なんて言い出せなかった。
そしてそれは、エスカレートしていって無視をされたり、消毒液をかけられたり。あろうことか、悪運の原因はユウマが駄菓子屋からお菓子を盗んだからとか、ありもしない出来事を作られてしまった。
「あー泥棒!」
「こっちこないでよユウマー」
「ww悪運マンだーwww」
「ユウマと隣の席とか最悪…。」
(どうしてこんなことに。くそ、なんで僕の数字だけずっと変わらないんだ…。)
(もう嫌だ…。数字|変わって《・・・・》くれよ…。)
ユウマは段々と、小学生の無垢な悪意に光を奪われていった。
すると、転機が訪れる。いつものように給食の時間に勝負をしている時。
『せーの!』
「…え。」
「ユウマ100じゃん…!」
「え?」
まさか、と思い下の面を見ると、確かに100と印刷されているのが見えた。
「うえーっすげー!」
「ユウマ凄いやん!」
「悪運脱出だな!」
「まじか俺が最下位!?完全に油断してたわーーー!」
「どんまいww」
「……!!!!よっしゃーー!」
ユウマはこれであんな風に言われなくなるとウキウキしていた。大きな笑顔の表情を浮かべていた。あの日々がようやく終わるんだと。
しかし、次第に、ユウマは友達の表情の微妙な変化に気づくようになる。
声のトーンがわずかに低い、返事の間が長い――違和感を胸に、ユウマは教室を後にする。
それは、タケシはタケシで、文は文なんだけど、何かが違うように感じた。
ふと友達の表情の変化にも気づき始めた。文の笑顔はいつもよりぎこちなく、タケシの声にはわずかな冷たさが混じっている。
(…なんか、みんな変だな…。)心の中でつぶやく。その時、ユウマは変な冷や汗と謎の悪寒に襲われた。
やっぱり、放課後も違和感が消えない。
足音や声のテンポが少しずれている。カズマが話しかけても、返事が間に合わず、視線はどこか遠くを見ていた。
「おい、どうしたんだよ、みんな……」ユウマは恐る恐る問いかける。
すると、角を曲がった瞬間、並んで歩く友達の後ろに、ユウマと瓜二つの影が立っていた。
「うわっ、な……なんだこれ!?」
心臓が跳ね、全身が震える。風がざわめき、街灯の影が大きく揺れる。
そこには全く顔も体型も同じ、もう1人のユウマがいた__。
そのドッペルゲンガーは無表情で、ユウマの動きを真似しているかのようにこちらを見つめていた。
ユウマは怖くなって、集団を抜けて夢中で走り出す。足音が裏返り、心臓の鼓動が耳に響く。振り返ると、友達の姿がどんどんおかしくなっていく。
「や、やばい……なんだこれ……!」息を荒くしながら、ユウマは路地を駆け抜ける。
街灯の明かりに照らされる影の中で、誰もが同じ動きを繰り返すように見え、現実感が揺らぐ。足元の影が自分の足とずれ、風が耳元でささやくように吹く。
「神様……助けて……!」涙が頬を伝い、ユウマは神社の境内へ飛び込んだ。鳥居をくぐると、冷たい夜風が頬を撫でる。
手を合わせ、震える声で祈る。
「神様でもなんでもいいから助けて…。怖いよ…。」
しばらく静寂が続く。
すると背後で大きな気配がした。
背筋に今まで感じたことの無い悪寒が走った。どくん、どくん、と周りの音が何も無いから、心臓の音がよく聞こえてうるさい。
僕は、恐る恐る振り返ると__そこには__。
神が微笑んで立っていた。
「いやあ、すまんすまん」神は軽く頭を下げる。
「いやがちですまんのう。申し訳ない。許してちょ☆」
「…………え?」
「………………………ん?」
ユウマは拍子抜けする。
神は手に持っている牛乳パックの下の面を見せる。
「君たちがなんか勝負で使っていた数字、実は世界線を表していたんじゃよ。この世界線と君の世界線が交わってしまったようでのう。」
ユウマは目を見開く。
「数字で……世界線?」
「そうなんじゃよー。この世界線の数字は変わって欲しいと願えば簡単に変えられてしまってねぇ。他の世界線に移動できる。しかし、ほかの世界線同士が交わるのは世界線の混乱に繋がってて…。まあとにかくやばいんじゃよ。」
「は、はあ……なるほど…?。」
「それで世界線の数字をだれも気にしないであろう牛乳パックの面の下にしたのじゃけれど…まーた見つかって失敗じゃな☆」
「えぇ…てかなんか軽くない!?」
ユウマはしばらく呆然と立ち尽くす。
「…マジスイマセン。」
「僕結構大変な目にあったんですけど…。」
「ゴメンネ…。」
神はごほんと咳払いをして、
「ま、まあとにかく元の世界に戻すから安心しなさい。」
「えっ、元に戻れるの!!」
「戻れるじゃよ。ほいっ、今回はまじすまんかった。」
「えっ」
「あっあと記憶は消しとくじゃよ」
「急s」
すると、視界が眩しく光って、チカチカと目が眩んだ。
気づくと、帰り道。友達の笑顔が戻り、昨日までの違和感は消えていた。安堵の息を吐くユウマ。
(戻ったのか…。)
「戻ってよかったーはぁぁ。」
安心して、思っていることが口に出る。
「へ?」
「戻ったって何?」
「どうしたユウマ」
「さっきっからなんかぼーっとしてるよなユウマ」
「え?」
…
なんだっけ。『戻った』って…。
…まあなんでもいっか!
「うんん、なんでもない!」
そうして、僕は友達の輪に入って行った。
ストーリー重視なので、言葉遣いとか、自分の好きな言い回しとかに出来ませんでした。
まあでも、小学生が主人公なのでこの位の語彙と言い回しで大丈夫…。と思うことにしときます。
ご閲覧していただいた方はありがとうごさいました。