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絵師になりたい〚1〛
--- 第一章 『なりたい』 ---
僕は、物心ついたときから絵を描いていた。
姉の影響だったのかもしれない。
でも描いているときには楽しくて、他の人が褒めてくれることが嬉しくて、絵が本当に大好きだった。
でも、大きくなるにつれて、もっと上手な人が沢山いた。
小学校3年生くらいのころ[ネット]にはもっと上手い人がたくさんいることを知った。
僕なんか足元なんかにも及ばない。
最初は頑張ってた。
絵が上手い人は皆、練習を沢山していたからだと言っていた。
『努力は報われる』
そう信じてずっと絵を描いていた。
でも、だめだった。
どんなに努力しても、練習しても一向にうまくなれない。
自分の絵が嫌いになった。
みんなに見せると
「上手だ」
そう言ってくれるけど、それも本心では無いかもしれない。
そう疑ってしまう。
どんどん疑心暗鬼になって。絵を描けなくなった。
描こうとしても途中で諦める。
鉛筆を持っても気分がのらず、すぐに他のことをやった。
そして、小学校6年生になった。
絵を描かなくなってから僕はすることが無くなった。
だから本を読んだり昼寝をしたり、友だちと外で走り回ったりしていた。
でもすぐに飽きた。
本を読むのは楽しいが、終わると同時にやることがなくなるのが嫌だった。
昼寝をしようとしても眠れない。
友だちと外で遊ぶと汗で気持ちが悪くなった。
でも、絵は描きたくなかった。
だから本を沢山読んで、無理やり目を瞑って昼寝をして、汗がひどくても我慢して外で遊んで……
--- 第2章 甲澤勉我のユーザーネーム ---
ある日、学校でタブレット端末を配られた。
これからはこういったものも学習に活用して行くらしい。
そして色々いじっているうちにあるサイトに辿り着いた。
「プログラミング‥?」
あまり知らないけどやってみよう。
そう思い、物を動かすプログラムをつくった。
(なんだ、案外簡単じゃないか)
そう思い、スラスラと解いていくすると近くの奴がいきなり、
「すごいね。プログラミング得意なの!?」
と言ってきた。確かこいつは|甲澤 勉我《こうさわ べんが》
勉強がまあまあできる奴で、習い事でスポーツもやっている。
そのうえ生活態度も良い方の男子だ。
でも一部の人間とは凄く楽しそうに馬鹿騒ぎしてる。
「得意っていうか、考えれば簡単に解けるやつだろ。楽勝だよ」
そう答えるとキョトンとした目で言われた。
「僕がそれできるようになったの、プログラミング教室通い始めてからだよ?
もしかして何処かの教室に通ってたりするの?」
と聞かれた。
習い事には行かない。
昔はスイミングスクールに通っていた。
でもどうせすぐに出来てしまっていた。
大会に出ないかと聞かれるのが面倒だったからやめた。
それ以来習い事なんてやっていない。
「行ってないよ。習い事なんて面倒だろ。」
そう言ったら驚かれた。
そしてそいつは俺にプログラミングサイトのユーザーネームを教えてくれた。
「良ければ僕のプログラムしたゲームで遊んでみてほしいんだ。感想を聞いてみたいからね。」
そういって話していると授業が始まる時間になり、そいつは席に戻っていった。
まだ先生も来ていないのに真面目だな。
そう思ってから2分後に先生が来て、今日も退屈な授業が、退屈な一日が始まった。
--- 第3章 『やってみたよ』 ---
その夜、タブレットを使い甲澤のプログラムしたゲームをやっていた。
耐久型ゲームが多く、暇つぶしは出来た。
ただ、ゲームで動かすキャラがやばい。
適当なフリー素材を使っている雑なやつだ。
しかもゲームは戦闘系なのにキャラクターはのほほんとした画像だ。
「あいつ、センスおかしい。」
次の日、
「あのさ、僕がつくったゲームどうだったかな?」と聞いてきた。正直言って暇つぶしどころではなく結構楽しかったし難しかった。ただ、
「楽しかった。でもキャラクターの絵がな…」
そこまで言ったら甲澤も察したらしい。
「あ〜まあそうなんだけどねw僕絵がゆるいのしか描けないから結構マシなフリー素材選んだけどやっぱね〜」と言った。
自覚はあったのか。
すると後ろから
「じゃあお前が描けば!?」と誰かの声が聞こえた。
声がデカい。耳がぁ…
「うるさいよ八畑、もうちょっと静かに喋ったら?」
と甲澤が注意した。うん。ほんとにうるさい。同意。
今のクソデカ大音量ボイスの持ち主は|八畑 宗樂《はちばた そうら》
身長クラスで一番が低くて、その理由が運動しすぎて筋肉がやばすぎる代わりに身長が伸びないらしい。
勉強は塾に行ってるからまあできる方らしい。
運動は結構すごいけど身長のせいで色々不利なやつだ。
「そいつ、絵がすっごいうまかった!昔イラスト描いてもらったし」
正直言うとやめてほしい。もう絵は描きたくない。でも‥
少しはやってみてもいいのかな…
でも今まで絵からさんざん逃げてきてて今回の甲澤のだって絵をやめたときの暇を潰すもので…ッ
「無言ならYESってことでおk?w」
あ、ちょ、
「勝手に決めるなよ‥」
「え〜でも描いてみたさそうにしてんじゃんw良いから描いてみなよ〜。甲澤も喜ぶよ〜。ゲームがもっと楽しくなるよ〜」
そう言われるとちょっとやってみたい。遊ばせてもらった恩もあるし、でもやっぱり…
「あの、僕からもお願いしちゃだめ?」と甲澤が言った
うう、
「仕方ないな。でも、結構時間かかr「はい決定!決まりぃ!!」
おい食い気味だな。
まあ、ちょっとずつでもがんばるか…