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ローズ
ローズ
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彼女は背が高く、頭もいい。そして、名前の通りの美しさを持っている。ブライユ王子とは「ぜっそう」している。彼が「絶交」を言い間違えたのである。あくまで親族が決めた婚約者だから絶交しようが仲良くしようがあまり関係ない。
だが、誕生日が一緒だったり、彼は覚えていないかもしれないが小さい頃遊んだことがあったりする。好きではないけど、王子が甘えてくると冷たい顔をしながらも内心ちょっとだけ嬉しい。
しかし、ローズの家系では「利用できるものはとことん利用する」という家訓がある。
つまり、王子から金や宝石を搾り取れ、ということだ。
高い場所にある王城の自分の部屋から外を見ると、海が荒れていた。
「大丈夫かしら、、、?」
思わず呟いてしまいあっ、と口を抑える。
家訓に反した発言などしてこの城にいさせてもらえるわけがない。王の娘とはいえ、追い出される。
誰も聞いていないか周りを見回し、息をつく。
それと同時に、部屋の戸を叩く音が聞こえた。
聞かれてしまったか、と不安になりながら「はい」と戸を開く。
そこには一歳しか違わないのに自分と比べて、とても背の小さな妹がいた。
「お姉様、海が荒れております。本日はお義兄様が船で外へ出る予定の日ではございませんでしたか?」
「そ、そうよ。まあ、彼が死ねば遺産の半分ほどは|私《わたくし》のもとへ入ってくるのだから、心配しなくてもいいでしょう」
そう言うと、妹のマリアは苦しみと、悲しみと、哀れみの混ざったような顔をした。
まさか、聞かれていた?
そう思ったが、平静を保ち
「まあ、私たちにはどうにもできないことよ。さあ、自分の部屋に戻りなさい」
「はい。…お姉様、どうか無理はなさらないでください。困ったときは私も力になりますから」
嘘だ。どうせ最後は|私《わたし》を裏切るんだ。そんな思いを抱きながら、ローズは無言で戸を閉めた。やけにバタンという音が大きく響いた。
その数十分後、外から「ロージーいいいい!開けてぇぇぇぇぇ」と聞こえた。
窓から下を見下ろすと、あんなに遠い海からどうやってここまで来たのか、びしょ濡れのブライユ王子がいた。ローズは「うるせぇ!帰れぇぇぇ!」と叫んだ。すると、彼は何かキラリと光るものを投げてきた。彼女は器用に片手でキャッチする。それは細かい彫刻が光を乱反射し、静かに輝いているコインだった。
ひと目で高価なものとわかった。だが、彼女は彼を城に上げようとは思わなかった。それは、家訓が染み付いているからではない。彼の身を心配したのと、これ以上関わると自制心を失うかもしれないという恐怖があったからだ。
窓を閉め、コインを見つめる。冷たい雨に打たれながらも、必死に握りしめた彼の温度がまだ残っているそれを見ていると、吸い込まれそうだった。
彼女は意を決し、天蓋のついたベッドのヘッドボードに置いてある彼女にとって大事なものや、気持ちを閉じ込めた小箱を手に取る。その中に、そっとコインを落とした。涙も小箱に入ってしまった。
彼から見えないように窓の外を見る。彼はまだ待っていた。申し訳ないと思うが、ぐっと我慢する。
三十分ほどしてやっと彼は帰った。その後ろ姿が惨めで、哀れに感じるのはびしょ濡れだからではないだろう。
布団に潜り、枕に顔を押し付けて嗚咽を漏らす。枕が湿っても喉が枯れてもずっと。
何分経っただろうか。目は真っ赤に腫れ、声はかすれている。
そして、気づけばあのコインを小箱から取り出して見てしまう。
こんなものがあるからいけないんだ。そう思った彼女は妹の部屋へ行った。妹に無言でコインを渡すと、マリアはローズの真っ赤な目とコインを見比べ「本当に私がもらってもいいのですか?」と言った。ローズは頷き、逃げるように自分の部屋へ戻った。
こうしてローズの手からマリアの手へ、コインは移動した。
唐突に長えし相変わらずネガティブな話になったな、、、
長いと読む気失せる、、、
次回は短めにならん予定やしネガティブというか人間の闇を書きまくる予定だからなあ、、、
どこにおふざけ要素を入れるかな、、、
…! サイコパスにしよう!