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隣の学校の元ヤンに恋をする2
Hitokage
今回お相手いません。友人編。
言い訳 更新遅くなりすみません!少し学業が忙しく、私の最も忌み嫌い、学生全員忌み嫌うアレ
そう中間テストです。あんなやつの対策のためアップが遅くなり、ごめんなさい!
正門の方へ行って、そっと門をくぐり抜ける。この学校は土足なので、履き替えの必要がなく楽だった階段で3階にある教室へと向かう。階段の踊り場のところに立ち、今一度身だしなみを確認する。よし、大丈夫。ガラガラと1年Aと手描きで書かれた教室の前の扉を開ける。まだ誰もいないカーテンから入る朝日で輝いている教室。これくらい明るいのなら電気をつける必要もないだろう。私の席へ向かう前にロッカーから今日の科目の教科書、ノートを取り出す。右から三列目後ろから二番目。席に座り、スクールバックを横にかけた後、その中から本を取り出す。先日発売されたミステリ作家の本。時計を見る。クラスメイトが来始めるのは7時50分ごろ。それまでには3章まで読み進みたい。栞を取り、目の前の活字を目で追う。
7時52分。ちらほらと顔も知らないクラスメイトが来る。「おはよう。衣鶴」後ろの席から私に声をかけてきたのは唯一の友達。湖夏だ。今日は、肩までの髪を小さく一括りにしている。「…似合ってるね。その髪。」「衣鶴変なもの食べた?」急に言われる。「なんで?」「いつもは私の髪なんか褒めないで、『うん、おはよう』って言ってるじゃん。」『明日は大雪では!?』両手を上に上げ、ガビーンという効果音がつきそうな様子である。「フッ」「あー、いま鼻で笑ったなぁー」「なんのこと?」堪えきれない笑いを隠さず言う。「…衣鶴が笑ってるの見たの今月、二回目だ。明日は槍がふ「んなわけないでしょ。まあ、あの側溝に財布を落とした時は大笑いしたけど。」
湖夏との出会いは2年前、私が中2の夏だ。あの日、中学校は午前授業で、いつもより早く帰れると少しそわそわしていた。バス停まで急いでいた。日がカンカンに照っており、入道雲が奥の方に聳え立っている。まるでアニメのようだ。次のバスは56分に来る。後一時間ほどだ。どうしよう、この一時間は。学校に戻って、図書室に行く?それとも近くの本屋に入る?それとも
「あーすいませんそこのお姉さーん。ちょっと手伝ってもらってもいいですかー?」考えに入り込んでくるように間の抜けた女の声が聞こえた。まるで一昔前のナンパのようで、無視を決め込んでいた。「おねーさん、おーいおねーさん?」まだ声が聞こえる。気にしない。気にしない。あれは私を呼んでるんじゃない。無視を決め込んでいたところ、右足首に生暖かな感触「ぁえ」恐る恐る下を見ると、目をカッと見開き、歯を食いしばった顔をした制服姿の女が、私の足首を逃すまじとガッチリホールドしている。その時、私の生態が凄まじい金切り声をあげたのは言わずもがなである。
「ごめんね、足首掴んじゃったりして。でも、誰も手伝ってくれなかったから、強行突破で…まさかあんな悲鳴あげられるとは思ってなくて。」制服姿の女、もとい湖夏だ。「で、何があったの?」久しぶりに大きな声を出したせいだ。声帯が悲鳴をあげている。少し掠れた声で話しかける。「学校の帰りに、ノートを買いにいこうと思って、財布を出したの。そしたら、クラクションが聞こえて驚いちゃって、お財布側溝の中に落としちゃって…」「ンフッ」「それで、頑張って探して「あははははははは!」「何が面白いの〜!」「だ、だって」ヒィという音が付きそうなほど笑っていた。湖夏には申し訳ないが、側溝に財布を落としたなんて漫画のようである。「ンフフフフヒィー」ひとしきり笑ったところで、少女が睨みつける。「そんな笑わないでよぉ」「ごめんね。フフッ」「そんな笑うなら手伝ってよ」「いいよ」「ハッ?」あっさり返事がもらえるとは思っていなかったのだろう。「いいの?」少女の目がうっすら潤んでいる。よく見ると、少女の手は土で汚れており、顔も少し汚れていた。大事な財布だったのだろうなと思いを寄せ、つい憐鱗を垂れてしまった。幸い六限が体育だったこともあり、ジャージを着ているため、汚れても後一週間は体育がないため洗っちゃえばいいだけだ。「じゃあ早く探そう。」「アイアイサー!」靴下を脱いで裸足になり、恐る恐る側溝に入り込む。泥を踏んだ。グチュりと冷たくまた、足の爪の間に入った気持ちの悪い感触がする。この感触は小学校の田植え以来ないと思っていた。側溝は結構深く私の膝蓋。太ももの少し下あたりにまである。「探すか。」バスは一時間に一回なので早めに終わらせたい。「どんな財布?」「青いがま口みたいなやつ。お金はそんなに入ってない。」「わかった。」下に屈んで、手を突っ込み犬のように泥を掻き分ける。
「ねね、名前は?」「水上衣鶴。」「どういう字?」「衣食住の衣に、鳥の鶴。」「私は小野上湖夏。湖に夏で湖夏。」小野上、どこかで聞いたことがあるような気がする。「衣鶴はどこの学校なの?」この子距離感近いな。まあいいけど。「常葉中、ここから近いよ。」「えー私も私も常葉中!え、何年生?」「2年」「えええーおんなじだ!何組?」「3組」「………え?」「何?」「わ、たしも3組。」「は?」嘘だろ。まさか、ついさっき足首掴まれて、いま財布探すの手伝っているこの子と同じクラス?「そういえば、いたな。水上って名字。」「私も小野上ってどこかで聞いた気がするなぁって」「マジか。」「って財布探さなきゃじゃん。」すっかり脱線していた。
バスまで後20分。まあ、もう逃してもいいか。私は今起こったことの衝撃が強すぎて、バスのことなんて忘れていた。そこから約15分。「見つかんないね」「おっかしいなぁ」「一回休憩しよっか。」うんせと側溝から上が理、地べたに座る。当たり前だけどものすごく暑い。灼熱の太陽はまだ照らし続けており、側溝の方が少し涼しかった。「どこなんだろうね。財布」先程より汚れの増えた顔を顰めながら湖夏がいう。ここまで探してないということは。私には思い当たる節が一つあった。「うーん…もしかしてさ」と言いながら側溝に躊躇いなくジャンプして入る。先程掘ったところとは違うところを慎重に掘ってみる。ツンと爪先が柔らかいものに触れる。服が汚れるのも構わずそこを一心不乱に掘る。「!…あった」「え!」湖夏も躊躇いなく入ってくる。私の手に握られている少し汚れがあるコバルトブルーと白のがま口。