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【第漆話】燃ゆる女とドン引く男
〜天舞 side〜
__ズル…ズル……__
どすんっ!
天舞「んぁっ!?……ん?俺寝てた…?」
??「あら、起きちゃった?」
天舞「あ?誰だあんた?」
目を覚ますと、知らない女妖怪が俺の上に跨っていた。
雰囲気がかなり妖艶で、普通の男性ならイチコロなのだろう。
しかし、女に乗られて体が仰向けなせいでそれくらいしかわからない。
……それよりも気になることがあった。
天舞「……なんかここ…暑くね…?」
??「ボク、アタシの足をご覧なさいな。」
天舞「ん〜?……ってうわっ!?」
*バッ!!*
そこには、轟々と燃え盛る炎に包まれた車輪があった。
俺は思わず後ろに飛び退いて服についている火を消した。
それをみた女妖怪…`火車`が楽しそうに手を叩いて笑う。
**天舞「アッツ!?おめぇ頭イカれてんのか!!?」**
??「あははは!面白い反応ありがとうねぇ、ボク♡」
**天舞「何笑ってんだよこのアタオカ女!!」**
??「やぁねぇ、レディにそんな口聞くもんじゃないのよ?」
天舞「は、はぁ…?お前さっきから何言ってんだ?気持ち悪……」
??「アタシの名前は**|煉華《れんか》**。よろしくね♡」
天舞「聞いてねぇよ……」
煉華「ほら、レディが名乗ったのよ?あなたも名乗りなさいな。」
天舞「………天舞…」
煉華「あら!いい名前じゃないの〜♡」
俺がドン引きしている間も、煉華は笑っていた。
笑えば笑うほど車輪の炎が勢いを増す。
暫くその謎の時間が過ぎた後、煉華は不思議そうにこちらを見る。
煉華「……あら?変ねぇ…そんなにアタシを見てオカしくならないなんて……」
天舞「はぁ?なんでお前見ておかしくならなきゃいけないんだよ?」
煉華「ほら、アタシって見ての通り妖艶で美しいじゃない?」
天舞(自分で言うなよ…)
煉華「だからアタシを見た男の人は、み〜んな興奮しちゃうのよ?」
「……でも天舞くんはそうならない…なんでなの?」
天舞「いや俺普通に清楚派だし…あんたはタイプじゃない。むしろ苦手。」
煉華「アタシがタイプじゃないの?センスないわね〜。」
**天舞「お前がおかしいだけだろ!」**
煉華「『お前』だなんて口が悪いわね〜。やっぱりナンセンスね♡」
**天舞「はぁ!!?」**
煉華「……あ!ナンセンスといえば、あなたのお仲間さんもカッコ悪いわよね〜♡」
突然のその発言に、俺は口を閉じる。
天舞「…………あ?」
煉華「だって本当のことでしょ?みんなビクビクしちゃって馬鹿みたいなのよ!」
「竜の子なんて元々小さい体をもっと縮めちゃって!もう可笑しくって!」
天舞「………………」
煉華「酒呑童子だっけ?あの子も冥嶽さんに逆らってボロボロにされちゃって!」
「そうそう!あの九尾くんもダサいわよね!落ちた勢いで捻挫してるのよ〜?」
**「ほんと、みんな揃いも揃ってダサいわよね〜♡」**
天舞「………………………」
煉華「天舞くんもあの九尾くんのこと嫌いなんでしょ?気が合うじゃな〜い!」
「冥嶽さんにあなたを殺せって言われてるけど…__特別に逃がしてあげよっか?__」
__天舞「………っせぇな……」__
煉華「え?今なにか言った
***ドゴッ!!***
**煉華「ぎゃっ!!?」**
天舞「…ゴチャゴチャうるせぇって言ってんだよ。」
煉華「………は?」
天舞「確かに俺はいつもあのクソ狐に喧嘩ふっかけてるよ。でもな……」
「あいつを悪く言っていいのは俺だけなんだよ。」
「何も知らねぇような馬の骨にあいつらを悪く言う権利はない。」
***「…………とっとと失せろやアバズレ女。」***
煉華「……あんた、アタシの顔を殴った覚悟はできてるわけ?」
***「………ぶっ殺してやるわクソガキが。」***
***ボワッッ!!!***
足元の草原が一気に燃え上がる。
煉華の髪が逆立ち、異様な空気を纏っている。
天舞「やってみろよ。悪いけど、俺は絶対に負けねぇ。大天狗様ナメんなよ?」
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第漆話 〜完〜
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