公開中
魔族メイド in 禁忌の館編!! 〜魔王城からの脱出〜
自己紹介しかしてないからな〜水廻。
「よ〜し、魔王様に、使えてみせる!!」
そう言ったメイド仲間の一人が、このゴミ臭い部屋を掃除し始める。
魔王?確かにわたし達は魔族としてメイドやってるけど、わたしは嫌だな〜、そんな闇しか無い魔王に使えるなんて…!!
わたしが使えたいのは、神秘的な神の世界!!そこにいる貴族に。
まあ、前半は本当、後半は嘘なんだけど。
今は魔王城との契約があって、ここから離れられないんだけど、クビになったりしたら、自由になれるんだろうな。
そう思うと、ワクワクしてきた。
でも、魔王城の皆は傲慢で、召使いなんて目に入れていない。
気にしてくれることなんて無いだろう。
魔王に直接関わる事のできるメイドは、上級の貴族のメイドか、色々と腕の良い者だけだ。
はぁ〜……簡単に城から脱出できる方法は、無いのかなぁ…。
わたしは、呆れて掃除を始めた。
わたしの名前は|冥雷《メイラ》。
他の仲間達は元は貴族の召使いだったけど、わたしはその前からここに使えてた。
先輩扱いされて面倒だと思ったから、そのことは他のメイドには話してない。
それに、メイドこそ傲慢だし。
どうやら貴族達に贅沢させてもらっていたらしい。
だからこの城にはもう飽きて、魔王に使えたら贅沢できるかな、そんな希望だけで頑張ってる。
この城、とてもじゃないけど食事が少なくて、他国からの支援も足りていないらしい。
少ない食事のほとんどを魔王が食べているのなら、いずれこの城だけじゃなく、国まで滅びるだろう。
「ねぇっ!冥雷!この紋章の解き方、先輩から教わったんだ!」
無駄なことを。
わたしはそんな風に思った。
「『力の強い者ならば、その方法を知っているだろう。』って、冥雷なら知ってるよね?」
力の強い者…。
自分で言いたく無いが、確かにわたしは、魔族専門魔術師学院では首席という実績をもっている。
でも、本当にそんなことで簡単に解けるの…?
まあ、試してみるのも暇つぶしとして良い。
淡い希望とともに、わたしは、休憩時になると試してみることに。
おそらく発音的に「契約解除《闇》」の呪文。
しばらく繰り返して唱えてると、腕の紋章がぐにゃりと歪み始め、消えていった。
「凄い!!凄い!!解けてる!!」
他のメイド達は、興奮して目を光らせている。
身体が、ふっと軽くなったような気がした。
魔王城に使え始める時、そういえば魔王は
「念の為、お前の力の半分は縛ろう」
みたいなことを言っていたような。
でもとりあえず、これで城の外に出ることが出来る。
よっしゃあ〜っ!!と叫びたいところだけど、契約解除したことは魔王にはじきに知られる。
急いで出ないと、殺されるかもしれない。
「じゃあっ」
憎まれるかもしれないけど、わたしは早々に出て行った。
魔王城から外に出る。
外は、建物が多いが、廃れた家もそこら中に見える。
見ないうちに、こんな変わっていたとは、思ってもみなかった。
わたしは、バレるといけないから、メイド服を脱ぎ捨て、魔術で庶民の服に着替える。
これだとバレにくいだろう。
まずはこの国から出ないと何も始まらない。
そう思って、わたしは城の大通りから離れて小さな小道を歩く。
よし、これでわたしは自由。
だけど、これからどう生活しよう…。
契約解除の呪文、色々思いつきそうだったのですが、笑えたのでやめましたww
五百文字(〜九百文字程)くらいを目安にしていましたが、大幅に変えてしまいました。