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小説「聖夜の奇跡」 No.9
登場人物
・蒼井海斗
・神薙夕
・???
・???
「あのさ、ずっと聞こうと思ってたんだけど」
「何だ、急に改まって」
「最後のシーン、結局使わなかったよね」
本編はアヤの『またね』というセリフだけが書いてある右のページ。
そして、涙を流して消える少女の絵が左のページで終わっている。
「……個人の感想だけど、あの続きが一番感情が込められてた気がした。|海斗《カイ》の心象描写が胸をギュッと締めて、涙が止まらなかった」
夕の言っていることが、分からないわけではない。
「でも、アレは使えなかった。いや、自分で考えた結果使わなかったんだ」
泣いた彩に手を伸ばすが、届かない。
もし掴めたとしてもあの奇跡は終わっていただろう。
数年後の墓参りの様子と、転生後に出会えた物語も書いてはみたが海斗は納得できなかった。
「お前にあげた原稿用紙は本物だ。まぁ、好きにしてくれて構わないから」
「オークションで幾らになると思う?」
「そんなことしないだろ、お前は」
会計を済ませて、二人は夕焼けに照らされながら歩いて家へと帰っていった。
その時にしたのは、季節外れのくだらない話。
---
聖なる夜に奇跡は起こる。
大切な幼馴染に、天使が会わせてくれた。
きっとサンタクロースや神様もいるのだろう。
初めから否定するのではなく、少しは信じてみてもいいのかもしれない。
そしたら、気まぐれで|俺《海斗》の願いを叶えてくれるような気がする。
ふと顔を上げると、電柱の上に誰かが立っていた。
しかし、一瞬にして見えなくなったから気のせいだと思う。
俺は小説家になったよ、彩。
そっちに行くのは当分先のことだろうし、気長に待っていてくれ。
あ、もし天使がいたら|新人大賞を取った《約束は果たせた》って伝言を頼む。
「伝言を頼まなくても聞いてるよ。ねぇ?」
「まぁ、私たち見えてないから……」
「電柱に降り立ったところは一瞬だけ見えてたよ」
多分だけどね、と付け足す綺麗な白色の服を着た男。
彼の発言に影のない少女は驚いた。
「長生きできるように祝福でも贈る?」
提案を即座に断られ、男は凹んだ。
しかし、少女は別のことを頼んだのだった。
その願いは、彼女だけのものではない。
「生まれ変わってもまた出会えますように、なんて『奇跡』じゃ無理だよ」
「天使を辞めた貴方なら叶えてくれるでしょ?」
勿論、と男は笑みを浮かべる。
『奇跡』を使えるのは特別な日に短時間など《《制限》》が多かった。
だが男が使えるようになった『祝福』に制限など《《存在しない》》。
世界で一番偉い『神』を縛れるものなどないのだ。
「|海斗《カイ》、|彩《アヤ》、|夕《ユウ》。君らに祝福を」
--- 完? ---
*なんか、最初に思い描いていた構想から結構変わった
ということで『聖夜の奇跡』の小説版でした
見出しが気になる方がいると思うので、少しばかり説明させていただきます
とは言いましたが、そのままの意味になります
一応元になった演劇台本を中心に書き進めてみたのですが、上手くまとめられずこのような形になりました
台本の原作者?は私なので展開がどうなっても別に問題はありません
なんか、納得がいかない
初めてだから仕方ないと割り切ることにします
一応原作?とシリーズにまとめてあります
理由としては、気が向いたら番外編でも書こうかと思っているからです
ちなみに、今のところ書く内容は思い浮かんでません
リクエストを募集するときは日記の方に何か書くと思います
それでは次回の更新まで by生きる。