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地震の中、君達と出会った⑤
街での騒動を終え、スワロウテイルの拠点に戻った一行。
「……皆さん、今日はありがとうございました。あんなに怒らせてしまって……お礼に、肩でも叩かせてください」ちぐはは申し訳なさから、自分なりに精一杯の感謝を伝えようとした。
恋愛に超がつくほど不器用な彼女にとって、それは純粋な「親愛」の証。
だが、血気盛んな3人の男たちにとっては、それは「毒」に近い誘惑だった。
「……あ、あの、誠一さんから」おずおずと、ちぐはの細い指が誠一の逞しい肩に触れる。
「っ!? ……おい、お前、何してんねや!」誠一は弾かれたように飛び起きた。
顔は耳まで真っ赤だ。
「……嫌、でしたか?」小首を傾げる国宝級の美貌。
潤んだ瞳で見つめられ、誠一は言葉を詰まらせる。
「嫌じゃねぇよ! ……ただ、お前は……自覚がなさすぎるんや……」彼は顔を覆い、荒い呼吸を整えるのに必死だった。
「次は僕の番。ねぇ、ちぐは。もっと近くに来て」まどかがソファにちぐはを引き寄せる。
ちぐはが真面目に肩を揉もうと力を込めると、まどかはふっと力を抜き、彼女の膝に頭を預けてきた。
「……ん、気持ちいい。このまま僕を眠らせてよ。……あ、でも、寝顔を見て変なことしないでね?」
「しませんよっ!」冗談めかして笑うまどかだが、その瞳はちぐはの細い手首をじっと見つめ、どうすれば自分だけのものにできるかという計算で埋め尽くされていた。
「……まどかさんそろそろ交代の時間です」冷ややかな声とともに、健三が割って入る。
彼はちぐはの背後に回り込むと、肩を叩かせるどころか、彼女の両手を自らの大きな手で包み込んだ。
「……手が冷えていますね。私が温めてあげましょう」
「あの、健三さん、お礼をしたいのは私の方で……」
「……黙ってください。あなたが大人しく私に委ねることが、一番の報いです」健三の低い声が耳元で響く。
無表情な仮面の下で、彼の独占欲はすでに飽和状態だった。
「(……やっぱり、皆さんお疲れなのかな。なんだか顔が赤いし……)」ちぐはの的外れな心配をよそに、3人の頭の中は「どうやって彼女をこの部屋から出さないか」という不穏で甘い計画でいっぱいになっていく。
外はすっかり夜。一つしかない拠点(ハウス)の中で、4人の距離は物理的にも精神的にも、逃げられないほど密接になっていく。