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みんなどうでもいいんだ、私のことは。
しばらく来れないって言ったの誰だっけ?
「ねえ、一緒に遊ぼうよ。」
そんな言葉を彼女は私にかけてくれた。周りの子がえーっ、と言っても彼女は臆することなく「大勢で遊んだほうが楽しいじゃん。」といったのだ。
それから彼女は私の一筋の光となった。
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だが、幸せとは見せかけ。彼女と仲の良かった子は私に嫌がらせをしてきた。無視、ぶつかってくるなどは日常茶飯事。しかもそれは彼女の前ではやらないのだ。きっと途中からグループに混ざった私を疎ましく思ったのだろう。それに気がついていたのか、彼女は私とよく一緒にいてくれた。そうなると余計に周りからの視線が痛くなる。
そんなある日のこと。
「さーやーちゃん!ちょっと来てくれる?」
呼ばれてしまった、校舎裏に。
「なんでここに連れてこられたかはわかってるよね?さっさと茜ちゃんのそばから消え去ってくんない?」
やっぱりだ。
「茜とのこと、あなた達に指図される意味がわからない。」
あぁ、やってしまった。こういうときは相手を刺激したらだめなのに…たえられなかった。
「茜は私の友達だから。」
すると、リーダーだと思われる娘がふぅん、というと
「いい度胸だねぇ。でも、逆らったらどうなるか一回わからせないと。」
殴る、蹴る、小石を投げてくる、笑う…
彼女達はこんな捨て台詞を残して帰っていった。
「次、こんなんじゃ済まさないからね。」
と、そういって。
そこには無様な格好の私だけが残されていた。
私の頭の中にふと考えがよぎった。
死んでしまおうか、と
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あの後家に帰り、茜に電話をした。別にさっきのことを言ってやろうと思ったわけでも、友達をやめようというわけでもない。ただ、茜と話がしたかった。
「茜。」
『どしたの?さや。』
「なんで私と友達になってくれたの?」
話の途中で話題がこんなふうになってしまった。さっきのことがあったからだろうか。
『そういえばさやに話したことなかったね。』
彼女は『私ね』と続けた。
『昔いじめられてたんだ。なんでかは今もわかんないけど、小学生のときに。さやを見て同乗したわけでもないけど無性に話したかったの。』
その次にあかねから発された言葉が理解できなかった。
『いじめられてる子ってどんな気持ちなのかなって。』
「茜は私がいじめられるのは承知だったってことなの?」
否定してほしかった。違う、と。だけど
『そうだよ。』
もうだめだった。唯一の味方だと思っていた茜さえも私のことなんてどうでも良かったんだ。
「そっか。じゃあね、茜。ばいばい。」
そう言って一方的に電話を切った。
もうだめだった。
みんな私のことがいらないなら、もういいよね。
ばいばい、この世界。もう二度と合うことはないけれど…