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関屋
テスト期間があけた。それと同時、わあっと活気が戻ってきた。
もうすぐ夏休みだから、どこかで遊ぼうか。そんな約束がなんとなくわかった。狭い交友関係の中で、そんなことはどうでもいい。交友関係より、わたしは広い世界をもっている。それも、幾つも。
「んでっ、あんたはどーなの?」
「は?」
思わず声が漏れた。
九条友子だった。
「…何が?」
「何が、じゃねぇよ。夏休み、どっか行くの?」
「図書館かな。勉強と涼みに」
へえ、と彼女は鼻で嘲笑った。まあそりゃそうなのだ。こんな低能に、図書館の素晴らしさが分かるわけがないから。低能の行動が分からないように。
「だっさあ!」
どこがダサいのか。
「図書館しか行かないの?もう密会でしょ。あっ、分かったわ」
友子が来て、耳打ちをしようとしていた。全く、困った人種だ。取り敢えず、わたしは本をぱたり、と閉じた。
どうせ男でしょ、と言っていた。びっくりするほど低能だ。中学生、しかも1年生。お前がやっているだろ、と思う。でも言わない。返事をしなきゃいけない。
「…はぁ」
「図星でしょ?」
あはは、と高い声で笑った。
1学期の終わり、最悪だ。もう友子には何も言われないと思っていたのに。
「ずっぼーしっ!ずっぼーしっ!きゃははは!」
ゴミみたいな奴に割く時間は、生憎持ち合わせていない。
「ごめんなさい、わたしは興味がないんだ。あいにくわたしは本しか興味がなくてね、とくに男は物語中であっても興味がないんだ」
「は?」
「この物語、面白いよ。読む?貴方が読むものとは違うかもしれないけど」
純文学が読めるわけない。わたしは煽るように本を差し出した。
「…はあ?」
馬鹿みたい、と友子は笑った。それが苦いものだとは、誰もが承知していた。
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「ゆーかりっ!」
まあ1か月もあったらなおるわな、と軽い気持ちでいたら、清美がいた。
「一緒に帰ろ」
「ああ、うん」
清美はソフトテニス部だと言っていた。あまり帰る機会はなかった。
「どうしたの?」
「平常運転だけど?」
「いや、いつもっぽいけど、なんとなく」
「あー…」
まあ、清美には話してもいいかな。清美に話すと、「めんどくさっ」と言っていた。ゴミを見るような目だった。
「やっぱり合わないよねぇ、紫とは。友子、うちの有力候補なんだけどね」
そういえば、友子はソフトテニス部だと言っていた。
「やっぱりなんとなく合わないなあ、って思ってた」
「ああ、やっぱり?」
「まあ、1か月もあったら大丈夫でしょ」
幼馴染とはいえ、こんなに思考が重なるのは最早スピリチュアルの領域だ。でも、なんとなく軽くなった。見せかけの軽さが、軽くなった。