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第26話 聖夜〜後編〜
キャラ設定集です!
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ちなみにまだ登場していないキャラも入ってます…
そして内容長めです!
ドルチェネーロのアジトにつくと皆それぞれの担当ごとに調理を始める。
あちこちから楽しそうに作業する声が聞こえてくる。
リフ:(初めてだな。こんな楽しい…でも、ばぁちゃんは…)
リフは急に罪悪感と不安に襲われる。
その様子を感じとり、セイムはリフに声をかける。
セイム:「大丈夫だ。リフのばあちゃんは必ず救い出す。それに…絶対に生きてる。それは俺が保証する。なんせ俺は勘がいいからな。」
セイムは自信満々にそう告げる。
ライアー:「でた!セイムの勘!」
ライアーも盛り上げるように明るく笑う。
リフ:「…ありがとう。」
リフは笑顔になってパーティーの準備に戻った。
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全ての料理が完成すると、大きなテーブルをどこからか引っ張り出してきて、
その上にクリスマス仕様のクロスと完成した料理を並べていく。
ミディアメスト:「それと、これも忘れちゃいけないですよね〜」
ミディアメストは16本の蝋燭を取り出してケーキに立てていく。
ナナ:「あとは火をつけないと。ジューンさんよろしくお願いします!」
ジューン:「承知〜」
そう言ってジューンは近くを飛び回っていた|蝿《はえ》を捕まえる。
メイ:「うわぁあ!虫ぃっ!」
レン:「虫っ!?無理ムリむり!!」
虫嫌いのメイとレンが騒ぎだす。
ジューン:「…え、これ?着火剤だよ。何その顔。」
ローザ:「わざわざ虫を使わなくても…」
メンバーがドン引きしているとジューンは何食わぬ顔で答える。
ジューン:「だって、あたしの能力、クリアモンスターと生き物しか燃やせないし。」
ショコラルテ:「え…?」
その話を聞いてショコラルテがいつもの顔に似合わずぽかんとする。
ジューン:「ん?どした?」
ショコラルテ:「でも…あのクリアモンスター大量発生事件の時に…私が生成した爆弾に着火できてたじゃない。」
ジューンもぽかんとした顔をした後、考え込む。
ジューン:「それって、もしかして…」
何かに気がついたような表情をしたが、言葉を飲み込み、
ジューン:「まぁ、今はパーティーを楽しもう。その話は後で〜」
いつもの笑みを再び浮かべてパーティーの準備に戻り、|蠅《はえ》に着火した。
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無事に蝋燭に火を灯し終わり、部屋の電気を消す。
一同:「ハッピバースデーディアリフ〜ハッピバースデートゥーユー!おめでと〜!」
リフは満面の笑みで喜びながら
リフ:「みんな…ありがとっ!」
そう言って勢いよく蝋燭のゆらめく炎を吹き消す。
部屋が真っ暗になると、温かい拍手がアジトの中に響き渡る。
リオ:「電気つけるよー」
部屋の明かりがつくと眩しさに瞬きしながら目の前のケーキをもう一度見てリフの顔に笑みが溢れる。
その様子を見て他のメンバーたちは微笑みつつも、一斉に料理を取り分け始めた。
ライアー:「おりゃー!早い者勝ちだー!」
ロアヌ:「ちょっとずるいっ!それは私がいただく!」
ディザ:「美味すぎん!?この付け合わせ!?」
レン:「レイ監修だからね。安心安全信頼の品質だ。」
レイ:「残り物で作ったんだ…美味しい?ありがとう。 __実はこれまずいって言われた事あるんだけど__」
取り合いの声や美味しいの声が溢れ、一瞬で場が賑やかになった。
リフも手始めにローストビーフサラダをとって一口いただく。
リフ:「ん!うま!」
シャキシャキのレタスとプチッと弾けるミニトマト、そして肉厚なローストビーフにお手製のドレッシングが絡み合っている。
スープは濃厚でクリーミー、そして貝やにんじん、じゃがいもなどの様々な食感の具材がゴロゴロと入っていて楽しい。
メインは特大七面鳥。パリッと焼けた皮とジューシーな肉が美味である。この七面鳥は幾多の試練を乗り越えて手に入れた特別な品らしい。
最後にケーキ。ベースはブッシュドノエル、クリスマス定番の切り株のケーキだ。その上にジンジャーマンクッキーやマシュマロが乗っている。流石にガムや飴細工は乗せなかったが。
控えめに言っても今のリフにとって最高の味だ。
みんながそれぞれに頑張って自分のために作ってくれたのだから。
ロアヌ:「ぷはっ!奮発した酒うめ〜」
大人陣は部屋の隅で酒を嗜んでいるようだ。
ライアー:「酒飲んじまうとますます賭博したくなるなー」
ジューン:「やめてよね〜制御できなくなるんだから。」
ローザ:「久々に飲みました。」
カシミア:「私も〜…なんだか眠くなってきたな…」
早々に脱落したカシミアをローザが介抱する。
するとイオが羨ましそうに近づいてくる。
イオ:「ソレ、ボクも飲んでいい?もうすぐでハタチだしさ☆」
大人は白い目でイオを見て大人の輪から追い出す。
ロアヌ:「ダメに決まってんでしょ。」
イオ:「え〜ケチ〜」
イオは追い出されて不服そうな顔をしながら他のメンバーと話し始めた。
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リオ:「聞いたよ。リフさんのおばあちゃん料理上手なんだって?あ〜俺も食べてみたい!」
リオが明るく聞いてくる。
リフ:「そうなんだよ!ばあちゃんの料理は世界一なんだ!」
リフはネイタスの手料理を思い出して微笑む。
リフ:「早く食べたいな…もう一度。」
ファイ:「そのためにも、調査を進めねぇとなァ。」
ローザ:「絶対におばあさまの居場所を突き止めましょうね。」
リフは決意を改めて力強く頷いた。
宴もたけなわになったが、パラパラと帰宅しようとする人が目につき始めた。
時計を見るとすでに21時である。
リフ:「もうこんな時間か。」
リフは名残惜しそうに呟く。
ナオ:「今日すっごい楽しかった!リー君、誕生日おめでとう!メリークリスマス!」
ナナ:「またねーリフさん!」
ミリィ:「それでは…メリークリスマス…です。」
ローザ:「リフさん、年明けに宿題出してくださいね。」
ゾロゾロとメンバーが帰っていく。
ほとんどお開きになり、残ったのはリフ、カシミア、ミディアメスト、シェフリ、イオ、シェイ、リオル、ロアヌ、ミィ、ディザ、スターだけになった。
リフ:「もう帰るのか…寂しいな。」
カシミア:「そうね…」
するとロアヌが唐突に提案してくる。
ロアヌ:「どうする?泊まってく?」
リフ:「え、泊まるって…みんなここに住んでるの?」
ミディアメスト:「そうですね。みんな帰る場所がないので仕方なく。居心地に関してはなんとも言えませんが無料ですからね〜」
ミディアメストはそう言ったあと、周りを見渡して呼びかける。
ミディアメスト:「それでは皆さん、歯磨きしましょうね~。嫌なことも潔くサクッと終わらせてしまえば、あとは自由にできますからねっ」
ディザ・スター:「はーい!」
リフは『歯磨き』という単語を聞いて逃げ出そうとする。
ディザ・スター:「リフも行くよー!」
モンスターの双子が60cmの見た目にそぐわない力でリフを引っ張って行く。
リフ:「歯磨きやだー!」
リフは抵抗したがなすすべなく歯磨きをすることになったのであった。
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歯磨きや諸々を終えたリフは風にあたるためアジトの屋上に向かう。
この建物は思ったよりも広いらしく、いつもいる部屋以外にもいくつかスペースがあるらしい。
すると途中でシェフリとすれ違った。
シェフリ:「あ、貴方…その、ファイくんを見ませんでしたか?」
シェフリは珍しく焦っている様子だ。
シェフリ:「いつも22時には4階にいるはずなのに…そして22時20分には歯磨きをして、22時35分に就寝準備、そのあとは学校の課題を終わらせたり、ぼーっとしたり、時折急に笑ったり…」
シェフリは何やらぶつくさと青い顔をして呟き始めた。
シェフリ:「もう!本当にどこに行ってしまったんですかっ!」
そう言ってまたファイを探しに歩いて行ってしまった。
リフ:「分単位で行動パターンを把握してるのかよ…」
リフはドン引きしながらも、屋上へと再び足を向けた。
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屋上に着くと、二つの影がフェンスに寄りかかって話しているのが見えた。
リフ:(誰だろう?)
聞き耳を立てているとこんな話し声が聞こえてきた。
ファイ:「つまり、俺たちの力はクリアモンスター由来のものって可能性があるっつーことかァ。」
ジューン:「そ。断定はできないけどね。じゃ、一応伝えておいたから、そういうことで。」
ジューンが帰ろうとして屋上の扉の方へ振り返ると聞き耳を立てているリフに気がついた。
ジューン:「…いたんだ。びっくりっすよ〜」
ファイ:「よぉ。聞かれてたか、リフ。」
真顔のファイと微笑みを貼り付けたジューンがリフを見る。
リフ:「俺たちの異能力って…クリアモンスターと一緒なの?」
リフは眉を|顰《ひそ》めて問いかける。
ファイ:「ただの憶測だがなァ」
ジューン:「まだ言いふらさないでね。小さい子を不安にさせたくないし…とっくに気がついてるやつはいるかも知れないけど。」
ジューンは乾いた笑いを浮かべて屋上から出て行った。
リフ:(二人ともなんか抱えてそうで怖いんだよな…)
するとファイがリフに声をかける。
ファイ:「リフ、ここだけの話だがナァ。」
ファイがつまらなそうな顔のままだるそうに話し始める。
ファイ:「以前”フィーネ”の話をしたよな。暴君が砂糖の塊になったって話だ。俺はな、その像を今探してる。伝説だからって存在しないとも限んねぇだろ。もし存在しなかったら馬鹿ミテェなことしてるってことになるがなァ”。…そこでテメェ、協力しろ。」
リフ:「砂糖の像探し…?」
リフはその話に食いつく。もしかしたらネイタスの居場所の解明に繋がるかも知れない。
リフ:「やるよ…!手がかりはあるの?」
ファイはフードを深く被り
ファイ:「手がかりは『チェロカデロ』」
リフ:「え、それだけ?」
そういうとファイはリフの質問に答えないまま屋上から出て行ってしまった。
リフ:「『チェロカデロ』…」
リフはつぶやいてみたが全く聞き馴染みがない。
寒くなってきたのでとりあえず建物の中に戻ることにした。
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アジトの中に入るとロアヌとばったり会った。
ロアヌ:「あれ〜?リフ?まだ寝てなかったんだ。もう他のガキはみんな寝たよ。」
リフは頭の中で『チェロカデロ』という単語を|反芻《はんすう》してぼーっとしている。
リフ:「『チェロカデロ』…」
ロアヌはその単語を聞いて驚く。
ロアヌ:「へぇ、リフ『チェロカデロ』知ってんだ!」
リフは驚いて顔を上げる。
リフ:「え!?ロアヌ知ってるの?」
ロアヌはうんうんと頷いて
ロアヌ:「よくネット仲間のナオとも話してるよ〜『チェロカデロ』、それは実在するかどうかも怪しい組織…ネット掲示板に載ってる都市伝説の中でもかなり有名な話だけど…」
リフ:「ちょっとその話詳しく聞かせてくれない!?」
リフは身を乗り出して話に食らいつく。
ロアヌ:「もちろんオケ〜」
ロアヌは話し始める。
舞台はアドバンポリス内のどこかの片田舎。投稿主は通学にとあるトンネルを通っていたらしい。
毎日そのトンネルを通って学校に行っていたが、ある日通学に使っていた自転車がパンクして歩いて学校へ向かった。いつものようにそのトンネルを通っていたところ、ある扉を見つける。
その扉には掠れた文字で『チェロカデロ』と書かれている錆びついた看板がかけてあった。
投稿主は好奇心からその扉を開ける。するとその中には井戸が一つあった。
よくないこととは思いながらも投稿主は好奇心に抗えずその部屋の中に入る。
そして部屋の中央にある井戸の中を覗くとそこには…
`ゾロゾロと人間ではない白い何かが大量に蠢いていたのであった。`
リフ:「ひぃぃ!」
リフは雰囲気のある語りをするロアヌの話に腰を抜かしてビビる。
ロアヌ:「あれ?知ってたんじゃないの?…って、反応おもしろ!」
ロアヌは笑いを堪えきれない様子だ。
リフ:「片田舎のトンネルか…ロアヌ、ありがとっ!」
リフは気を取り直して立ち上がり、拳を握りしめてコンクリートの階段を下に降りていった。
ロアヌ:「ん?うん。おやすみー」
ロアヌは手を振ってリフを送る。
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リフは暖房のついている部屋に来て眠る支度をする。
流石に男女で寝る場所は分かれているようだ。
イオ:「お〜どこ行ってたんだ?まさか女子部屋を覗きに行ってたとか?」
イオがからかってニヤリと笑う。
リフ:「んなわけねぇだろっ!」
リフはさっき胸ぐらを掴まれたこともあり、イオとは少し距離をとって寝ることにした。
リフ:「おやすみなさい」
イオ:「おう、オヤスミ」
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朝になった。小鳥が|囀《さえず》ることもなく静かな朝だ。
リフが起きて下の階に行くとメンバーのうちの大人陣は全員起きて朝食を作っていた。
リフ:「おはようございます。」
ミディアメスト、カシミア、ロアヌは振り返っておはようを返す。
ミディアメスト:「昨晩はよく寝られましたか?」
リフはうん、と頷く。
カシミア:「今日の朝はサニーサイドアップよ〜__…普段だったら絶対にできない料理ね。__」
火が苦手なカシミアはコンロの火を見て苦笑いする。
ロアヌ:「あ〜…もっと寝てたーい…」
ロアヌは何やらぐちぐちと言ってどさりとソファに寝転んだ。
テーブルに完成された料理が並べられる。
リフ:「美味しい…」
リフは懐かしのサニーサイドアップを食べながら泣きそうになる。
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朝食を食べ終わると片付けを終えてからアジトの扉へと向かう。
リフ:「みんなありがとう。最高の誕生日だったよ!」
カシミア:「急に誕生日の話したのに、皆さん祝ってくれてありがとうございました!」
一足先に起きていたメンバーは二人を送り出す。
ロアヌ、ミディアメスト:「またね〜(ですっ!)」
カシミアとリフはメンバーにお礼を言って帰宅した。
見上げた空には晴れ晴れとした青空が広がっていた。
勝手にアジトに泊まってる設定にしてすみません…
みなさんはクリスマスイブに何かしましたか?私はブッシュドノエルを作りました!簡単なものですが…久々にケーキを作ったのであまりうまくいきませんでした!でも美味しかったです!
それではメリークリスマス!