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common time#3
メガネ越しに見る視界は,にきやかだった。思わず,顔をふせる。
私が入り込む余地なんてないみたいに,あたたかさの詰まった空間。
今,宿泊学習のグループ決めをしている。生徒が自由にグループメンバーを決めることができるシステム。でも,そのにぎやかの中に,私が呼ばれることはなかった。
「ええっと…じゃあ,如月さん,水樹さん,桐葉さん,九重さんが同じグループね」
先生に呼ばれ,私の体はびくりと動く。ゆっくりと顔を上げると,私を見つめる少女3人がいた。どこにでもいそうな,地味な子たち。
毎年,こうだ。「寄せ集め」のグループが,私の居場所。
地味で,平凡で,どこにでもいそうなありきたりな少女。それが私•桐葉すず。
自己紹介なんて,したくないのに。話すのが苦手なところがバレる。
「こんにちは。桐葉すずです。よろしくお願いします。」
台本でも読んだみたいなあいさつが口から出てくる。話し上手な人なら,ここで気の利いたことを二言三言しゃべれるんだろう。
「如月真希です。よろしくね」
ぼそぼそいう声が聞き取りにくい。
「こんにちは|水樹琥珀《みずきこはく》と言いますよろしくね」
棒読み。
「こっ…|九重深月《ここのえみづき》です。よろしく…」
口下手そうだなぁ。
はあ。つまんない宿泊学習になりそう。
こんにちは。
お手紙2通(も!)もらいました!ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします‼︎