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「ようこそ魔法学園へ」(4)
1時間の授業と、15分間の休憩。
城のように大きいこの学び舎で、移動教室があるとすれば妥当な休憩時間だろう。
それを繰り返し、3時限目が終わる。
「ハイ、じゃあ解散!配ったプリントはちゃんと全部書くこと!」
がやがや、と休憩時間よりも騒がしい喧騒と共に、ある人は寮へ、ある人は帰路へついた。
|椿《つばき》も前者の人間であるから、その重いスーツケースともう一つの荷物を持ち、寮へと向った。
「寮分けの案内を見て行動してね〜!押さない、走らない!」
赤いリボン…3年生の、腕に紋章をつけた女の子が、人混みの1年生寮棟で声を張り上げる。
「1年生は1で始まる寮!!1年生は1で始まる寮だからね〜!!1のあとに続く数字は階数!!」
「何処の寮棟なのかはその二つの後にあるアルファベットが示してるよ〜!!」
「部屋番号はその次!!毎年見間違える人がいるからね〜!!」
「階数と棟をきちんと確認して、行動してね〜!!」
「|私《わたくし》の部屋は112-C-48…ですわね、同室の方だけが気がかりですが…」
階段を上り、112-C-48、と表記された部屋まで歩く。
扉をコン、コン、コン、と叩き、入ってもいいかどうかを質問した。
「すみません、同室の者ですわ。今入ってもよろしいでしょうか?」
「どうぞ〜」
「って、レティじゃないですか!」
「ふふん、言ったでしょう?私は変なところで運がいいのよ!」
レティフォーネ・ロベッタはどや!と、よくわからないまま誇った。
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新入生の皆さんへ
近々魔法に関する適正や魔力の所要量に関するテストを行います。
日時は16日から一週間の間です。
1年生全クラス全生徒、例外なく実施しますので、ご理解ください。
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