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溶けて泣くなる気持ち
チィはスマホを見つめたまま、深く息を吐いた。
「また…書かれてる…」
小さく呟く声は、机の上で溶けて消える。
画面には、知らない人たちの言葉が並んでいた。
《《》》
「歌、前より下手じゃない?」
「もう飽きた」
「笑顔が嘘っぽい」
指先がじわりと冷たくなる。
消そうとしても、目が勝手に文字を追ってしまう。
(どうして…知らない人に、こんなこと言われなきゃいけないの…)
となりの部屋から、仲間の笑い声が聞こえた。
その温度が、今のチィにはあまりにも遠い。
「…私、明日、本当に笑えるのかな」
バズリウムチェンジの映像が頭をよぎる。
客席のどこかに、このコメントを書いた人がいるかもしれない。そう考えた瞬間、胸がきゅっと縮まった。
ステージの光が、どんどん遠ざかっていく。
「怖い…」
チィはスマホを伏せ、目をぎゅっと閉じた。
灯りの揺れが、やけに心細く感じられた。