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四大精霊戦記【2】
「よっ…」
キィと耳障りになる椅子に心の中で舌打ちをしながらヴィレナ・ドライスは立ち上がった。
濃い青の髪はポニーテールに纏められ、すこし癖毛が混ざっている。目は吊り目で口は八重歯が生えているため、ドラキュラにどこか似ている。
ただ、決定的に違うのは服だ。チャイナ服のようなものを着ており、一層綺麗な顔を際立たせる。しかし、彼女は冷静である。
椅子は戦争中で古い木しか手に入らずに作った椅子だしょうがない。と自分の心の中で言い聞かせつつ、ヴィレナは立ち上がり、襲撃野営地サラマンダー隊隊長室から出た。
「…いい天気だ。」
朝の4時30分。あと30分もすれば隊員に起床の笛を吹かせなければ。
しかし、久しぶりの気持ちの良い朝の為、椅子のことも忘れて伸びをしていると、背後から足音がした。
「ヴィレナ様。」
振り返ると、サラマンダー隊副隊長のテオ・カルストスだった。
「はやいね。カルストス。」
「まあ、襲撃日ですから。寝たくても起きますよ。」
にっこり笑って返すカルストスに一言。
「へえ。でも、起床の笛を1回目聞き逃していなかった?」
「なっ…!」
ニヤニヤを隠そうともせずそう聞くと、カルストスは顔を青くしたと思うと赤くして、まるでリトマス試験紙のようだ。
1人でリトマス試験紙になっているカルストスは放っておくことにして、襲撃のことを考える。この襲撃は絶対に成功する。そうわかっているのだが、どうしても不安を感じてしまうのだ。まるで、頭の隅で成功しない。と悪魔が囁いているように。
杞憂のことを信じて、ヴィレナは隊員に起床の笛を吹かせに歩き出した。
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