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向日葵と共に
「……夏、もう終わっちゃいますね。」
夕日に照らされ丘の上から自慢だと言う向日葵畑を見下ろし彼は寂しそうに話す
彼__アキトとは昨年の秋頃に出会った
森の中で狼に囲まれて動けなくなっていた所を助けたのが始まりだ
その時に花屋を営んでいることを知り、それから店に出す為の花の収集には必ず俺が同行していた
何故あの時関係を持ち続けることを選んだのかはもう覚えていない
気がつけば用事が無い日にはアキトの元へ向かう日々が続き、彼と過ごす日々を考える日も増えていた
「嫌なのか。」
「…まぁ、向日葵枯れちゃうんで。何度も見てますけど、やっぱ好きな景色だし……寂しくて。仕方ないんすけどね、!」
”仕方ない”と笑う彼は何だか無理をしているようで、
どうすれば良いか分からぬまま彼の横顔を映し続ける自分が、ひどく不甲斐なく思えた
数秒、もしくは数十秒、草木の音が抜けていく
その間アキトは何かを言おうと此方を見上げ、見上げてはまた顔を逸らしを繰り返している
決心がついたのだろうか、「あの……」と控えめに話し始めた
「黒騎士様は、明日から遠くに行かれるんですよね。」
「嗚呼、そうだな。」
「いつ頃、帰ってこられますか、?」
俺と違いアキトは落ち着かない様子で会話を繋げる
___一ヶ月程前から遠方の同盟国で戦争が起きているらしい
戦線が悪化する前に向かってくれと君主から言われ、明日此処を出なければいけなかったのだ
「さぁ、俺にも分からないな。戦争は長引くものだ、一年以内で終わる時もあればそれ以上かかる時もある。」
「ッ……そう、ですか。」
答えを聞いた途端アキトの顔が暗くなった
向日葵を眺めていた時と同じ顔
「寂しいのか?」
「え…?いや、えーと、、それは………。」
こんなことを聞かれるとは思いもよらなかったのか、アキトはしどろもどろして俯いてしまう
違ったかと思い謝ろうとしたら小さな声で何か言葉が返ってきた
「――です、」
「す、すまない、今なんと…?」
「そう、です……。黒騎士様と離れるの寂しいです……。」
声が出てこなくなった
そう思ってくれたのが嬉しくて、そんなアキトへの思いが不意に零れてしまいそうで
「迷惑でしたよね」と嘆くアキトの肩を掴み真っ直ぐ目を見て言葉を紡ぐ
「俺も寂しい。」
「………、え?」
「俺も会えなくなるのが寂しいんだ。」
何故か覚悟をしたような顔だったのがみるみる安堵に染まっていく
聞いたところ、どうやら肩を掴まれた時に怒られると思っていたらしい
「さ、寂しいって……本当ですか、?」
「本当だ。でなければ言わない。」
「それも、そうか………。」
暫く向かい合っているとお互い何だか気まずくなってしまい、隣同士日が沈むまで向日葵畑を眺めた
これ以上会話することは無かったが、隣で「寂しい、寂しいんだ……」と膝を抱えながらぶつぶつ呟くアキトを見ていると心做しか気分が和らいだように思えた
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翌日、夜明け少し過ぎた頃、アキトに「店に来てほしい」と言われていた為起きて早々に向かっている
”close”の札が掛かっているが扉に手をかけてみると案の定鍵が開いていた
「来たぞ。」
そう声を掛けると店の奥から何やら落ち着かない様子の彼が顔を出す
何かを隠しているようで、腕を後ろに回していた
「おはようアキト。その、それは…?」
「おはようございます黒騎士様。実は渡したいものがあって。」
「渡したいもの、か?」
「これなんですけど………、」
そう言って後ろから出てきた物は鮮やかな黄色い花弁の小さな押し花の栞だった
「これ、向日葵の花弁で作ったんです。御守り代わりに、って。」
「御守りか………、押し花なんて凄いな。」
栞を受け取りよく観察してから大切にしまい「ありがとう、大事にする。」と礼をして店を出るため踵をかえす
「あ……っ待ってください……」
そう言われながらマントを掴まれその場に立ち止まる
どうかしたのかと振り向くより先にアキトの声が聞こえてきた
「それ見て、オレのこと思い出してくださいね。」
泣きそうな声でそう言われこのまま去るわけにはいかず、振り返って頭へ優しく手を置いた
「分かった、必ず記憶に残しておこう。アキトも偶には俺を思い出してくれ。」
「言われなくとも常に思ってますよ」
そう言った後にハッとしたのか顔を真っ赤にして「つ、つつ常にでは無いです!」と言い訳をしはじめた
やはりアキトは面白くて可愛い
そうか、と微笑んで落ち着かせ、今度はアキトを見ながら扉へ手をかける
「では行ってくる。」
「なるべく早く帰ってきてくださいよ!」
分かっている、と頷くとアキトは昨日見せた寂しそうな、けれど吹っ切れたような顔をしながら小さく手を振ってくれた
「……行ってらっしゃい。」
アキトの見送る声を聞いて店を出る
城へ戻れば同盟国の元へすぐ向かうことになるだろう
アキトからの贈り物を取り出して愛おしそうに眺めて思いを巡らせる
長い別れだが居なくなるわけではない
帰ったら一番に思いを打ち明けることにしようか
向日葵の栞を握りしめ 、その場を後にした
夏を過ぎてもこの向日葵は咲き誇る
他所で載せていたものです
L○NEノートで書いていたものなので少々短いですね
出来もまぁまぁだと思ってたりします ……
また何処かで作品を見てくださる時まで_♩