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シティ・ロマンス 第二話
林沢レオ
「話って言っても…」
「なんかさ、あるじゃん。友達とどこ行ったーとかさ」
「ないですね」
「趣味とかないの?」
「趣味って言ったらアレですけど…」
「なにー?あ、ちょっと待って、当てる」
僕はピアノ演奏と言うつもりだ。特段見た目でわかるようなものじゃないから、当てられないだろう。
「手開いてみて」
言われるがまま膝に手を置き指を開いた。
「はい、ビンゴ。ピアノでしょ?」
「え!?」
「驚いてやんの。わかっちゃうんだなぁ私は」
「なんでわかったんですか?」
「普通の人は手を開けって言われたら手のひら見せてくるでしょ。それにそんな姿勢の人、なかなかいないし。あとは…雰囲気?」
ただ言葉が出なかった。情けない顔をした僕を横目に彼女はタバコに火をつけた。
「あの…名前って…」
「サクラだ。佐藤の佐に、倉庫の倉、かな。下の名前は言わない」
僕には名前を聞いてきたのに自分だけ苗字だけなんて卑怯だ。そんなことを思いながら時計に目をやるともう十時。
「あ、僕もう帰ります。また明日大学なんで」
「そう。ばいばい」
パンの残りをリュックサックにしまっているうちに佐倉さんが質問してきた。
「遊園地いつまでいるか知ってる?」
「知らないですよ」
「そう、じゃ気をつけて」
その言葉を背中に僕は帰路へ着いた。